時の化石

ブログ「時の化石」は、アート、ミュージック、ライフハックなどを中心に数々の楽しい話題を提供します。

『クワバカ』-クワガタを愛しすぎちゃった男たち- を読みながら。魔性のクワガタと男の本質について。

どーも、ShinShaです。

最近、重いテーマが続いたので、今日は楽しい本をご紹介します。本の名前は『クワバカ』。じつは書店で、この本を見つけた時、思わずスルーしたのです。最近、僕の中では 読書=ブログネタ という方程式が成立します。こういうテーマに興味をもってくれる読者がどれだけいるのだろうかと。しかし、2回目に書店に行った時には、我慢できずに買ってしまった。もういいや、書いてしまえ。願わくば、多くの人に興味をもって頂ければ。。。

著者 中村計氏について

今回、中村計さんの本を初めて読みました。著者は、松井秀喜の甲子園の5連続敬遠について、本を書いているのですね。僕は、高校野球をめったに見ないのに、なぜか、ニキビづらの松井選手が、連続敬遠された映像は頭に残っています。星稜 vs 明徳義塾だったっけ?作者は、スポーツ系ライターなんですね、

そして、最新刊が『クワバカ』-クワガタを愛しすぎちゃった男たち-。これはもう、タイトルが素晴らしすぎる。パラパラと数ページを立ち読みして、もう、買わずにはいられなかった。
帯のキャッチコピーが、また素晴らしい。「昆虫に人生をかけた男たちを描く。大人の課題図書」、「結婚を機に、昆虫やめちゃう人とかいるじゃないですか。僕はそれ許せなくて」。大人の課題図書とは、よく書いたもんだ(笑)。

中村 計
1973年生まれ。ノンフィクションライター。千葉県船橋市出身。同志社大学法学部政治学科卒業後、某スポーツ新聞社に入社するも七カ月で退職。以降、スポーツを中心に様々なノンフィクション作品を発表している。著書に、『甲子園が割れた日 松井秀喜5連続敬遠の真実』(新潮社、第一八回ミズノスポーツライター賞最優秀賞)、『勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧 幻の三連覇』(集英社、第三九回講談社ノンフィクション賞)、『金足農業、燃ゆ』(文藝春秋)など多数

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『クワバカ』-クワガタを愛しすぎちゃった男たち- 光文社新書

『クワバカ』-クワガタを愛しすぎちゃった男たち-

この本は、全247ページ。まだ、半分くらいしか読めてません。2回のブログに分けて記事を書きたいと思います。クワガタに命をかけた男たちの人生がどうなっていくのか、もう、ワクワクしますね。

僕も虫好きだった

僕は保育園の頃から、図鑑が好きな子供だった。昆虫図鑑や動物図鑑を、毎日読んでいました。昔のことなので、虫を特集した雑誌とか、カードとか、ムシキングなんてものはなかった。とにかく昆虫図鑑を楽しく読んでいました。

そして、田舎に住んでたので、夏休みには、よく虫取りに行きました。早朝、山の近くにある水銀灯の下に行く。雑木林中に虫取りに行く。クワガタやカブトムシは、植林された杉やヒノキの林にはいません。植林されていない、広葉樹林にいるのです。ドキドキ、ワクワクしましね。田舎に住んでた僕にとっても、クワガタは特別だった。

第1章 魔性のクワガタ

この本では、有名なクワガタ愛好家=クワガタ屋の、定木良介氏というカリスマが登場します。比類なき「クワバカ 」。彼はオオクワガタブームで、クワガタの世界にハマり、その後、独自の道を切り開いていく。クワガタファンの中では神のような扱いを受けている人です。

「オオクワガタ」ブーム

昆虫専門誌『月刊 むし』(むし社刊)が1986年7月に初めてオオクワガタ特集号を組んだことがエポックメイキングとなった。普段三千部の月刊紙が2万部売れた。これに便乗して、他社からクワガタ雑誌が出版され、一気にクワガタブームが加速した。当時のショップでは、生きたオオクワガタが、体長65ミリ:45,000円、69ミリ:87,000円!で販売されてたそうです。

このブームで、世間では大量のクワガタ愛好家が生まれた。関東の愛好家は「0時1分新宿発下諏訪行き」に乗って、山形県韮崎市を目指した。夜中に韮崎に着くと、それっぽいやつが、脚立かついで電車を降りてくる(笑)。ところが、ほとんどクワガタは採れなかった。しかし、この大変さが魅力で、多くの人がさらにクワガタにハマっていった。

そして、『月刊 むし』は、独自の「ギネス認定」企画を始め、読者が採った最も大きいクワガタに「日本でいちばん」のお墨付きを与えて、写真と採った愛好家の名前を掲載するようになった。競争原理が持ち込まれ、クワガタ熱はさらにヒートアップ。ギネス認定は、スーパースターを意味した。
クワガタ愛好家のカリスマ、定木氏は当時を思い出して語った。「大きさは永遠に追い求められる。それで、ズブズブと足を取られて、人生を誤ってしまったのが、いっぱいいるよ。」(笑)
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時々、得られるすごい獲物。導入された競争原理。なんだか、人生の真理を見るようだ。時代が、少し違ってて良かったです。小学生、中学生時代に、こんな雑誌読んでたら、僕もどうなったか分からないかもしれない。

「オオクワガタ」ブームの終わり

ところが、4−5年経つと、「オオクワガタ」ブームは終わりを告げる。

ブームの影響で、オオクワガタを飼育、養殖する人も増える。特別な餌を与えたり、大きい個体どおしを掛け合わせたり、中には、外国産オオクワガタと掛け合わせる者まで出てきた。養殖した個体を、野外で採取したと偽り、ギネス認定をねらう。さらに、飼いきれなくなった個体を野生に放つ者が現れた。放虫が非常に多いいため、オオクワガタの個体で、不純物が入っていないといえるのは、ギリギリ80年代のものまで、ということになってしまった。

なんという愚かな結末だろう。放虫が多くて、自然環境が変わるところまで、いってしまったんですね。
かっての夢の代名詞だった70ミリのオオクワガタは、今では1,000円程度で取引されているそうだ。この時代、日本経済はバブル期だった。

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オオクワガタ https://www.photo-ac.com/から転載

魔性のクワガタ

「魔性の女」(女性読者の皆様、すみません)という言葉はよく聞きますが、残念ながら、これまで出会ったことはありません。こっちの興味も残っていますが(笑)、魔性のクワガタってどんな虫なんだろう。じつに興味がありますね。

クワガタ熱がくすぶっていた定木氏は、その後は離島を目指すようになる。トカラ諸島でギネス認定70ミリのクワガタ採取をきっかけに「あまりの衝撃に、ドロップアウトしちゃったんですよ人生を。」と語るほど、クワガタに人生を賭けていくことになる。そして、しばらくして、人生の究極の目標にたどりつく。それが、奄美群島沖縄諸島八重山諸島だけに、生息する「マルバネクワガタ」だった。この本の表紙、下の本に掲載されているのが、マルバネクワガタです。

「マルバネクワガタ」は愛好家を狂わせるから、魔性のクワガタと呼ばれている。マルバネはぱっと見ると、メスのクワガタみたいですね。このクワガタの最大の特徴はあごが細くて短い点です。そして、国産クワガタの中でもっともバリエーションに富んだ種であるそうです。そこがマニアを狂わせるようです。

マルバネクワガタは、1980年頃までほとんど、生態が知られていなかった。マルバネがミステリーだったのは、南西諸島に生息し、発生期が秋の夜だけだったからだ。この季節はちょうどハブが最も活動する時期。誰もリスクを犯して、昆虫を採る奴なんていなかった。

そして、ハブ恐れながら万全の対策をして、定木氏は秋の夜、奄美大島の森に入ってマルバネクワガタの採取を始めることになる。本書に書かれている、彼の言葉は素晴らしいです。美しい幻想的な光景です。彼が、何に取り憑かれたのか、理解できる気がします。

「スタジイの木って、丸もっこりしていて、ブロッコリーみたいなんです。そんなブロッコリーの森のような原生林の、樹齢何百年という古木にマルバネが貼り付いている。それがたまらない。理想は誰も踏み込んだことのないエリアの、見たことのないような大木に見たことのないようなでかいマルバネを見つけることなんです。」

マルバネクワガタには、4種12亜種が発見されています。マルバネを何十頭、何百頭と数多くのマルバネを見れば見るほど、あごの微妙な違い、全体のバランスの違い、わずかな色の違いが目に付く。それぞれが個性的で、神の作った芸術作品だと感じる。ここには、深い世界があるのですね。

定木氏に続いて、何人かの仲間がマルバネの採取を始め、生態が明らかになっていく。マルバネクワガタの存在は有名になっていった。手に入れたいというマニアも増えた。プロであるクワガタ屋は、漁師が漁場を守るように、自然を荒らさない。問題は、にわか虫屋の行動だった。

ハブのいない与那国島には若い虫屋が、採取に入るようになる。地元の人も採取して売るようになった。マルバネは高額で取引されるようになり、大型の個体は何十万円の値段がつくこともあった。

夢の終焉

2011年、ヨナクニマルバネが「絶滅の恐れがある野生動植物の種の保存に関する法律」により、環境省により、国内稀少野生動植物種に指定された。与那国島にクワガタ愛好家が入った頃には、既に、乱開発でヨナクニマルバネは絶滅の危機にあった。島民の反感から、それがクワガタ愛好家のせいにされた。
それから6年後には、与那国島奄美大島、徳之島、石垣島沖縄本島の5島でマルバネクワガタの採取が禁止された。

定木氏たちクワガタ愛好家は、生きるすべをなくした。仲間からは、定木氏は廃人のように見えたそうだ。そんな中に、むし社から、マルバネクワガタの本を出版しようと声がかかった。その本が下の写真の本です。

この本には奄美大島、諸島、徳之島、沖縄本島西表島石垣島与那国島の順に、それぞれの島で採取されたあらゆるサイズの実物大写真と、クワガタ屋15名の採取レポートが掲載され、学術的にも有効な内容とした。この図鑑は関係者のささやかな抵抗の書であった。(この本は印刷部数すべてが売れ、現在では非売品となっています。)

むし社の藤田氏はこの本の終わりに、こう書いている。全くやるせない。

大事な自然の実態を、手弁当で解明していったのは昆虫の分野では、120年にわたる全国のアマチュア虫屋なんだけどなぁ。

虫屋が一部でやり過ぎた以上に、最近の規制はやり過ぎていて、まるで「正義の味方?」が悪人を退治しようとしているような不気味さを感じる。

虫屋はそれほどの悪人なのだろうか

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月刊むし・昆虫図説シリーズ4 『日本のマルバネクワガタ』むし社 http://mushi-sha.life.coocan.jp/nihon-no-marubanekuwagata.html

彼らは大人になっても子供でいられた

後に、定木氏と何人かのクワガタ屋が登場する、マルバネクワガタのビデオが制作された。筆者は、そこに映っている彼らを見て、同情が、小さな嫉妬に変わっていったと書いています。

そこには、「寝食を忘れ、時間を忘れ、世間を忘れ、ときには最愛の人まで忘れ、人生の黄金期に何を失っていもいい」、という時間が映されていた。

うん、素晴らしい。すごく胸が熱くなります。

「クワバカ」 万歳!

まとめ

いやー、期待どおり素晴らしい本でした。1ミリでも大きいクワガタを目指して、ズブズブとハマっていくところでは、思わず笑ってしまった。「大きさは永遠に求められる」というのは、深い言葉ですね。
男の本質というのは、なんだかこいう所にあるような気がします。そして、エンジニアである自分の仕事にも、大きく通じるものを感じます。

それに、皆さん、ブログだって似たようなものではありませんか??

今日もこのブログを訪問いただき、ありがとうございました。
この本の記事、次のブログに続きます。
今後ともよろしくお願いします。

ShinSha

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