どーも、ShiShaです。
今回の記事は、新書『コロナ後の世界を語る -現代の知性たちの視線-』 第4章 から記事を紹介します。これまで、3回の記事では、ウィルス感染症に関する知識、政治、感染症の歴史、社会の課題などについてご紹介しました。今回は、日本を代表するアーティスト、坂本龍一氏、横尾忠則氏の記事です。
『コロナ後の世界を語る -現代の知性たちの視線- 』 「第4章 暮らしと文化という希望」
今回の記事では、本書の「第4章 暮らしと文化という希望」から、横尾忠則氏、坂本龍一氏の記事を採り上げてご紹介します。新型コロナウィルス禍の中、日本を代表するアーティストは何を語るのでしょうか?
横尾忠則『作品は時代の証言者 この苦境を芸術的歓喜に』
横尾忠則は1936年兵庫県生まれ。56年より神戸新聞社にてグラフィックデザイナーとして活動後、59年に独立。唐十郎、寺山修司、土方巽といった舞台芸術のポスターなどを数多く手がけ、69年にパリ青年ビエンナーレ版画部門大賞を受賞。72年にはニューヨーク近代美術館で個展を開催するほどの活動を見せるも、80年7月に同館で開催されたピカソ展に衝撃を受け、「画家宣言」を発表。以降、画家としてニュー・ペインティングととらえられる具象的な作品を制作するようになる。
84年には横尾の作品を収蔵・展示する西脇市岡之山美術館が、また2012年には横尾からの寄贈・寄託作品を保管・展示する横尾忠則現代美術館が兵庫県神戸市にオープンした。近年の主な個展は「横尾忠則の『昭和NIPPON』-反復・連鎖・転移」(青森県立美術館、2013)、「横尾忠則 HANGA JUNGLE」(町田市立国際版画美術館、2017)など。旭日小綬章受章(2011)、高松宮殿下記念世界文化賞絵画部門受賞(2015)。
引用:美術手帖(記載を要約しています)
共存共栄を図る精神の力を絵画に投影
2020年2月1日、神戸の横尾忠則現代美術館で、「兵庫県立横尾救急病院展」と題する展覧会が開催された。WHOがパンデミックを宣言したのが、前日の1月31日だ。さすが、横尾さん、なんと素早い動きなんだろう。アーテイストのインスピレーションなんだろうか?
このオープニングでは主催者、美術館職員は白衣とマスクでコスプレした演劇パフォーマンスを行なった。その時点では、誰も現在のマスクをした人が町中にあふれる様子を予見していなかった。
横尾氏は、コロナ下の芸術についてこう語っている。「作品は環境の変化に敏感に反応する。僕を取り巻くコロナ的現状によって、作品は忠実にコロナに巻き込まれ、いやな空気感を発生し始めている。しかし、如何なる表現を取ろうと、自作を否定するわけにはいかない。こうした環境の中で生まれた作品こそ、時代の証言者証言者になり得ると、僕は自作を肯定する。」
「コロナとの共存共栄を図る精神の力を絵画に投影させて、マイナスエネルギーをプラスの創造エネルギーに転換させることでコロナを味方につけてしまい、この苦境を芸実的歓喜にメタモルフォーゼ(変身)させてしまえばいいのだ。」
僕はこの言葉に感動しました。コロナと共存する苦境でしか生まれない芸術を創造しようとしています。どんな厳しい環境の中でも、それをプラスに変える価値を生み出せ。彼は、そう言っている。横尾忠則さん、86歳ですよ。本当に、素晴らしいアーティストだ。
横尾忠則さんは、今、「千年王国」という作品の制作に取り掛かっています。この作品は、仏教の弥勒思想を浄土的理想社会を表現しているそうです。仏教的思想は、よく分からないですが、どんな作品になるのか、期待したいですね。
横尾さんはtwitterで、最近の作品をたくさん発表されています。横尾忠則 with CORONA作品、リンクをクリックしてをご覧くださいね。
坂本龍一『パンデミックでも音楽は存在してきた 新しい方法で適応を』
じつは、僕、坂本龍一氏の大ファンです。デビューした頃から、YMO時代。そして最近の作品までずっと聴いています。多分、大半のCDは聴いているだろうと思います。
坂本龍一氏は、新型コロナウィルス禍の中の音楽について どう考えているのだろうか?
坂本龍一 / Ryuichi Sakamoto 1952年東京生まれ。 1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年『YELLOW MAGIC ORCHESTRA (YMO)』を結成。散開後も多方面で活躍。映画『戦場のメリークリスマス』(大島渚監督作品)で英国アカデミー賞を、映画『ラストエンペラー』(ベルナルド・ベルトリッチ監督作品)の音楽ではアカデミーオリジナル音楽作曲賞、グラミー賞、他を受賞。常に革新的なサウンドを追求する姿勢は世界的評価を得ている。 環境や平和問題への言及も多く、森林保全団体「more trees」の創設、「stop rokkasho」、「NO NUKES」などの活動で脱原発支持を表明、また「東北ユースオーケストラ」を立ち上げるなど音楽を通じた東北地方太平洋沖地震被災者支援活動も行っている。 2014年7月、中咽頭癌の罹患を発表したが、2015年、山田洋次監督作品「母と暮せば」とアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督作品「レヴェナント:蘇えりし者」の音楽制作で復帰を果した。2017年春には8年ぶりとなるソロアルバム「async」を、同年末よりICC(東京)において新作のインスタレーション「IS YOUR TIME」を発表。 その後も多数の映画音楽制作を手掛けるなどハイペースの活動がつづいている。
昨日と同じことをしていたら。。。
この本が書かれた時は、ちょうど、坂本龍一氏が毎年開催している、「東北ユースオーケストラ」のコンサートの中止を決めた頃だった。僕は、このコンサートに2回ほど参加したことがあります。このプロジェクトは、彼が行っている音楽を通じた東北地方太平洋沖地震被災者支援活動の一つです。
彼はコロナ禍の中の音楽について、今後について語っています。世界のSAKAMOTOでも、コロナ後の状況に適用するしかないと書いています。彼は、今年初めは日本にいて、4月頃にニューヨークに戻ったんですよね。確かに、リアルなライブは世界中で開催できなくなったし、映画の制作も、公開もできなくなってしまった。彼にとっても大変な変化なんでしょうね。
「人間は、歴史の中で何度もこういうことを経験して、ヨーロッパの人口の3分の1がなくなるとか、大きなパンデミックも経験してきている。それでもなお、音楽はなくならないまま、ずっと人類の歴史の中に存在してきたんですよね。」
「こうした状況の中では、昨日と同じことをしていたら倒れてしまいます。ビジネスのやり方も活動の仕方も、急速にこの状況に適応する新たな方法を探してかないと生き残れない。いままでも生き延びてきたわけだから、なんとか方法を見つけるしかないと思います」
ドイツでは、文化大臣がアーティストたちに無制限の支援を表明したというニュースがありました。坂本氏は、「日本とヨーロッパでは音楽のあり方、掛けている予算額、文化の重要度が全然違う。文化を見捨てるのか、きちんと支援するか、今後、日本の国のありようが問われるだろう。」と書いています。
いまは歴史の分岐点
続いて坂本氏は、危機は権力に利用されやすいと警鐘をならす。彼の亡くなった友人、忌野清志郎はいつも、「地震の後には戦争が来る」、「気を付けろ」と言ってたそうです。この人は自由を愛する人だからなぁ。僕自身も、確かに政府機関にこういう情報を出すのは抵抗感がありますね。特に、コロナウィルス対策で、ほとんど国民の役に立っていない厚労省には。
「ウィルスを封じ込めるためにスマートフォンの位置情報などが利用されている。権力は一度有効な技術を持ってしまうと手放したがらない。テクノロージを駆使しした全体主義的な傾向が強まっていくか、それとも、ウィルスや疫病と共存しながらも民主主義的な世界を作っていけるのか。大きな歴史の分岐点になる時期だと思う。」
「時間」を疑う音楽
最近、坂本龍一氏が作ろうとしている音楽は、『時間というものは存在しない。』という考えに基づいた音楽だという。
「人間は、自然にない自分たちの頭でこしらえたものが現実だと思い込んで、それによって束縛されるというようなことが、ままあるんですね。時間もそうだし、お金や法律も、国だってそう。」
「大きな津波があったり、ウィルスが来たりすると、非日常的な世界が現れて、昨日までと同じように思考はできないし行動もできない、という時にふと我に返って、自分たちも自然の一部なんだと気づくのだと思います。」
「人間の作った音も自然の一部で、楽器の音を自然の音と区別することにあまり意味がないと思うようになった。」
彼の音楽は、極めて思索的です。最近の音楽は、特にその傾向が強く、様々な自然音やノイズが使われています。しかし、彼の音楽はいつも深く美しいです。僕は、坂本龍一氏の最近の作品、映画音楽『レヴェナント:蘇えりし者』、『ASYNC』が大好きです。彼しか作れない独特の美がある。
下にYouTube動画のリンクを貼りますね。どちらも、比較的新しい彼の新しい作品のリンクです。よろしかったらご覧になってください。
映画『CODA』トレーラー
次は僕が大好きな曲『andata』、アルバム『ASYNC』(2017年)の中の曲です。
- 作者:養老孟司,ユヴァル・ノア・ハラリ,福岡伸一,ブレイディ みかこ
- 発売日: 2020/08/11
- メディア: 新書
まとめ
『コロナ後の世界を語る -現代の知性たちの視線- 』4回にわたって内容をご紹介しました。この本は、内容が濃いおすすめの本です。今回の記事も文章が多くて、ビジアルでもなくて、申し訳ありません。是非、お時間がある時に読んで頂ければ幸いです。
新型コロナウィルスの危急事態宣言解除後に、僕自身も、静嘉堂文庫美術館、国立西洋美術館、アーティゾン美術館と3つの美術館に足を運び、改めてアートの素晴らしさに感動し、胸を打たれました。また、坂本龍一、ビートルズ、ボブ・ディラン など、音楽は日常から切り離せるものではありません。特にこういう苦しい状況の中では、音楽は重要です。
横尾忠則氏は、すごいアーティストですね。「この苦境を芸術的歓喜に」という言葉には感動しました。ビジネスも同じだと思います。新型コロナウィルスの影響は、まだまだ続きます。生き延びるために、苦境の中でしか生まれないビジネスを作っていかなければなりません。
坂本龍一氏は「文化を見捨てるのか、きちんと支援するか、今後、日本の国のありようが問われるだろう」と書いています。僕自身は、美術館に行ったり、アーティストのアルバムやグッズを購入する、配信ライブに参加するなど、できる範囲でアーティストへの協力をしたいと思います。そして、文化を守る政策を支持します。
今日もこのブログを訪問いただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。
ShinSha
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