時の化石

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瀧本哲史著『2020年6月30日またここで会おう』 日本にはまだ残る価値がある。投資家ジョージ・ソロス氏の驚きの物語。

どーも、ShinShaです。

今回の記事では、瀧本哲史著『2020年6月30日またここで会おう』についてご紹介します。瀧本さんは、2019年8月に逝去されました。この本を読んであらためて感じたのは、彼は本気で日本を変えようと考えていたということです。この本には、彼の情熱が注ぎ込まれています。ぜひ、多くの人に、若い人にこの本を読んで頂いて、彼の熱い志を知って欲しいと思います。

筆者の紹介

瀧本 哲史(たきもと てつふみ、1972年1月22日 - 2019年8月10日)

日本のエンジェル投資家、経営コンサルタント京都大学産官学連携本部イノベーションマネジメントサイエンス研究部門客員准教授、株式会社オトバンク取締役、全国教室ディベート連盟副理事長等を歴任した。

著書

『武器としての決断思考』星海社(出版) 講談社(発売)〈星海社新書1 〉、2011年9月。

『僕は君たちに武器を配りたい』講談社、2011年9月。

『武器としての交渉思考』星海社(出版) 講談社(発売)〈星海社新書 19〉、2012年6月。

『君に友だちはいらない』(講談社、2013年11月)

『ミライの授業』(講談社、2016年)

『2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義』(星海社新書、2020年4月) 引用:Wikipedia

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『2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義』(星海社新書、2020年4月)

『2020年6月30日またここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義』

本講義は、2012年6月30日、東京大学の伊藤謝恩ホールにて行われたものである。生徒の参加資格を29歳以下に限定、約300人の10代、20代が全国から集結した。

僕は、瀧本氏の本を読むのは、この本で3冊めです。まだ40%しか読めていませんが、本書のあちこちに驚きの情報と、感動する内容が書いてあります。すばらしい本です。

日本には、まだ残る価値がある

瀧本氏は、「日本はオワコンだが、まだ残る価値がある」と思って、海外への移住は止めたと話しています。なんだかんだ言っても、まだGDPは世界3位だし、伝統もあるし基盤がある。

日本に残ることを決めたから、どうやって日本を良くしていくかが、瀧本氏の大きな課題となった。

彼は、第一次世界大戦後のドイツのヒットラーアメリカのオバマ大統領の例から、特定のリーダによる「カリスマモデル」によって、世の中を変えることはうまくいかないという問題意識をもった。

「チェンジ」というキャッチフレーズで登場したオバマ大統領の時代、アメリカは外交内政の両方に自信を失い、衰退が目立つようになった。この事実は、まだ記憶に新しいですね。その反動で、共和党トランプ大統領が誕生した。

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"44 - Barack Hussein Obama - Jeopardy" by Opus Penguin is licensed under CC BY-SA 2.0

ソロスは、なぜコピー機をばらまいたか

僕は、投資はやらないのでジョージ・ソロス氏については「伝説の投資家」ということ以外、何も知らなかったです。

本書を読んでとても驚きました。この人、「イングランド銀行をつぶした男」として有名なんですね。とんでもない話が書いてありました。

サッチャー政権のときのイギリスの財政政策があまりにひどいので、「これから通貨のポンドが暴落する」と予言して、巨額のポンドを空売りしたんですね。国に戦いを仕掛けたわけです。

それで、困ったイギリス政府は一所懸命にポンドを買い支えたんですが、結局、国の資金が尽きてポンドは崩壊。ジョージ・ソロスは15億ドル儲けたという、とんでもない男です。

ジョージ・ソロス氏は、ハンガリーに生まれたユダヤ人で、少年時代はナチスに迫害され、戦争が終わってからは、ソ連に苦しめられた。彼は、若くしてイギリスに移住し、今はアメリカに住んでいる。

ジョージ・ソロス氏が、ファンドマネージャーとして、巨額の資金を持ってから「自由に意見も言えない共産主義を倒そう」と無謀な計画を立てた。個人が国家を倒す。とほうもない話ですね。つくづく、この人、すごい人です。

結局、色々やってみたが、ほとんどがうまくいかなかったらしい。しかし、唯一成功したのが、コピー機をばらまいたことだった。共産主義では、国内の印刷機コピー機を国家が押さえている。

ソロス氏が私財をはたいて、ばらまいたコピー機で、活動家がビラを作ってばらまくようになり、民主化運動が盛り上がっていった。その結果、彼の母国ハンガリーだけでなく、ポーランドチェコソロバキアなど東欧諸国が、ソ連からの独立に成功したといわれている。この人、やはりとんでもない人ですね。

瀧本氏は、ソロス氏のエピソードから、意見をばらまくことが、世の中を変える力となることに気がついた。そして、出版に力を入れるようになった。

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"George Soros speach in Brussels" by nicolaeur1 is marked with CC0 1.0

自分の頭で考えろ 奴隷にはなるな

筆者は、結局、日本を良く変えていくためには、「世の中を変えそうな人をたくさんつくって、誰がうまくいくかわからないけれども、そう人たちに武器を与え、支援する活動をした方が、実際に世の中を変えられる可能性が高い」と考えたのです。

彼は「カリスマモデル」ではなく「武器モデル」を選んだ。20代の若者に、武器としての教養を与えることを、重要な戦略とした。そして、京都大学で学生に講義を行い、本を書くようになった。

アリストテレスは、奴隷とは「ものを言う道具」だと言った。自分の頭で考えない人は、道具、取り替えがきく人材として買い叩かれる。「道具になるな、自分の頭で考えて、行動する人間になれ。」彼は学生たちに熱く語っています。

社会全体の価値観はどのように変わったか

社会全体の価値観が劇的に変化することを、「パラダイムシフト」といいます。元は科学用語だそうです。参考までに、wikipediaの説明を下に掲載しました。

パラダイムシフト(paradigm shift)とは、その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することをいう。

引用:wikipedia

パラダイムシフト」という言葉で、まず頭に浮かぶのが、「コペルニクスの地動説」です。大昔の天文学では、地球の周りを、太陽や月やほかの星が回っていると考えられていました。しかし、ポーランド天文学者コペルニクスは、地球が太陽の周りを回っている「地動説」を唱えたのです。

コペルニクスの地動説」が出てから、科学の学説は、180度変わるような変化が起きました。「コペ転」、「コペルニクス的転回」という言葉が、昔、流行りましたね。

社会全体の価値観が劇的に変化する。どういう風に、皆んなの考え方がガラリと変わったか? ものすごく興味がありますね。この本にはこう書いてありました。

科学史の学者トーマス・クーンが、世の中を大きく変えた地動説、ニュートン力学ダーウィン進化論などの科学的な革命について、調査・研究して分かったことは、身もふたもない事実だった。

パラダイムシフト」は、世代交代によって起こっていた。つまり、古い学者が死んでいくことでしか、「パラダイムシフト」は起きていなかった。新しく正しい理論は、いかにそれが正しくても、古くて間違った理論を、打ち負かすようなことは起きていなかった。

この事実から、瀧本氏は「若い人が、新しくて正しい考え方を選べば、何十年も経てば、必ず社会の劇的な変化を起こせる」と語っています。そのために、彼は、若い人たちに教養という武器を与えようとしたのです。

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<a href="bBear">https://www.photo-ac.com/profile/841363">bBearさんによる<a href="">https://www.photo-ac.com/">写真AC</a>からの写真

あとがき

瀧本さんは、「日本にはまだ可能性がある。何とか良くしていこう。」と考えて大学に戻り、本を書き、本気で日本を変える人材を育てようとした。本当に素晴らしい人ですね。つくづく、惜しい人をなくしたと思います。

久しぶりに瀧本氏の本を読んだのですが、じつに懐かしかった。この本は、講義から起こした文から書かれているので、とても読みやすいです。彼の本は、相変わらず、内容が充実していて、知的な情報にあふれています。何より、この本はとても面白い。ぜひ、多くの人に、特に若い人に、この本を読んで頂きたいと考えます。

60代や70代が、政治の中心にいては、日本は変わらない。しばらく前に「還暦からの底力」のブログで書いたように、日本を良く変えていくためには、若い世代と、女性と外国人が活躍できる社会にする以外の方法はなさそうです。我々、ジジイはさっさと引退して、次の世代に主導権を渡しましょう。

本書はとてもすばらしいので、近日中に続きの記事を書きたいと思います。

今日もこのブログを訪問いただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。

ShinSha

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