時の化石

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福岡伸一著 『新版 動的平衡』を読みながら 生命の本質を知れば知るほど、なぞは深まっていく

どーも、ShinShaです。

今日は、福岡伸一著『新版 動的平衡』をご紹介します。この本は、生物学が解明した驚異的な生命のしくみを、分かりやすく説明しています。さらに、IPS細胞や健康食品に関する科学的な知識も得ることができます。これは、読まなければならない本ですね。

著者の紹介

福岡/伸一 1959年東京生まれ。京都大学卒。米国ロックフェラー大学およびハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授を経て、青山学院大学理工学部教授。分子生物学専攻。専門分野で論文を発表するかたわら一般向け著作・翻訳も手がける。2006年、第1回科学ジャーナリスト賞受賞。著書に、『プリオン説はほんとうか?』(講談社ブルーバックス講談社出版文化賞科学出版賞)、『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書2007年サントリー学芸賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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福岡伸一著 『新版 動的平衡小学館新書

おススメのポイント

しばらく前のブログ『コロナ後の世界』で、福岡伸一さんが書かれた「ウィルスは本来、利他的な存在」という文章に、大変驚きました。その記事が、あまりに面白かったので、ベストセラー 『新版 動的平衡』を読むことにしました。

この本では、近代の生物学が解き明かした驚異的な生命のしくみ「動的平衡」を分かりやすく説明してくれます。くわえて、最近の生命工学のトピック、ヒトと病原体とのイタチごっこの闘い、ダイエット、健康食品の科学など、福岡先生の解説から実用的な知識も得ることができます。本書は、現代人としての科学的知識を勉強するために、とても重要な本だと思います。

  • 生命現象とは何か
  • ES細胞、iPS細胞、再生医療に関する基礎知識
  • 病原体(細菌、ウィルス、プリオン)に関する基礎知識
  • ダイエットの科学
  • コラーゲン食品、健康食品の虚しさ

あらすじ

「生命とは何か」という永遠の命題に迫る!
●年を取ると一年が早く過ぎるのは、「体内時計の遅れ」のため。●見ている「事実」は脳によって「加工済み」。●記憶が存在するのは「細胞と細胞の間」。●人間は考える「管」である。●ガン細胞とES細胞には共通の「問題点」がある…など、さまざまなテーマから、「生命とは何か」という永遠の謎に迫っていく。発表当時、各界から絶賛され、12万部を突破した話題作をついに新書化。最新の知見に基づいて大幅な加筆を行い、さらに画期的な論考を新章として書き下ろし、「命の不思議」の新たな深みに読者を誘う。哲学する分子生物学者・福岡ハカセの生命理論、決定版!  

引用:ブクログ https://booklog.jp

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"Biotechnology" by Idaho National Laboratory is licensed under CC BY 2.0

動的平衡」とは

私たちの体は、タンパク質、炭水化物、脂質、核酸などの分子で作られています。私たちの身体は、これらの物質を絶え間なく、合成と分解を繰り返すことで成り立っています。1年前の自分と、今ある自分は別物なんですね。こうしている、今でも、身体を作っている分子は、壊され、作られながら入れ替わっているのです。

爪や皮膚、髪の毛は言うにおよばず、骨や歯のような固いものも、脳細胞も作り替えられる。たえず入れ替わっている自分は何処にあるのか?

私たちは流れていく物質の「淀み」でしかない。

宇宙では、すべての現象が「エントロピー増大の法則」に従います。分かりやすくいうと、氷が解けて水や水蒸気に変わっていくように、整ったものは乱雑になっていく。生命を構成する分子は、そのままでは、劣化して分解していくしかないのです。

科学者アンリ・ベルクソン「生命には物質の下る坂を登ろうとする努力がある」(1907)と言った。生命は自らを分解して増大するエントロピーを捨て、合成するしくみを持つことで、坂を登っていくのです(下の図を参照ください)。
物質の分解と合成を繰り返して、坂を登っていくしくみを「動的平衡」といいます。これこそが生命の本質なのです。

生命の本質である「動的平衡」を知ることは、大きな感動でした。とても勉強になりました。

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動的平衡」のモデル図

生命の神秘

本書を読んで考えたことは、生命の本質はどこにあるのか?ということです。

確かに生命はどんどん分解していくと部品になる。遺伝子上に設計図がある2万数千種類のミクロな部品。その部品(タンパク質)は、今ではどれも試験管の中で合成することができる。

では、それを機械のように組み合わせれば、生命体になるだろうか。否である。合成した2万数千種類の部品を混ぜ合わせても、そこには生命は立ち上がらない。それはどこまで行っても、ミックス・ジュースでしかない。
生命を物質レベルからだけ考えると、ミクロなパーツからなるプラモデルに見えてしまう。しかし、パーツとパーツのあいだには、エネルギーと情報がやりとりされている。

エネルギーと情報をタイミングよく交換させているものが、生命の本質であると記されています。筆者は、それは「時間」に由来するものだと書いています。

うむ。よく分からないのです。何が「エネルギーと情報をタイミングよく交換させ」ているのか? 本書を読んで、生命の本質について知れば知るほど、謎は深まっていきます。

コラーゲン添加食品、健康食品は効果があるか

本書には、食品に関する科学的な考察もたくさん書いてあります。とても勉強になります。

人間は、自分の体を作っているタンパク質、炭水化物、脂質などの物質を合成するために、絶えず食物を取る必要があります。

タンパク質はアミノ酸がいくつも連結した高分子化合物です。食べた動物性、植物性タンパク質は、私たちの体の中で、食いちぎられ、消化器官の中で酵素によりアミノ酸のレベルまで分解されます。その後、そのアミノ酸を使って、自らの体に必要な物質が合成されます。これは、元々の生物の情報が残っているタンパク質をそのまま吸収すると、人間もつ情報に影響して問題が起きるからなのです。

コラーゲンは細胞と細胞のすきまを埋めるクッションのような役目をはたすタンパク質です。皮膚のハリはコラーゲンが支えています。コラーゲンを外から、食べ物としてたくさん摂取しても、肌のハリの衰えを直すことはできません。
それは、食べたコラーゲンがアミノ酸レベルまで分解されてしまうからです。分解されたアミノ酸は、コラーゲンにはなりません。
最近は、低分子コラーゲン(笑)なる食品もあるそうです。もちろん、これも効果がある訳はありませんね。

また、コラーゲンを添加した化粧品もあるそうですね。皮膚から、タンパク質が吸収できる訳ないですね。もし、その化粧品に効果を感じるなら、保湿剤(ヒアルロン酸グリセリン尿素)が、皮膚のシワを埋めたからなのです。

同じ理由から、膝がよくなるコンドロイチンとか、頭が良くなる食品なんかもありません。とても、残念ですけどね。

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"Biotechnology Research" by Idaho National Laboratory is licensed underCC BY 2.0

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

あとがき

今日は、分子生物学者、福岡伸一著 『新版 動的平衡』をご紹介しました。生物工学が発展したのは、この100年くらいなのですね。興奮して、この本を読みました。

最近のニュースでは、IPS細胞、ES細胞再生医療など生命工学やバイオサイエンスに関する情報がたくさん出てきます。この本には、これらの情報が分かりやすく説明されています。
また、ダイエットの科学など、実用的な話題にも触れられていて、親しみやすく読むことができます。生物工学、バイオサイエンスなどの情報を知るためには最良の本だと思います

この本を読んで、生命について知れば知るほど、その神秘性が増していきます。これを解明するのが、科学の目的なのかもしれませんね。

今日もこのブログを訪問いただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。

ShinSha

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