どーも、Shinshaです。
今回は連載記事『古事記を読もう』第7回目の記事。まだまだオオクニヌシの試練は続きます。兄神にもスサノヲにもいじめられる。今回の物語、まるでインディジョーンズですね。
前回に続いて、オオクニヌシの試練が続きます。今回の記事では、やっとのことで兄神から逃げたら、今度はスサノヲにもひどい目にあわせられます。そうやって彼は一人前の男に成長して行ったのです。
このストーリー、始めて読みました。まるでインディジョーンズか、ハムラ・プトラのようです。じつに面白かったです。
古事記の面白さ
古事記は、およそ1500年前に書かれた現存する日本最古の歴史書です。語り言葉を生かした漢文体で書かれています。日本書紀は、古事記ができてから8年後に、本格的な歴史書を作ろうという動きの中で作られた正史です。中国に習って漢文体で書かれています。
古事記の魅力は、正史である日本書紀には書いてないヤマトに生まれた王権によって日本列島が統一される以前の物語が書いてあることです。ヤマト王権に、逆らい敗れた者たちの悲劇のドラマが生き生きと書かれているのです。これこそ、大河小説ではないか。
しかも、全てが空想の物語ではなく、関連する遺跡が発見されていたり、縄文文化とも関わりがあるのです。古事記とは何なのか。何が書かれているのか? 大きな興味を感じます。
本ブログで古事記をご紹介する方法について
このブログでは、テキストとして、青空文庫『古事記』現代語訳 武田祐吉を使用します。この本は初版が1956年と古いので、副読本として三浦佑之著『読み解き古事記 神話編』朝日新聞出版を使用します。副読本を使って、現代的な解釈を補ってもらうことにします。
ブログ記事の範囲は、個人的に興味がある、古事記の上巻、神話部分と致します。全文を読むのは、大変な労力となりますので、独断と偏見で、「重要だ」、「面白い」と判断した部分のテキストを引用して、その解釈と感想について記事を書いていくことにします。また、できるだけ、インターネットの特長であるビジュアルな記事としたいと思います。
少しずつ、古事記の勉強を進めていきたいと思います。興味のある方は、ぜひ、一緒にを勉強していきませんか。
大穴牟知は大国主のことです。青木繁、こんな作品もあったのですね、
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まだまだ続くオオクニヌシの試練
根の堅州の国
[テキスト]
これをまた大勢の神が見て欺いて山に連れて行つて、大きな樹を切り伏せてクサビを打つておいて、その中に大国主の命をはいらせて、クサビを打つて放つて打ち殺してしまいました。そこでまた母の神が泣きながら搜したので、見つけ出してその木を割いて取り出して 生かして、その子に仰せられるには、「お前がここにいるとしまいには大勢の神に殺されるだろう」と仰せられて、紀伊の国のオホヤ彦の神のもとに逃がしてやりました。
そこで大勢の神が求めて追つて來て、矢をつがえて乞う時に、木の俣からぬけて逃げて行きました。
そこで母の神が「これは、スサノヲの命のおいでになる黄泉の国に行つたなら、きつとよい謀 (はかりごと)をして下さるでしよう」と仰せられました。
復活したオオクニヌシを見て兄神たちは激怒した。今度は山に連れていって、大きな木を切り倒してクサビを打った。そして、その中にオオクニヌシを押し込め、クサビを抜いて木にはさんで殺してしまったのです。
母神は泣きながら探し出して、木を二つに割いてオオクニヌシを助けて生き返らせた。「ここにいると、ついには兄神たちに殺されてしまうでしょう。」と紀伊の国のオホヤビコ(大屋彦)神のところに逃したのです。
兄神たちは、紀伊まで追ってきて、弓に矢をつがえて、オオクニヌシを出せと脅した。オホヤビコは木の股から彼を逃したのです。母神は、 スサノヲがいる根の堅州国に行けば、何か良い対策を考えて頂けるでしょうと話したのです。
兄神たちはしつこいですね。もう2回も殺されているのに、ついには殺されてしまうという、というのはどういうことだろうか。もっとひどい方法があるのでしょうか。真っ赤に焼けた岩に押しつぶされるのも、大木に挟まれるのも相当痛そうですが。。。。副読本には、古代から出雲と紀伊の国(現在の和歌山県)とは、水運を通じた交流が盛んだったとの記述があります。
テキストでは、スサノヲがいる場所を「黄泉の国」と書いていますが、副読本では「根の堅州の国」と書いており、両者は異なる場所だとの説明があります。
副読本によると「根の堅州の国」は地底に存在するが、死者の国ではなく、死者、新しい生命の魂が集まる原郷のような場所だと説明しています。水平線の彼方にある魂の原郷だと。
[テキスト]
そこでお言葉のままに、スサノヲの命の御所に參りましたから、その御女のスセリ姫が出て見ておあいになつて、それから還つて父君に申しますには、「大変りつぱな神樣がおいでになりました」と 申されました。そこでその大神が出て見て、「これはアシハラシコヲの命だ」とおつしやつて、 呼び入れて蛇のいる室に寢させました。
そこでスセリ姫の命が蛇の領巾(ひれ)をその夫に與えて言われたことは、「その蛇が食おうとしたなら、この領巾を三度振つて打ち払いなさい」と言いました。
それで大国主の命は、教えられた通りにしましたから、蛇が自然に靜まつたので安らかに寢てお出になりました。
また次の日の夜はムカデと蜂との室にお入れになりましたのを、またムカデと蜂の領巾を与えて前のようにお教えになりましたから安らかに寢てお出になりました。
言葉に従って、オオクニヌシは根の堅州の国に出かけ、スサノヲの娘、スセリ姫(須勢理毘売)と出会う。二人は出会った途端にひかれあい結ばれる。原文には「まぐあひしあはして」と書いてあり、出会った途端に結ばれた。
古代人はまどろっこしい手続きなど飛ばして、あっという間にできてしまう(笑)そして、このスセリ姫があっと驚く、系図を6代とばして大国主と結婚した相手なんですね。おそろしい系図(笑)です。
▲ nnh - selfmade by MS-Paint, CC 表示 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=631071による
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スセリ姫は家に戻って「とっても素敵な男性がいましたわ」と父スサノヲに伝えた。スサノヲは、この男はアシハラシコヲ(芦原色許男)、地上の男だと素性を見破り、家に招き入れた。そして、蛇がうじゃうじゃいる恐ろしい部屋に寝かせたのです。
突然やってきた娘の恋人をひどい目にあわせる。確かに気持ちは分かるが、やりすぎでしょう。
スセリ姫は、オオクニヌシに領巾(ひれ、現代のネッカチーフのような装飾品)を渡して、蛇が食いついてきたら領巾を3回振って追い払いなさい、と助け舟を出したのです。教えられたとおりにしたオオクニヌシは無事に夜を過ごしました。
スサノヲは次の日は、ムカデと蜂がうじゃいじゃいる恐ろしい部屋に寝かせた。スセリ姫は、新しい領巾(ひれ)を渡して、前と同じように教えた。教えられたとおりにしたオオクニヌシは無事に夜を過ごしました。
オオクニヌシは二度もひどい目にあわされた。しかし、妻の知恵で見事に救われた。
蛇のうじゃうじゃ、ムカデと蜂のうじゃうじゃは、インディジョーンズの映画を連想させます。あの映画、面白かったなあ。一緒に映画見に行った女性がきゃあきゃあ言って。。。。。(これ以上は自主規制)
ルーカスは古事記を知ってたのではないだろうか。下の画像は迫力ないなぁ。。。ごめんなさい。
"Florida Pine Snakes: Release" by MyFWC Florida Fish and Wildlife is licensed under CC BY-NC-ND 2.0
[テキスト]
次には鏑矢(かぶらや)を大野原の中に射て入れて、その矢を 採らしめ、その野におはいりになつた時に火をもつてその野を燒き囲みました。そこで出る所を知らないで困つている時に、鼠が來て言いますには、「内はほらほら、外はすぶすぶ」と言いました。こう言いましたからそこを踏んで落ちて隱れておりました間に、火は燒けて過ぎました。そこでその鼠がその鏑矢を食わえ出して來て奉りました。その矢の羽は鼠の子どもが皆食べてしまいました。
かくてお妃のスセリ姫は葬式の道具を持つて泣きながらおいでになり、その父の大神はもう死んだとお思いになつてその野においでになると、大国主の命はその矢を持つて奉りましたので、家に連れて行つて大きな室に呼び入れて、頭の虱(しらみ)を取らせました。
今度はスサノヲは鏑矢(射ると音が出る矢)を野原に放って、オオクニヌシに矢を取ってこさせた。オオクニヌシが野原に取りに行くと、火を点けて焼き払ったのです。
その時、ネズミが来て「内はホラホラ、外はスプスプ」というので、オオクニヌシは地面を強く踏むと、穴に落ちて避難することができました。その間に火は通り過ぎたのです。ネズミが鏑矢をくわえて持ってきましたが、羽はネズミの子供が食べてしまいました。
スセリ姫は葬式の道具を持って、泣きながらオオクニヌシを探した。スサノヲもさすがに今度は死んだだろうと野原に行ったら、オオクニヌシは矢を捧げて渡してきたのです。
スサノヲはオオクニヌシを家に連れ帰って、頭のシラミを取らせました。
「内はホラホラ、外はスプスプ」は内側には洞がある、外はすぼまっている、の意味です。擬音語を使った楽しい表現ですね。
しかし、三度までも婿をいじめる。三回目はどう考えても、殺す気だったとしか思えませんね(笑)。オオクニヌシは恋人の知恵で命が救われ、またネズミの声、自然を味方につけることで救われた。副読本では、オオクニヌシが、他人の力、自然の力を引き寄せることができる魅力ある人間として成長したからだとしています。
スサノヲがオオクニヌシを認めたかといえば。。。やはり、そうではなかった。次回へ続く。
三浦佑之著『読み解き古事記 神話編』は、古事記研究の第一人者の書いた本です。これまでの研究成果を踏まえて分かりやすく、現代的に古事記のすべてを解説してくれます。オススメの素晴らしい本です。ぜひ。
- 作者:三浦 佑之
- 発売日: 2020/10/13
- メディア: 新書
あとがき
いやぁ、今回は面白かったですね。蛇のうじゃうじゃ、ムカデと蜂のうじゃうじゃ。1500年前に書かれたとは思えない、想像力にあふれた物語でした。内はホラホラも、なかなか良かったです。
ヤマタノオロチを退治したとはいえ、やはりスサノヲは一筋縄ではいかなかったなぁ。これは、試練なのか、虐めなのか、それとも殺しなのか(笑)。
若い男性諸君、初めて彼女の家を訪問する時は気をつけた方が良いですよ(笑)。
かなり中途半端なのですが、今回はここまで。
今日もこのブログを訪問いただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。
ShinSha
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