時の化石

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連載記事『日本最古の歴史小説 古事記を読もう』(その10)オオクニヌシとふしぎなスクナビコナ神の国づくり

どーも、ShinShaです。

今回は連載記事『古事記を読もう』第10回の記事。今回は、植物の実の船に乗って、蛾の着ぐるみを着た不思議な神様が登場。やっぱり古事記ってユニークですね。

絵本やアニメになりそうな物語です。蛾の神様ってどこからきた発想なんでしょうね。ググっても情報は見つかりませんでした。

ふとモスラが関係あるかもとも思ったのですが、モスラは東京タワーぐらい大きいしね。

古事記の面白さ

古事記は、およそ1500年前に書かれた現存する日本最古の歴史書です。語り言葉を生かした漢文体で書かれています。日本書紀は、古事記ができてから8年後に、本格的な歴史書を作ろうという動きの中で作られた正史です。中国に習って漢文体で書かれています。

古事記の魅力は、正史である日本書紀には書いてないヤマトに生まれた王権によって日本列島が統一される以前の物語が書いてあることです。ヤマト王権に、逆らい敗れた者たちの悲劇のドラマが生き生きと書かれているのです。これこそ、大河小説ではないか。

しかも、全てが空想の物語ではなく、関連する遺跡が発見されていたり、縄文文化とも関わりがあるのです。古事記とは何なのか。何が書かれているのか? 大きな興味を感じます。

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寛永版本 古事記國學院大學古事記学センター蔵) 引用:Wikipedia https://commons.wikimedia.org/wiki/Special:Search/しんぎんぐきゃっと

古事記を読む(その10)

系譜

ヤチホコの神語りのあとにはオオクニヌシ系図が書かれいます。胸形(宗像)沖津宮の神との結婚は、古代出雲と九州の海民との結びつきを示しています。

副読本では鳥取(トトリ)の神と結婚後の10代にわたる長い系譜については歴史上どんな意味があったのか不明だと書かれています。

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オオクニシの系譜

nnh, CC BY-SA 3.0 http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/, via Wikimedia Commons

スクナビコナの神

[テキスト]

――オホアナムチの命としばしば並んで語られるスクナビコナの神は、農民の間に語り伝えられた神で、ここでは蔓芋(つるいも)の種の擬人化として語られている。――

そこで大国主の命が出雲の御大の御埼においでになつた時に、波の上を蔓芋(つるいも)のさやを割つて船にして 蛾の皮をそつくり剥いで著物にして 寄つて來る神様があります。

その名を聞きましたけれども答えません。また御従者の神たちにお尋ねになつたけれども皆知りませんでした。

ところがひきがえるが 言うことには、「これはクエ彦がきつと知つているでしよう」と申しましたから、そのクエ彦を呼んでお尋ねになると、「これはカムムスビの神(神産巣日神)の御子でスクナビコナの神です」と申しました。

依つてカムムスビの神に申し上げたところ、「ほんとにわたしの子だ。子どもの中でもわたしの手の股からこぼれて落ちた子どもです。あなたアシハラシコヲの命と兄弟となつてこの国を作り固めなさい」と仰せられました。

それでそれから大国主スクナビコナとお二人が並んでこの国を作り固めたのです。

後にはそのスクナビコナの神は、海のあちらへ渡つて行つてしまいました。

このスクナビコナの神のことを申し上げたクエ彦というのは、今いう山田の案山子のことです。

この神は足は歩きませんが、天下のことをすつかり知つている神樣です。

オオクニヌシが出雲の美保の三崎位にいる時に、ガガイモの船に乗って、蛾の皮をまるごと剥いで、それを着物にして近づいてくる神様がいました。

テキストでは蔓芋(つるいも)と書いてありますが、正しくはガガイモという植物のようです。ガガイモ(蘿藦、鏡芋)はキョウチクトウ科のつる性多年草です。webで写真を探しましたら何点かありました。本当に実は船のようですね。

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ガガイモの実

引用:[亀成川を愛する会]https://kamenari-love.localinfo.jp/posts/7626096/

その船に乗って、蛾の着ぐるみを着た神様が近づいてきました。

本人に名前を聞いても言わない、誰に聞いても分からないので困っていると、ヒキガエルがクエ彦なら知っているでしょうと話しました。クエ彦を呼ぶと「カムムスヒ神の子供のスクナビコナの神です」と答えた。

オオクニヌシがカムムスヒ神に尋ねたところ「私の手の中からこぼれてしまった子供です。兄弟のように仲良く国を作りないさい」とおっしゃった。

そこで二人で仲良く協力して国づくりを行いました。しばらく後にスクナビコナの神は海の向こうに帰ってしまいました。

クエ彦というのは山田の案山子(ヤマタノカカシ)のことです。歩くことはできないけれど、地上のあらゆることを知っている神様です。

蛾の着ぐるみを着た神様というのはすごい発想ですね。当然小さい神様ということになりますが、何で蛾でなければならないのでしょうか。そういえば、また、海の向こうのカムムスヒ神(神産巣日神)が出てきましたね。

副読本の解説ではオオクニヌシスクナビコナが稲作、温泉、医療に関わったという伝承があるそうです。

古事記の記事を書くたびに、イラストが描けたらと思うのですが、できないので蛾の写真を載せます。蛾も集めると美しいですね。虫嫌いの人はじっくり見てはいけませんよ。

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ペルーの蛾のコレクション

"Peruvian Moths Composite - August 2016" by Thomas Shahan 3 is licensed under CC BY 2.0


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御諸山(みもろ)の神

[テキスト]

――大和の三輪山にある大神(おおみわ)神社の鎮座の縁起である。――

そこで大国主の命が心憂く思つて仰せられたことは、「わたしはひとりではどのようにしてこの国を作り得ましよう。どの神樣と一緒にわたしはこの国を作りましよう か」と仰せられました。

この時に海上を照らして寄つて来る神樣があります。

その神の仰せられることには、「わたしに対してよくお祭をしたら、わたしが一緒になつて国 を作りましよう。そうしなければ国はできにくいでしよう」と仰せられました。

そこで大国主の命が申されたことには、「それならどのようにしてお祭を致しましよう」と申されましたら、「わたしを大和の国の青々と取り囲んでいる東の山の上にお祭りなさい」と仰せられました。

これは御諸の山においでになる神樣です。

オオクニヌシは心配になって「一人でどうやって国を作ろう、だれを頼ればいいのだ」と話しました。

その時、海を照らして近づいてくる神様がいました。

神は「私を丁重に祀(ま)ってくれるなら、一緒に国を造りましょう。そうしなけば国造りはできません。」と話しました。

「どのようにお祀りしたらよいでしょうか?」と尋ねると、神様は「大和国を囲む東の山上に祀りなさい。」とおっしゃった。

これは御諸の山に鎮座する神です。

御諸(みもろ)の山は神が寄り付く山という意味です。

古事記のこの部分では海の向こうからやってきた神が誰であるか書いてありません。

副読本では、この神は古事記中巻に何度か出てくる三輪山のオオモノヌシ(大物主)であると説明しています。日本書紀にはオオモノヌシはオオクニヌシの分身であるという話が出てくるが、出雲には他の伝承もあるとのこと。いずれにしても、出雲弁の王オオクニヌと大和との無視できない関係を書いたものであると解釈しています。

奈良県の大神(おおみわ)神社のwebsiteでは、この物語がこの神社の由来としており日本最古の神社であるとしています。

古事記では、この後にスサノヲの子供オオトシ(大年神)の系譜が記されていますが、この記事では省略します。

因幡からヤマタノヲロチ退治、出雲国づくりまでのオオクニヌシの成長と繁栄の物語は今回の記事で幕を閉じます。

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大神神社

Saigen Jiro - 投稿者自身による作品, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=29139098による

本ブログで古事記をご紹介する方法について

このブログでは、テキストとして、青空文庫古事記』現代語訳 武田祐吉を使用します。この本は初版が1956年と古いので、副読本として三浦佑之著『読み解き古事記 神話編』朝日新聞出版を使用します。副読本を使って、現代的な解釈を補ってもらうことにします。

ブログ記事の範囲は、個人的に興味がある、古事記の上巻、神話部分と致します。全文を読むのは、大変な労力となりますので、独断と偏見で、「重要だ」、「面白い」と判断した部分のテキストを引用して、その解釈と感想について記事を書いていくことにします。また、できるだけ、インターネットの特長であるビジュアルな記事としたいと思います。

少しずつ、古事記の勉強を進めていきたいと思います。興味のある方は、ぜひ、一緒にを勉強していきませんか。

三浦佑之著『読み解き古事記 神話編』は、古事記研究の第一人者の書いた本です。これまでの研究成果を踏まえて分かりやすく、現代的に古事記のすべてを解説してくれます。オススメの素晴らしい本です。ぜひ。

読み解き古事記 神話篇 (朝日新書)

読み解き古事記 神話篇 (朝日新書)

 あとがき

ガガイモの船に乗った、蛾をまとった神様。1500年前の人々には、絵本作家や漫画家のように豊かな想像力があったのですね。

案山子は古事記の頃からあるんですね。江戸時代の田舎の発明だと思っていました。歩けないけど何でも知っている。恐るべしです。子供の頃、石を投げて遊んでいました。バチが当たったかも(汗)。

楽しかったオオクニヌシの良き時代の物語は終わりを告げ、次回からはアマテラスとの対立が始まります。縄文の世界は弥生人に制圧されていくのです。

今日もこのブログを訪問いただき、ありがとうございました。

古事記の連載はまだまだ続きます。今後ともよろしくお願いします。

ShinSha

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