時の化石

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いとうせいこう著『ボタニカルライフ』 再びの巣ごもりの日々 楽しい読書をしよう!

どーも、ShinShaです。

今回は、いとうせいこう『ボタニカルライフ』の記事です。NHK夜ドラマ『植物男子ベランダー』のファンでした。こんな時は楽しい本を読んで笑おう。心をリフレッシュしよう。

久しぶりに『ボタニカルライフ』を手に取って読みました。この本は本当に面白い。何度も声を立て笑ってしまいました。

久々に楽しい読書をした気がします。

いとうせいこうさんのプロフィール

いとうせいこうさんのプロフィールは下のとおりです。かつて、雑誌「ホットドッグ・プレス」の編集者だった。日本語ラップの先駆者、作家、クリエイター、多才な人です。

最近ではコロナ禍の中で音楽に関わる人々を「封鎖」せず、音楽を楽しむ人々同士を「封鎖」しないためオンラインフェス<MUISC DON’T LOCKDOWN>を発起するなどの活動を行っています。

1961年、東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業。

編集者を経て、作家、クリエーターとして、活字・映像・音楽・舞台など、多方面で活躍。音楽活動においては日本にヒップホップカルチャーを広く知らしめ、日本語ラップの先駆者の一人である。

アルバム『建設的』(1986年)にてCDデビュー。その後『MESS/AGE』(1989年)、アルバム『OLEDESM』(1992年)、『カザアナ』(2008年)などをリリース。また他アーティストへの作詞提供曲として、やや『夜霧のハウスマヌカン』、大竹まこと『俺の背中に火をつけろ!』、ももいろクローバーZ『5 The POWER』など多数。近年ではロロロへの加入や、レキシでの活動、DUBFORCEへの加入などがある。

著書に小説『ノーライフキング』エッセイ集『ボタニカル・ライフ』(第15回講談社エッセイ賞受賞)『想像ラジオ』(第35回野間文芸新人賞受賞)『存在しない小説』『鼻に挟み撃ち他三編』『我々の恋愛』など。執筆活動を続ける一方で、宮沢章夫竹中直人シティボーイズらと数多くの舞台をこなす。
みうらじゅんとは共作『見仏記』で新たな仏像の鑑賞を発信し、武道館を超満員にするほどの大人気イベント『ザ・スライドショー』をプロデュースする。

テレビのレギュラー出演に「ビットワールド」(Eテレ)「せいこうの歴史再考」(BS12)「フリースタイルダンジョン」(テレビ朝日)などがある。
「したまちコメディ映画祭in台東」では総合プロデューサーを務め、浅草、上野を拠点に今年で9回目を迎える。

引用:いとうせいこう|プロフィール|HMV&BOOKS online

いとうせいこう著『ボタニカルライフ』を読む

いとうせいこうさんは、『去勢訓練』という小説を書き上げてから、うつ病となり『想像ラジオ』の執筆まで、何と16年間、小説が書けなくなってしまいました。

彼は東日本大震災後に、再び小説を書き始めました。『想像ラジオ』は津波にのみ込まれて亡くなったDJアークの物語です。とても良い小説でした。これもいつか記事に書いてみたいです。

本書は小説が書けなくなった時代に、せいこうさんがベランダの花について日記のようにつづったエッセイ集です。本の最初に出版までの経緯が書いてあります。

ある日突然にこの手記は始まった。

誰に頼まれたわけでもない。思いついてどこかの雑誌に持ち込んんだわけでもない。ホームページである。

つまり読者も自分、編集者も自分というような状況の中で手記は始まり、しかしなぜか毎月俺は描き続けたのである。

実質上締め切りなど存在しない。
そのかわり決まった文章量もない。

その自由さが俺にはひどく新鮮だった。

毎月毎月、書きたくて書きたくてたまらず、文章が伸びていくのにまかせてキーを叩き続けた。

本書のエッセイは1996年10月から1999年12月までつづられています。

花は心を癒す。。。このエッセイはそんな内容ではありません。ベランダで植物を育て枯らす。喜びと苦悩、植物に振り回された日々の記録なのです(笑)。

世の中に本はごまんとあるけれど、これほど楽しい本はないですよ。しかも、ひとつひとつのエッセイは短く、さらりと読めてしまいます。


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ベランダーの誕生

この本の冒頭に、下の文章が書かれています。この文により世の中に「ベランダー」が誕生したのです O(≧▽≦)O

ベランダー。

ガーデナーとの違いは一目瞭然だろう。

庭のない都会暮らしを選び、ベランダで植物生活を楽しんでいるのだ。

しかしこれからは安心である。

皆さんも胸を張ってベランダーと名乗っていただきたい。

名乗った途端に不思議と気持ちが張り切り、むしろ庭など金輪際持ちたくないというように無理な気分に満ちてくる。

こんな狭い部屋に住んでいる私はなんと哀れであることよとか、しょせん仮住まいですからねなどといった消極的な気分はすぎに吹き飛ぶ。

人生何事も肯定が必要だ。

自己欺瞞とも言う。

本を読むと、せいこうさんは浅草のマンションの最上階に住んでいたらしい。広大なベランダを持っていたのです。

彼は自転車に乗って、いつも近所のスーパーに植物を買いに行きます。そこでセール品を近所のばあさんたちと競い合って手に入れてくる(笑)。さらに、花についてばあさんから教わるのです。
ベランダー十の掟には「ばあさんが情報源」という項目があります。

残念ながら、TVの美女店員がいる花屋は本の中には登場しません。

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Balcony Plants

"Balcony Plants" by greckor is licensed under CC BY 2.0


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死者の土

TVドラマの中で、有名になった「死者の土」。

これは、ベランダで死んでいった植物の土を一つにまとめて大鉢の中に貯めたものです。TVではこの土から芽を出す植物はないと、タタリの土のように恐れられていました(笑)。

この土は1996年10月18日のエッセイ「アボカド ーキリストとしてのアボカド」で初めて登場します。

何キロもする新しい土を買ってくるのは面倒なので、「死者の土」と名前をつけて自分をごまかしていると書いています。確かに東京では土を捨てることも難しいです。しかし、このネーミングセンスはじつに面白いです。さすが、せいこうさん。

このエッセイで、アボカドの種を「死者の土」に植えるが、ちっとも芽を出さず筆者は嫌気がさしたのです。知人に聞くと、アボカドは土に植えるより種の両側を楊枝で指して水の入ったコップの上に引っ掛けておいた方が良いと言われたそうです。

「死者の土」の奥で眠っているアボカドを掘り起こして、今さらはりつけのような事はしたくない。そう考えていると、アボカドは立派な芽を伸ばしたのです。

アボカドの種のはりつけから連想したキリスト。そして「死者の土」との組み合わせ。なんと楽しい物語でしょうか。

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balcony

"balcony" by mattjkelley is licensed under CC BY 2.0

あとがき

いやあ、楽しい。もう少し書きたいけど、今回はこのくらいで。

そうそう、我が家のアイドルの十月桜、年を越してこんなに寒くなっても、まだ花を付けてくれています。ずいぶん寒そうだけれど、可憐で美しいです。

新型コロナウィルス になんかに負けていられないな。頑張ろう。

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十月桜2021年1月15日撮影

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今後ともよろしくお願いします。

ShinSha

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