どうもShinShaです。
『見仏記』はいとうせいこうさん・みうらじゅんさんの二人による抱腹絶倒の仏像ガイド本。しかもアートも歴史も勉強できる。僕の大好きな本です。
相変わらず新型コロナ感染者数は減りません。1ヶ月で緊急事態宣言の解除なんてとても無理ですね。中々外には出られない。こんな時は楽しい本を読んでみませんか。
『見仏記』とは
皆さんは、「見仏記」をご存知ですか?見仏記に関する Wikipediaの記事をご紹介します。
この本は1992年に連載がスタート。メディアを変えながら、現在も不定期連載が続いています。もう30年続いている。人気があるんですね。
『見仏記』(けんぶつき)は、いとうせいこうとみうらじゅんの共著による紀行文のシリーズ。いとうが本文、みうらが文中の絵を担当している。
元来仏像に造詣の深いみうらと、その友人であるいとうが、信仰や美術品としての視点とは異なる独自の観点から各地の仏像を鑑賞することを目的にしておりその行為を「見仏」と表している。
1992年9月号から『中央公論』誌上で連載されたの皮切りに、その後掲載誌を移して何度か連載され、その後単行本として刊行されている。また、親孝行篇はHotwired Japanのサイト内に「e見仏記」として連載された。
みうらじゅん・いとうせいこうのテレビ見仏記は、2001年から関西テレビ☆京都チャンネル(2009年閉局)で不定期に放送されたテレビ番組。見仏記のコンセプトのもと関西周辺の仏像を巡る様子を収録している。関西テレビ☆京都チャンネルが閉局後は地上波の関西テレビで不定期に新TV見仏記として放送され、2015年10月からはBS12でも放送がスタート。また番組はのちにDVD化、ブルーレイ化され発売されている。引用:wikipedia
"File:Statues of Avalokiteshvara, Shakyamuni and Gautama Buddhas in one of Tōdai-ji temple complex halls. Nara, Nara Prefecture, Kansai Region, Japan.jpg" byMstyslav Chernov/Unframe/unframe.com is licensed under CC BY-SA 3.0
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連載が始まるまで
そもそも、見仏記は、みうらじゅんさんが小学4年生から仏像スクラップを始めたことに端を発しています。このスクラップは異常な熱量で中学2年生まで続けらましたが、女子にモテなそうという理由で、以後中断。
みうらさんは、あるラジオの番組で、初めていとうさんと出会った後に、夢枕に「いとうせいこうさんと組みなさい」という声を聞いたと語っています(笑)。
みうらさんは、知り合ったばかりの、せいこうさんに実家から持ってきた仏像スクラップを見せます。せいこうさんは、この時「異常なる興奮を感じる」と語ったそうです。この時、二人は今までにない仏像本を作ろうと考えたのです。
最初は硬めのメディアで、仏像本の連載をしたいと考えたみうらさんは、中央公論社に、「いとうさんが文を書きますから。」と売り込み(笑)、連載が1992年からスタート。
二人は「見仏記」の連載で、タブーを次々破っていくのです。
これまで硬い文化的存在であった仏像を「カッコイイ」、「いろっぽい」と言い切り、三十三間堂の仏像を「ウィアーザワールド状態」と表現した。また、映画「エマニュエル夫人」のルーツは、半跏思惟像(はんかしゆいぞう)にあると書く(笑)。これまで仏画などで描かれていた仏像をイラストで描く。
連載が始まった頃、あちこちのお寺で二人は、仏像は拝むものであり、見るものではない。冒涜している」と怒られたそうです。
しかし、この連載が始まってから仏像を鑑賞する人が急増し、大きい仏像ブームとなったのです。各地のお寺の拝観収入が大きく増えました。
その頂点が2009年に東京 国立博物館で開催された「国宝阿修羅展」。この展覧会は何と東京会場だけで100万人を動員。
いとうせいこう氏・みらうじゅん氏は、今ではほとんどの大きな仏教展ではお寺や仏教関係から引っ張りだことなりました。
『見仏記』第1作 もう仏(ぶつ)が目白押し
今回ご紹介する本は記念すべき『見仏記』表紙のイラスト、みらさんの作品ですがすばらしいですね。いかにこのシリーズに力を注いでいるかが伝わってきますね。
それでは、本書の第1章「奈良 興福寺・東大寺」の中から記事を書きます。本の冒頭等部分を下に引用します。もう、最初から爆笑ですね!
物語は、早朝の東京駅の銀の鈴から始まります。せいこうさんは、一睡もできず待ち合わせ場所でみうらさんを待っている。
黒いサングラスで目を覆ったみうらさんは、改札の向こうから手を振っていた。
近づいていくと、私にこう言う。
「いとうさんも寝てないんでしょ?」
うなずくと、彼は疲れた顔で続けた。
「もう地獄の旅って決まったようなもんだね。徹夜明けでフラフラで」
私は黙って後について歩き出した。
だが、すぐにみうらさんは振り返った。内緒話をするように、耳元に口を寄せてくる。
「だけどさ、仏像が待っているんだよ、仏像が」
そう言って、うれしそうにみうらさんは笑った。
なんだかアイドルのコンサートに行こうとしている少年みたいだ。
新幹線の中でもみうら氏は興奮してじゃべり続け、あっというまに京都に着いた。そして近鉄奈良線に乗り換え、奈良ホテルに到着。
だが、みうらさんは私を休ませてくれない。
荷物を置く間も無く、外に出る。
奈良はすでに初夏のような陽気だ。暑い。
「興福寺、まず最初は興福寺。もう仏(ぶつ)が目白押しだから。それにね、いとうさん」
カメラを片手に持って、いうらさんはまた耳元に口を近づける。
そして、ポン引きが女をすすめるような感じでささやく。
「阿修羅がいるよ。」
これには笑った。
阿修羅が"ある"のではない。みうらさんにとっては"いる"のだ。
この文章は、もう、みうらじゅんさんそのもの(笑)。目に浮かぶようです。
興福寺の国宝館には僕も三度行きましたが、本当に素晴らしいですね。興福寺はあの藤原氏が建立したお寺で、繁栄した藤原氏が仏教芸術の粋を集めた仏像コレクションがあります。
さて、この本では確かにみうらさんの言動やイラストは抜群に面白いのですが、いとうさんの描写、文章力もすばらしいです。
それは、例えば「あうんの金剛力像」の盛り上がる筋肉や血管、不自然なポーズが、宗教的ではなく見る者の知覚レベルに影響を与えるというアートの分析に表れています。
また、広目天の顔つきからギリシャの影響とハリウッドスターを連想したり、多聞天の藤で編んだサンダルに高いデザイン性を発見したりと、鋭い観察眼により豊かな描写が生まれています。
さらには、四天王に踏まれた邪鬼から、体育万能の人に対する文科系のコンプレックスを連想したりと、ユーモアも忘れていません。すばらしい文章ですね。
この本の中のみうらさんのイラストを紹介します。これは岩手県の毛越寺(もうつうじ)の如意輪観音像のイラストです。この如意輪観音像に二人はアンニュイなエロスを見出します。
如意輪観音に、青江ミナ(懐かしい!)、そしてエマニエル夫人(お世話になりました!)、これは、もうダメでしょう!これは怒られるでしょう(笑)
理知的ないとうせいこうさんと、アーティスト+エロ系のみうらじゅんさん、これは最強のタッグですね。
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『TV見仏記』
『TV見仏記』は2001年からカンテレで不定期で放映されいます。本も面白いがTV番組も最高に楽しいです。
『見仏記』のYouTube公式動画のリンクを貼りますね。
現在(2021年1月末)、『見仏記』の動画は無料では観られないようです。やはり人気ありますからね。
webを調べましたら、TV新「見仏記」がちょうどAmazonプライムビデオ、京都chで見られます。下にリンクを貼ります。14日の無料体験が付いていて月額356円なので、ツタヤでDVDレンタルするより安いです。時間がある人は1ヶ月半で『新TV見仏記』シーズン1〜3、全32作を観るのは良いですね。
あとがき
久しぶりに『見仏記』第1巻を読みましたが、やはり抜群に面白いですね。思わず声を立てて笑ってしまいました。
しかし、このシリーズ初回から飛ばしていますね。いかに力が入っていたかが良く分かります。
上に掲載したイラストはすごいですね。当時はお寺の人や仏教関係者は怒ったでしょう。 でも、これこそブレークスルーですね。圧倒的に面白くて勉強になるコンテンツです。改めて考えると、こういった作品が時代を変えていくのだと思いました。
このシリーズ本当に面白いです。またいつか記事に書くことに致します。
今日もこのブログを訪問いただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。
ShinSha
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