時の化石

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光と闇の天才画家、カラヴァッジョの絵が観たい

どーも、ShinShaです。
楽しみにしていた「カラヴァッジョ《キリストの埋葬》展」、新型コロナの影響で中止になってしまいました。
仕方がないので、今回ブログに書くことにしました。

カラヴァッジョは、最近、とても興味をもっている画家の一人なのです。
皆さんにも、この驚くべき画家について知っていただければ嬉しいです。
とにかく、この画家の作品は衝撃的です。
一瞬で彼の描写力のものすごさが分かります!

カラヴァッジョの驚愕の人生

カラヴァッジョはイタリアでは、ダ・ヴィンチと並び称される巨匠。\ バロック美術の先駆者としての役割を果たした人です。

カラヴァッジョの人生について山田五郎さんの本から引用します。

本名:ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ
生没年:1573−1610年

彼の人生も、作品と同様に劇的で明暗対比に富んでいました。
20歳でミラノからローマに出るや一躍、人気画家となりますが、激しすぎる画風と娼婦をモデルに聖女を描くリアリズムには賛否両論。
毎晩、酒場で暴れて警察沙汰は数知れず、ついには喧嘩相手を殺してしまい、殺人罪で指名手配。

イタリア各地を逃げ回り。作品と引き換えに教皇の恩赦を求めますが、やっと赦しが出た直後に、野垂れ死してしまうのです。

それでも17世紀初頭にあって衝撃的なまでに斬新あ彼の画風は、イタリアはもちろん、ローマを訪れたルーベンスやオランダの画家たちの間で”カラヴァッジョスキ”と呼ばれる信奉者を生み、西欧中で大流行。

引用:山田五郎著「知識ゼロからの西洋絵画史入門」

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カラヴァッジョの肖像画、絵画をデザインしたリラ紙幣
"File:Lire 100000 (Caravaggio).JPG" by OneArmedMan is licensed under CC BY-SA 3.0

真の天才画家であり、性格破綻者・殺人者でもある。
驚愕の人生ですね。

しかし、この人は歴史を変えるような革新的な作品を残したのです。
彼がいなければ、ルーベンスレンブラントフェルメール、ベラスケスは生まれてこなかったかもしれません。

殺人を犯したアーティストを紙幣のデザインにするなんてイタリアですねぇ。
アートに対する強烈な愛を感じます。

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参考図書

今回の記事は下記の2冊の本を参考にして書きました。
山田五郎さんの本は、以前から当ブログでご紹介してきている分かりやすくすばらしい本です。
これ1冊で、西洋絵画の歴史を理解することができます。

もう1冊は、先日本屋さんで見つけた本。
カラヴァッジョの生涯、作品について説明した本です。
タイトルが安直すぎますが、中身がすばらしいので即購入。
1時間で彼の芸術を理解できるとは思えませんが💦、オススメの本です。
著者は神戸大学教授、美術史研究科。
ほかにもカラヴァッジョに関する著作が多数あります。

知識ゼロからの西洋絵画史入門

知識ゼロからの西洋絵画史入門

  • 作者:山田五郎
  • 発売日: 2011/07/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

バロック時代

バロック時代について、山田五郎さんの本から引用します。

16世紀末のイタリアで始まり17世紀に西欧全域で流行した美術様式。
バロックはいびつな真珠を意味するポルトガル語が語源。
ヨーロッパの街を歩けば今でもこの様式の建物や絵画、彫刻によく出会います。

バロック絵画を理解するキーワードは「過剰さ」「盛りすぎ感」。
激しすぎる明暗対比、劇的すぎる構図と演出、豊満すぎる肉体を描くバロックは、フランス料理フルコースにもにた肉食こってり系。
引用:山田五郎著「知識ゼロからの西洋絵画史入門」

この時代の代表的画家は、カラヴァッジョ、ルーベンスレンブラント、ヴァン・ダイク、フェルメール、ベラスケス、ムリーリョ、ラ・トゥールなど。
好きな画家が多いです。

この時代の画家の作品を見ると、カラヴァッジョの存在の大きさが分かります。
まさに天才画家であったのです。

カルヴァッジョの作品を観よう

「果物籠を持つ少年」

それでは、カラバッジョの作品を何枚かご紹介します。

1枚目の作品は彼が20歳の時の作品です。
少年の描写は凡庸ですが、陰影だけで作品に立体感を与える、当時では新しい表現を用いています。
このテクニックはベラスケスなど後の画家も模倣しています。
何より注目すべきは果物の描写です。
ブドウ、ブドウの葉、リンゴなど山盛りのフルーツのみずみずしさは驚きです。
「1時間でわかるカラヴァッジョ」では、果物には性的な意味が含まれる、少年はみずからを差し出そうとしていると解説しています。

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「果物籠を持つ少年」 1593年、ローマ、ボルゲーゼ美術館
"Boy with a Basket of Fruit" by lluisribesmateu1969 is licensed under CC BY-NC 2.0

「果物籠」

次の作品は果物の静物画です。
3年を経てさらに描写力が進化しています。
言葉を失うほど圧倒的な美しさです。
この作品はイタリアで最も早い静物画、西洋絵画史上もっとも優れた静物画だとされている。
この作品、以前には静物画はほとんど描かれなかったのですね。

籠からこぼれそうに果物を描くのが彼の作品の特徴です。
いずれにしても盛りすぎなのである。
それは若さから来るものなのか?
そこに、精神の危うさを感じるのは僕だけだろうか。

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果物籠」 1596年、ミラノ、アンブロシアーナ絵画館
"Caravaggio, Corbeille de fruits (vers 1599), huile sur toile, 31 x 47 - Milan, Biblioteca Ambrosiana" by Héliodore is marked with CC PDM 1.0

メデューサ

この絵は祝祭用に用いる盾に貼ったキャンバスに描かれています。
見るものを石に変えてしまう魔女メデューサ
鏡を盾にした英雄ベルセウスに首をはねられ、その首を盾に封じ込めるというストーリを元にして描かれています。

うねうねとうごめく無数の蛇、断末魔の凍りついた表情、首からしたたる血。
蛇の光沢と顔の立体感。
魔術的なリアルさを感じます。
映画でもアニメでもこの表現を超えるものはないだろう。

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メデューサ」、1595−1598、フィレンツェウフィツィ美術館

"Caravaggio - Medusa [1595-98]" by Gandalf's Gallery is licensed under CC BY-NC-SA 2.0

「聖マタイの召命」

無名のカラヴァッジョの才能を見出し、パトロンとなったフランチェスコ・デル・モンテ枢機卿のあっせんにより制作を依頼されたサン・ルイ-ジ・ディ・フランチェージ聖堂コンタレッリ礼拝堂に描いた連作のうちの一つ。

この時、彼はわずか26歳。
いかに飛び抜けた才能があったか。

25年に一度の聖年(ジュビレオ)に沸くローマで1600年に公開され、カラヴァッジョの大出世作となりました。

「マタイの召命」という物語は、徴税所で働いていたレビ(後のマタイ)に対して、キリストが「私について来なさい」と話し、レビはすべてを捨てて従うという内容です。
マタイはのちに福音書を執筆することになります。

ちなみにユダヤでは徴税人は罪人と同義であったそうです。
キリスト教の素養がなくても、ここは、よく分かります(笑)

初めて見た時、レンブラントの作品かと思いました。

この作品は、キリストとマタイが、居酒屋に入ってっきた場面を描いたもの。
一番右の髭を生やした人物がキリスト。
マタイは後ろを向いています。
右手を伸ばしてキリストは何かを示している。
右上方から聖なる光が差しこんでくる。
過剰なコントラスト表現、人物の表情がドラマチックな演出をしています。

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「聖マタイの召命」、1599−1600、サン・ルイ-ジ・ディ・フランチェージ聖堂
"Caravaggio, Calling of St. Matthew, 1599-1600" by profzucker is licensed under CC BY-NC-SA 2.0

「聖マタイと天使」

コンタレッリ礼拝堂は、カラヴァッジオの2作品(前項)が評判が良かったので、さらに祭壇画を注文しました。
これが、本作品です。
カラヴァッジョは一年近くで作品を制作しました。
しかし、最初に制作した作品は受け取りを拒否された。
代わりに書いた作品がこの作品です。

原題は"The Inspiration of Saint Matthew"となっているので、マタイにインスピレーションが降りてきた瞬間をとらえた絵です。

驚いたマタイの表情、傾く椅子。
インスピレーションを与える、いたずらっぽい天使の表情。
まるで本当にこういう瞬間があったようにリアルです。
すばらしい作品です。
天使の指の形が何を意味するかは謎といわれています。

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「聖マタイと天使」1602年、ローマ、サン・ルイジ・デイ・フランチェージ聖堂
"The Inspiration of Saint Matthew, Caravaggio" according to http://www.ibiblio.org/wm/about/license.html

あとがき

アートの記事は楽しいですね。 カラヴァッジョの作品、すばらしかったでしょ?

本当はもっと載せたい絵があったのです。
「ホロフェルネスの首を斬るユディト」という絵がすばらしいのです。
あまりに生々しすぎるので今回はパス。

また近いうちに、この画家の作品について記事を書きたいと思います。
コロナが落ち着いたら、カラヴァッジョの絵を観たいですね。
しかし、いつ落ち着くのだろうか?

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。

ShinSha

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