時の化石

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大人の科学(3) RNAとセントラルドグマ

どーもShinShaです。
大人の科学シリーズ第3回目の記事です。
今回はRNA(リボ核酸)がテーマです。

RNAはDNAの使い走り。
DNA情報からRNAを通じてタンパク質が合成されるのです。
セントラルドグマの仕組みを知ると大きな感動があります。

ちなみにコロナウィルスはRNAウイルスです。
もはやこの辺の生物学は必須の知識となりましたね。
がんばって一緒に勉強をしましょう。

RNAとDNA

DNAの復習

前回は生物の設計図、DNAについて勉強しました。
今回はRNAに関する勉強をします。

最初に前回書いたDNAについて復習をします。
DNAはA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C (シトシン)という4種のヌクレオチドの塩基が並んでできていました。
この4つの塩基の配列によって、生物の設計DNAの情報が書かれています。

DNAは2重らせん構造となっており、細胞分裂のたびにコピーされて、すべての細胞の中に配られます。

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Difference DNA RNA
Difference DNA RNA "DNA vs RNA" by Zappy's is licensed under CC BY 2.0

"File:Difference DNA RNA-EN.png" by Guku235 is licensed under CC BY-SA 4.0

RNAとは

ここからRNAについての勉強です。
上の図はDNA(左)とRNA(右)を比較したものです。
文字が英語になっていますが、著作権の関係で、お許しください。

DNAのらせんがほどかれ、情報を読み取られて最初に作られる物質がRNA(リボ核酸)です。
このため、RNAはDNAの2本の鎖のうちの1本とほとんど同じ塩基配列を持っています。

RNAは、塩基がA(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、チミンの代わりにU(ウラシル)という別の塩基が使われ、4種類の塩基でできています。
ウラシルとチミンはよく似た塩基なのです。

RNAはシングルのらせん構造で、DNAと塩基が一つことなっています。
また、DNAより不安定な構造となっています。
これについては次の節に説明をします。

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セントラルドグマ

なぜDNAとRNAがあるのか

それではなぜ、DNAに似たRNAという物質が必要になるのでしょうか?
生物の中に、2種類も遺伝情報をもつ物質があるのはなぜでしょう?

参考文献から引用します。

私たちのDNAの大部分は、細胞の核の中にある。
一方、タンパク質を作るリボソームという構造は、核の外にある。
そのためRNAが情報の運び屋をしているのだ。

核の中でDNAの塩基配列を転写したRNAは、核の外に出てきて、リボソームでタンパク質を合成するのである。
引用:更科 功. 「若い読者に贈る美しい生物学講義感動する生命のはなし」

タンパク質合成を行うための情報を、細胞核の外まで運ぶためにRNAはあるのです。

つづいて福岡伸一さんのweb記事を引用します。

DNAはデオキシリボ核酸RNAはリボ核酸で、どちらも非常に似通った化学構造なのだが、ほんのひとつ、 デオキシ構造(水酸基-OHがない)の差異だけで、物質としての安定性が格段に違ってくる。DNAは化学的に安定的で、RNAは化学的に不安定な(分解を受けやすい)物質なのだ。

実はこれにはわけがある。
DNAは情報担体として安定的である必要があるが、RNAは情報の運び屋なので、 細胞にとってむしろ不安定なほうが都合がよいのである。

不安定なものは壊しやすい。細胞は環境の変化にすばやく適応するため、個々のタンパク質は必要なときには増産し、不要なときには減産する、という臨機応変態勢にある。
引用:mRNAからcDNAへ | sotokoto online https://sotokoto-online.jp/1853

DNAは遺伝情報を長期間保存するために安定性の高い構造できている。
また、RNA情報伝達が終われば壊れてもいい構造になっている。

大事な遺伝情報をもつDNAは外で仕事などさせられない。
だから使い走りのRNAを作った。

何とよくできた仕組みなのだろうか。

セントラルドグマ

下の図のように遺伝情報はDNAからRNARNAからタンパク質へと1方向に伝えられます。
これをセントラルドグマとよびます。

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Central Dogma of Molecular Biochemistry

"File:Central Dogma of Molecular Biochemistry with Enzymes.jpg" by Dhorspool (talk) Daniel Horspool is licensed under CC BY-SA 3.0

著作権フリーの画像が日本にはないので申し訳ないです。
「ポリメラーゼ(Polymerase)」は、DNAやRNAを合成する酵素です。
また、「protein」はタンパク質、「replication」は複製です。
そういえば複製品をレプリカとよびますね。 ]]

生物ではDNAからRNAを経て、タンパク質へと情報が翻訳されるのです。
この流れは 一方通行なんですね。
(逆転写が見つかるまではそう考えられていました)

タンパク質の合成

今回の記事の最後です。
あと少しです。

セントラルドグマによって、タンパク質はどのように合成されるか調べてみました。

DNAにはA、D、G、Cで書き込まれた情報が入っています。
じつはDNAの文字列は、「どのアミノ酸を使ってタンパク質を作りなさい」という情報なのです。

生物がタンパク質の合成に使うのは、およそ20種類のアミノ酸です。
アミノ酸をいくつ、どのように並べるかで、できるタンパク質が変わります。
その情報がRNAにコピーされ、リボゾーム に伝えられます。

生物はRNAの4種の文字A、U、G、Cを3文字組み合わせて、アミノ酸を指定してします。
AAA、AAU、AAD、AAG・・・などの組み合わせは 4 x 4 x 4 = 64とおり あります。

RNAの文字列が変わると、タンパク質を作るために、つながるアミノ酸の種類が変わるのです。
この文字列をコドンといいます。

下の図はリボゾーム(rebosome)で、RNAの情報からアミノ酸が選択され、ペプチド結合でタンパク質が合成されるしくみを描いた図です。

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Peptide syn
"File:Peptide syn.png" by Boumphreyfr is licensed under CC BY-SA 3.0

下にコドンの表を掲載しました。
複数の文字列が同じアミノ酸をしていている部分もあります。
また、開始、終止などの命令情報も含まれています。
まるで、コンピュータ言語のようですね。

これがDNAに書かれた遺伝情報なのです。
4種の塩基で書かれた情報から、タンパク質(生物)が作られる!
ものすごく感動的ですね。
生物の進化だけで、こんな論理的な仕組みにたどりつけるでしょうか?

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コドン表
引用:東京薬科大学webより https://www.toyaku.ac.jp/lifescience/departments/applife/knowledge/article-010.html

そして、もう一つ感動するのは、このコドン表はすべての生物で共通なんですね。
ヒトと植物、大腸菌などは、姿形は違うし生き方や生きる環境も大きく異なっています。
しかしタンパク質を作るための塩基配列アミノ酸配列のルール(これが正に遺伝暗号)は、共通なのです。

このコードは、しばしば基準遺伝コード(canonical genetic code)、標準遺伝コード(standard genetic code)と呼ばれます。

参考図書 

今回の記事は 下記の本、webの情報を参考にして書きました。 2冊とも分かりやすくて素晴らしい本です。
記事に興味をもたれた方はぜひ読んでみてください。

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

更科 功. 「若い読者に贈る美しい生物学講義感動する生命のはなし」

あとがき

今回はRNAの基礎に関するサイエンス記事でした。
記事は高校の生物学レベルです。
頑張って思い出して頂ければ幸いです。

ちなみに僕は歳なので、高校で習っていません。
昨年、新型コロナウィルスの流行がきっかけで、本を読んでこの仕組みを知ったときは本当に感動しました。
すべての生物が同じコードで書かれているなんて、なんて美しいのだろう。
ああ、すばらしい!
いかん、きっと理解してくれる人は少ない💦

今日も最後までブログを読んでいただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。

ShinSha

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