どーも、ShinShaです。
今回の大人の科学、遺伝子組み換え(GM)作物がテーマです。
遺伝子を操作して害虫に強い作物や特定の除草剤に枯れない作物を作る。
GM作物で農業の生産性が大きく上がり、食品コストが下がりました。
マクドナルドのハンバーガーが安くできるのもこの技術のおかげです。
GM作物に関しては米国科学アカデミーが安全性を発表しています。
しかし、現在も安全性、環境への影響など様々な意見があります。
今回の記事ではGM作物に関する世界、日本の現状についてご紹介します。
一緒にGM作物について考えてみましょう。
遺伝子組み換え作物とは
最初に遺伝子換え作物とは何か調べてみました。
遺伝子組み換え作物は、遺伝子組換え技術を用いて遺伝的性質の改変が行われた作物である。
英語の genetically modified organism からGM作物、GMOとも呼ばれることがある。
遺伝子組換え作物は、商業的に栽培されている植物(作物)に遺伝子操作を行い、新たな遺伝子を導入し発現させたり、内在性の遺伝子の発現を促進・抑制したりすることにより、新たな形質が付与された作物である。
食用の遺伝子組換え作物では、除草剤耐性、病害虫耐性、貯蔵性増大などの生産者や流通業者にとっての利点を重視した遺伝子組換え作物の開発が先行し、こうして生み出された食品を第一世代遺伝子組換え食品と呼ぶ。
これに対し、栄養価を高めたり、有害物質を減少させたり、医薬品として利用できたりするなど、消費者にとっての直接的な利益を重視した遺伝子組み換え作物の開発も近年活発となり、こうして生み出された食品を第二世代組み換え食品という。
引用:wikipedia
従来の品種改良では、優れた特性がある作物どおしを組み合わせて、何世代も交配を繰り返して品種改良を行ってきました。
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これに対して、遺伝子組み換え技術では、ターゲットする遺伝子を直接導入して、作物を改良するのです。
交配による品種改良より効率よく品種改良ができますね。
以前の記事にも書きましたが、DNA・タンパク質は あらゆる生物で共通性の化学構造をしているので、理論的には、あらゆる生き物の間で遺伝子を組み換えることができます。
たとえば昆虫の遺伝子を作物に移植することもでき、適用範囲は大きく広がります。
たしかに、メンデルの法則や環境中でかなり時間を経て行う従来の品種改良は自然に近い形ですね。
一方で、遺伝子組み換え技術には、効率、適用可能性など、正直にいって技術者としての興味を禁じえません。
下記に第1世代の遺伝子組み換え作物(GM作物)の例を写真で紹介します。
一つ目は害虫の抵抗性のあるトウモロコシの写真です。
二つ目は特定の除草剤に耐性のあるGM作物の大豆です。
大豆以外の雑草はすべて枯れますが、GM作物大豆は青々と生育していきます。
遺伝子組み換え作物の栽培
世界でGM作物(遺伝子組み換え作物)がどれくらい栽培されているのか調べてみました。
引き続いてwikipediaからの情報です。
GM作物は、1996年にアメリカで大豆の栽培が始められて以降、着々と普及してきた。
2015年現在、全世界のダイズ作付け面積の83%、トウモロコシで29%、ワタで75%、カノーラで24%がGM作物である(ISAAA調査)。
特に食生活の変化による肉類消費の増加を背景とした飼料用穀物の需要増加は、害虫、除草剤への耐性が高く、生産性も高いGM作物の需要増加に繋がっている。
ダイズの栽培面積の拡大に関しては、BSE問題と関連があるとされている。
BSEによって家畜飼料として肉骨粉の使用が敬遠され、それに代わるタンパク質源として、ダイズが使用されているからである。
Hanno Böck, CC0, via Wikimedia Commons
ダイズや綿はなんと70%以上!
すごいですね。
日本では環境への影響や安全性への懸念から、遺伝子組み換え作物の栽培を規制しています。
一方、日本は大量の穀物を海外から輸入しており、この大半はGM作物であるとみられています。
害虫被害がない、雑草もクスリまくだけで簡単に除けるといのは農業の革命ですね。
農家の手間が大幅に減り、圧倒的に生産性が上がります。
次の項で紹介するのは、アメリカで栽培されているトウモロコシをテーマにした映画。
題して『キング・コーン』。
映画『キング・コーン』
映画『キング・コーン』のあらすじを紹介します。
アメリカ国内で、生産量の多い食物トウモロコシを通して、現代の食糧問題を見つめたドキュメンタリー映画。
大学の親友である二人の青年は、アイオワ州に土地を借りてトウモロコシを作ることにします。
アイオワでは、大型農業機械を使って、ほとんど人間の手が掛からない遺伝子組み換えトウモロコシを大量に生産していました。
そのトウモロコシは人間には食べられず、飼料や加工食品等になります。
また、生産量の半分は輸出や燃料の原料に利用されます。
彼らは、自分たちの作っているトウモロコシの行先をたどっていきます。
コロラド州ではコーンで育てられる食牛の飼育を見ます。
アメリカでは低コスト高カロリーのトモロコシを利用した食糧産業のチェーンができており、あらゆる食品にコーン由来の食品が使われているのです。
この映画の中で、アイオワで何世代も農業を営んでいる老夫婦の言葉が印象に残っています。
「農業とはおかしいものだ。おれたちは見たこともないカスを作っているんだ」
映画『キング・コーン』のトレーラーのリンクを貼ります。
また、Amazon Primeでは無料で視聴可能です。
Amazon Prime動画のリンクです。
www.amazon.co.jp
遺伝子組み換え作物の安全性をめぐって
まず、最初に遺伝子組換え作物に対するアメリカの科学的見解について書いておきます。
米国科学アカデミー(NSA)は 2016年、遺伝子組換え作物は人間や動物が食べても安全だと結論づける報告書を発表している。
過去20年に及ぶ研究成果をもとに評価し、結果としてがんや肥満、胃腸や腎臓の疾患、自閉症、アレルギーを増加させている証拠はないとした。
GM作物の安全性は「人間や動物の消化器官ではGM作物のタンパク質はアミノ酸レベルまで分解されて体内に吸収される」ことが科学的根拠になっています。
また、各食品について、組み込んだ遺伝子からできるタンパク質はヒトに有害でないか、アレルギーを起こさないかについて、チェックが行われています。
アメリカでは、さかんに遺伝子組み換え作物の栽培、食糧品、加工品への利用が行われています。
食品のコストは低下し、いまやアメリカのエンゲル係数は16%です(日本は26%)。
遺伝子組み換え技術は、ある意味で貧困、飢餓問題の解決策を提供するものだと考えます。
GM作物の利用で、マクドナルドは1ドルのハンバーガーを作ることができました。
ちなみにマクドナルドのハンバーガーセットは、ほぼコーンからできている💦
しかし、アメリカにもGM作物に対する根強い反対者は多くいます。
また、自然主義者も多く存在します。
"Attack of the Killer GMO corn !" by DawnOne is licensed under CC BY-NC-ND 2.0
日本やEUでは、長期的安全性・環境影響などの懸念によって、GM作物の商業的栽培は行われていません。
しかし、多量の穀物と組換え食品が輸入されているのです。
かなり食品の安全に慎重な人でも、GM作物由来の食品を毎日食べていると思います。
ほとんどの食肉(鶏、豚、牛)はGM作物を飼料として使っているはず。
また、多くの食品に加工品が使われています。
日本には食料資源が少ないので、これを避けるのがむずかしいです。
僕は科学技術を信じるエンジニアなので、ほとんど気にしていません。
ランチにビッグマックセットを食べて美味しいと思うし、吉野家の牛丼も好物です。
農薬や殺虫剤の毒性については知りすぎているので、どっちもどっちだなと考えてしまうのです。
最後に、本ブログに度々登場する分子生物学者 福岡伸一先生の意見をご紹介します。
福岡先生は遺伝子組み換え作物に警鐘を鳴らしておられます。
著書『新版 動的平衡』でも「壮大な人体実験をしている」と批判されています。
そもそもバイオテクノロジーが生命を制御(支配)することはできません。
例えば、除草剤などの農薬に耐性を持つ雑草が現れるのも、「動的平衡」によって薬効を無力化するよう進化し、リベンジしてくるのです。
人間によるテクノロジーの開発と生物の進化の間で堂々巡りになっても、最後は、生物の「動的平衡」がテクノロジーに勝るのです。
人間は、せいぜい自分が生きる期間の“時間軸” でしか物事を捉えることができません。
ある時点の「今の幸福」が、長い時間がたってみると、社会全体に「不幸」をもたらしてしまったことは、公害病など過去にも多くあります。
遺伝子組み換え作物など生態系に影響を及ぼすことが懸念されるバイオテクノロジーは、長い時間軸で慎重に評価すべき、と私は考えています。
引用:https://org.ja-group.jp/about/opinion/1808_1
福岡先生の主な反対理由は、安全性を評価するには時間軸が短すぎるということですね。
遺伝子組み換え作物、食品に関しては、さまざまな意見があることを知っておいてほしいのです。
慎重に自然の食材を手に入れ、生活することは素晴らしいと思います。
昔のように自然のままがいいと思う人もいるでしょう。
この2つを実現するのは、たぶんコストと手間ひまがかかりますね。
また、アメリカの科学技術を信じて行動することも一つの考え方でしょう。
この問題については結局は自分自身の選択しかないです。
参考図書
今回の記事は福岡伸一先生の下記の書籍を参考にして書きました。
分子生命学者が書く生命の本質。
素晴らしい本です。
ウィルス、PCR、病原体、ダイエットに関する内容も書かれていますよ。
あとがき
映画『キング・コーン』、今日、はじめて観ました。
内容についてはラジオの情報で知っていたのですが、映像を観て驚きました。
低コスト高カロリーのコーンを使った、アメリカの食糧産業のチェーンは驚くべきです。
うむ、多分、ほかの人と映画の見方がだいぶずれてる💦
それはいつも自覚していますが...
個人的には、この問題、食料自給ができない日本では、どうあがいても無駄な抵抗だと思うのです。
今日も最後までブログを読んでいただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。
ShinSha
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