どーも、ShinShaです。
今回の大人の科学は「地球温暖化問題」がテーマです。
いまや「カーボンニュートラル」は世界のトレンド。
世界中のあらゆる人や企業がその影響を受けます。
いまさら地球温暖化の科学的妥当性を要求しても意味がない。
「カーボンニュートラル」に向かう怒涛の流れは誰にも止められそうにない。
日本はこのまま化石であり続けるのか?
これから数回にわたって、地球温暖化、カーボンニュートラル、再生エネルギーなどについて、記事を書きたいと考えています。
今回は地球温暖化、COP26などについて一緒に勉強しましょう。
地球温暖化
地球温暖化についてwebや本の情報を調べてるといろいろな説があります。
「地球温暖化はまやかし」「金儲け主義者のデマ」「寒冷化に向かっている」💦
いろいろどころか、真逆の情報だらけ。
ホント、これって何なのだろうか💦
どうしてこんな議論が起きるのか、逆に興味をもちました。
でも、そんな議論はほとんど意味はなくなってしまたのです。
世界は地球温暖化防止対策「カーボン ニュートラル」に向かって一気に走り出してしまった。
もはやこの流れは止まらないから、抵抗しても取り残されるだけ。
「カーボン ニュートラル」とは、二酸化炭素など温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いた合計を実質的にゼロにすることを意味します。
下の図はとてもうまくニュートラルを表現していますね。
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最初に日本の温暖化の情報を少し見てみましょう。
気象庁のwebページからの引用です。
日本の平均気温は、1898年(明治31年)の統計開始以降、様々な変動を繰り返しながら上昇しています。
特に、1990年代以降、高温となる年が頻出しています。
気温の上昇にともなって、熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上の夜)や猛暑日(1日の最高気温が35℃以上の日)増加し、冬日(1日の最低気温が0℃未満の日)は減少しています。
1日に降る雨の量が100mm以上というような大雨の日数は、長期的に増える傾向にあり、地球温暖化が影響している可能性があります。
日本の気温上昇は100年で1.26℃ということらしい。
中部地方の田舎に育った僕には、温暖化は実感としてよく分かります。
子供の頃に住んでいた地域では、しばしば雪が数十センチ積もったが、今ではほとんど雪が降らない。
その地域で気温が40℃を超えるなんて、昔は考えたこともなかった。
平均気温とはいえ、この感覚の差は10年間の気温上昇0.1℃なんてものじゃない。
温暖化現象をデマだというのは、なかなか無理があるなぁ。
これはあくまでも個人的な感想ですが💦
"global warming" by alandberning is licensed under CC BY-NC-SA 2.0
地球温暖化で何が起こるのか
地球温暖化の話題の中で「ティッピングポイント」ということばがよく使われます。
「ティッピングポイント」とは、臨界点のような、そこを超えると急減な変化を生ずるポイントという意味です。
別の言葉でいえば「閾値(しきいち)」ですかね。
「ティッピングポイント」を超えると地球の各所で急激な変化が起こるといわれています。
「ティッピングポイント」を過ぎると大きな変化をもたらす気候変動の要素、「ティッピングエレメント」が起きるとされており、下の図にそれが示してあります。
南極も北極も氷が溶け、世界中の森林の消失、メタンハイドレートの消失...
恐ろしい現象のフルコースです。
ティッピングエレメントは食糧不足、水不足を招き、さらに水、食料をめぐって世界中で紛争が発生するといわれています。
ということなのですが、ティッピングエレメントが起きるという科学的根拠はないのです。
この点について、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書に「21世紀中にそうした現象が現れる可能性についてはほとんど合意がない」と書かれています。(鬼頭昭雄著「異常気象と地球温暖化」、岩波新書から)
IPCC評価報告書執筆の著作の中にも書かれているのでこれは真実でしょう。
このへんが地球温暖化問題のあやしさ、ツッコミどころ。
だから「金儲け主義者のデマ」などの話が出てくるのだろう。
しかし、このティピングポイントを目標にして、2015年から世界が動き出したのです。
以降にもティピングポイントが出てくるので、覚えておいて下さいね。
"Global-Warming-from-Factory-Smoke-Stack-Pollution" by Captain Kimo is licensed under CC BY-NC-ND 2.0
COP26について
COP26とは
さて、最近のニュースにはCOP26という言葉がよく出てきます。
ここからはCOP26について簡単にまとめてみました。
COP26とは「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議」の英語の頭文字を取った略語。
"COP"とは「Conference of the Parties(締約国会議)」の略。
国連気候変動枠組条約に参加している国が集まる会議で、今回で26回目を迎えた。
ちなみに京都議定書が結ばれた1997年に行われた会議は3回目でCOP3だった。
この国際会議では、上昇する地球の温度と、異常気象、海面の上昇、森林火災など、気象変動による地球上の問題について、条約参加国が国際社会の対策を話し合う。
国連気候変動枠組条約第26回締約国会議 (COP26) は英国グラスゴーで、2021年10月31日〜11月13日に開催されました。
"Boris Johnson launch of COP26" by UK Prime Minister is licensed under CC BY-NC-ND 2.0
パリ協定 COP21
ここでは、COP26に強い関連のあるパリ協定について、簡単に勉強しましょう。
パリ協定は、2015年12月にフランス・パリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で、世界約200か国が合意して成立しました。
1997年に定まった「京都議定書」の後を継ぎ、国際社会全体で温暖化対策を進めていくための礎となる条約で、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、2℃より充分低く抑え、1.5℃に抑える努力を追求することを目的としています。
引用:https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/4348.html
パリ協定ではティッピングポイントを産業革命以前の気温+2℃と定め、それに向かって世界が行動する合意が成立したのです。
COP26で決まったこと
COP26は、米国でのバイデン政権発足がきっかけとなって世界が動き出しました。
なんせ、トランプ元大統領在任中、アメリカは2019年11月にパリ協定から離脱しましたからね。
英国政府が1年以上かけて周到に準備したこと、バイデン政権の参加により、COP26は一定の成果を上げられたといわれています。
COP26の成果を以下にまとめました。
(1) 1.5℃目標の公式文書への明記
最大の成果はパリ協定の長期目標として、気温上昇を産業革命前と比べて1.5度に抑えると明示されたこと。
これはパリ協定という国際条約の目標を事実上強化することに世界全体が合意したということを意味します。
そのために2030年には世界全体の温室効果ガス排出量を2010年比で45%削減、そして2050年頃には実質ゼロにする必要があることまでも、合意文書に書き込まれました。
(2)パリ協定ルール整備
COP26では、パリ協定のルールブック(実施指針)が完成した意義が大きい。
2015年にパリ協定が採択されてから、2018年には実施のために必要なすべてのルールブックが合意されるはずであったが、パリ協定第6条の市場メカニズムなどのルール決定が2回にわたって持ち越されていました。
今回は議長国イギリスの強いリーダーシップもあって残ったルールのすべてが合意され、パリ協定はとうとう完成にこぎつけた。
パリ協定第6条には、主にCO2の排出枠を「クレジット」として市場で取引する仕組みが書いてあります。
日本としても途上国との間で進めている2国間クレジット制度(日本と対象国の2国間で削減プロジェクトを実施し、CO2削減量を2国間で分け合う制度)を生かすため、このルール整備には重要な意味がありました。
(3)「グローバル・メタン・プレッジ」
メタンガスはCO2の20倍の温室効果を持つガス。
メタンガスを2030年までに2020年比で30%削減する「グローバル・メタン・プレッジ」を欧州連合(EU)とアメリカが中心になって呼びかけ、世界100カ国以上が賛同しました。
IAEA Imagebank, CC BY 2.0 https://creativecommons.org/licenses/by/2.0, via Wikimedia Commons
世界は2030年には世界全体の温室効果ガス排出量を2010年比で45%削減、そして2050年頃には実質ゼロにすることに同意したのです。
メタンガス 発生削減も、カーボンニュートラルに大きく貢献すると評価されています。
パリ協定では温暖化防止の目標が決まっていたが、運用ルールの同意がなかった。
COP26でルールブックが決まったから、これで実行に移せるわけです。
日本が2度目の「化石賞」
COP26の間、日本は不名誉な「化石賞」を前回に引き続き受賞してしまいました。
化石賞は、気候変動に取り組む世界130か国の1500を超えるNGOのネットーワーク「CANインターナショナル」が、その日の国際交渉の中で、温暖化対策に消極的だった国に与える不名誉な賞。
日本の受賞理由は、首脳級会合に登壇した岸田首相が、水素やアンモニアを利用した「火力発電のゼロ・エミッション化」の名の下に、石炭をはじめとした火力発電の維持を表明したこと。
世界は今、気温上昇を1.5度未満に抑えるという目標に向かっています。
その重要な政策となるのが石炭火力の廃止なのです。
議長国イギリスのジョンソン首相は、120か国もの首脳を集めて「先進国は2030年までに、途上国は2040年までに石炭火力の廃止」と、期限を設けて確実な廃止を迫りました。
そんな中、岸田首相は、石炭火力の廃止、1.5度目標にも言及せず、むしろ火力発言が今後も必要であると主張した。
また、日本がCOP26の重要な取り決めに対して、同意をしなかったり、参加しなかったことも化石賞受賞の理由となった。
日本の生命線である自動車はともかく、石炭火力発電、原子力発電、すたられつつあるエネルギーから早く離れた方がいいというのは僕の考えです。
自動車にしても水素自動車が商用化するまでには相当のハードルがあり、その前にEVが世界を席巻しそうです。
とにかく今は重要な局面。
しかし、日本は何十年も前から既得権益にがんじがらめで、新しいチャレンジができなくなっている。
だから世界から「化石」だと評価され続けているのです。
Scottish Government, CC BY 2.0 https://creativecommons.org/licenses/by/2.0, via Wikimedia Commons
関連書籍
地球温暖化、カーボンニュートラルに関する本を2冊推薦します。 2冊とも記事に関係ある部分を走り読みしましたが良い本です。
『異常気象と地球温暖化――未来に何が待っているか』には世界の標準的な見解が書かれています。
温暖化に関する標準的な知識を得ようとする人にオススメ。
この本にはティッピング エレメントが発生する科学的根拠はうすいと書かれています。
一方で、温暖化の科学的根拠を疑う科学者の本も多数出版されていますが。
カーボンニュートラル、脱炭素ビジネスに関する最新情報が書かれた本です。
この本に書かれた欧米諸国の動向にはびっくりました。
Amazonレビューも高評価です。
あとがき
ティッピングエレメントには、明確な科学的根拠がないと書きました。
気温上昇はともかく、 ティッピングポイントうんぬんの説は相当怪しい。
科学者の中にも科学的妥当性がないとして、地球温暖化は金儲け主義者のデマ、エセ科学など、様々な主張をされる人が数多くいます。
しかし、そういう議論に固執していても、世界から取り残される状況になってきた。
EUはカーボンニュートラルにフロンティアを求め、時間をかけて世界中を巻きんだムーブメントを作ってきた。
2020年バイデン政権のアメリカがパリ協定復帰を表明し、2021年のCOP26で錦の御旗を得た形となった。
もはやこの激しい流れは変えられないようです。
30年前から凋落を続け、国民の所得も上がっていない日本にとっても、これは重大な局面です。
このまま化石となるか、生き返るか??
いかん、そもそもこのサイトは「時の化石」だった💦
どうやら先が見えているな💦
今日も最後までブログを読んでいただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。
ShinSha