時の化石

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イヤホンレビュー SENNHEISER IE 100 PRO ー やはり買うべき一本か。おそるべき音質のイヤーモニター

今回はドイツの有名オーディオブランド SENNHEISERゼンハイザー)のイヤーモニター IE100PRO のレビューです。この製品はミュージシャン、エンジニア向けイヤーモニターのエントリーモデル。現在、国内でもっとも売れているイヤホンのひとつです。

いまさらながらなのですが、今回はセールでかなり安くなったので、SENNHEISER IE100PROを購入することにしました。国内でいっぱい売れていて、高評価のイヤホンてどんなものかと(汗)。SENNHEISERという老舗ブランドが、どんな製品を作っているのか、じっくり調べてみたいと考えました。

購入から数週間、この製品でいろんな音楽を聴きました。音の解像度、低域から高域までの音のバランスが特に素晴らしいです。ボーカル、コーラス、楽器の音が明瞭に聴こえてくる。まさに音楽業界のプロ向けの製品、買うべき一本だといえるでしょう。

SENNEISER IE100PRO

SENNEISERのイヤーモニターには2つの系列があります。一つ目はリスニング向けのシリーズIE200〜900。このシリーズに4つの製品があります。そして一つはミュージシャン・音響エンジニア向けのPROシリーズ。IE100PRO〜IE500PROまで3製品。

今回レビューする製品はPROシリーズ中のエントリーモデル。この製品に関するメーカのweb情報を下に引用します。まさにライブステージで活躍するミュージシャン、DJ、エンジニア向けに設計されたイヤモニターなんですね。

大音量のステージでも自信を持ってモニタリングできるダイナミックインイヤーモニター。低音圧から高音圧まで一貫した周波数レスポンス。フラットなデザインにより、長時間でも高い装着感を実現しました。

ライブステージでの高い期待に応えます。IE 100 PROは、新開発のダイナミックドライバーにより、ライブパフォーマンスの正確な音響概要を保証します。革新的なダイアフラムにより、温かみのあるサウンドでありながら、パワフルで豊かなディテールを実現しています。

大音量の環境下でも、すべての面で歪みがなく、明確なサウンドを維持します。ミュージシャンやDJがIE 100 PROを選ぶ理由は、その卓越したサウンドと高い装着感にあります。ライブセッションだけでなく、制作時や日常的なパートナーとしても使用できます。

  • パワフルで正確なモニタリングを可能にする革新的でダイナミックな10mm広帯域トランスデューサー
  • ダイナミック・ドライバー・システムは、歪みのない均質な再生により、音響的ストレス要因を軽減
  • 確実なフィット感、高い装着感:革新的なシングルドライバーデザインにより、スリムで人間工学的な構造を実現
  • 最適化されたイヤーピースと柔軟なシリコンおよびフォームチップによる優れたシールド効果
  • ケーブルダクトを内蔵したステージプルーフケーブル

IE 100 PRO

製品仕様

SENNHEISER IE100PRO
形式:φ10 mm ダイナミックドライバー
再生周波数帯域:20 HZ - 18KHZ Hz
インピーダンス:20 Ω、感度:115 dB/mW
筐体素材   : 樹脂
接続プラグ  :3.5mmプラグ L型

付属品:イヤーアダプターセット(シリコン S/M/L、フォーム M) 、クリーニングツール、ポーチ)

購入イヤホンの写真

僕の購入したものはクリアカラーの製品です。パッケージは紙製で結構大きい。中に何が入っているんだろうか。思わず期待してしまいそうです。

製品パッケージ

開封写真を下に載せました。イヤホンケースとイヤーピース、そしてクリーニングキットが付属しています。クリーニングツールはノズル内部のゴミを掃除するためのツールです。イヤーピースはシリコンタイプ3組とフォームタイプ一組です。
開封

イヤーモニターIE 100 PROの写真を3枚載せます。透明で内部のメカが少し見えるのが良いです。

IE100PRO(1)

IE100PRO(2)

IE100PRO(3)


製品レビュー

総合評価

SENNHEISER IE100PRO
総合     :☆☆☆☆
デザイン・質感:☆☆☆☆
装着感    :☆☆☆☆☆
サウンド   :☆☆☆☆
定位・空間表現:☆☆☆☆

<音質バランス>

[コメント]
音質は低域〜高域までフラットです。音のバランスが素晴らしいと感じます。バランスという表現は相応しくない。音の調和が保たれていうべきでしょうか。こんなタイプのイヤホンを聴くのは初めてです。改めてゼンハイザーというブランドの技術の高さに驚きました。

また、音の解像度が極めて高く、何回も聴いた曲の中でも、これまで聴こえなかった音が聴こえます。音楽の中で楽器の音が聞き分けられるし、メインボーカル、コーラスもよく聴き分けることができます。まさに音楽制作者向けの優れた機能をもった製品です。

確かに良い製品だと思います。しかし、個人的な好みとしてはこの製品はリスニングには向かないと感じます。このイヤーモニターが再生するピアノ、アコースティックギターウッドベースなどの音は実際の楽器の響きとは違います。

僕は小さなホールでよくジャズのライブを聴くので、それが気になってしまう。ピアノの響きはこんな音じゃない。しかし、この製品は元々リスニング用に作られたものではありません。僕のように感じる人は、同社のリスニング向け製品を買うべきなのでしょうね。

サウンド・インプレッション

まず、ポップスの楽曲から聴いてみます。イヤホン、ヘッドホンの音を確認する時、基準としていている楽曲があります。ポップスは中島美嘉幅“ORION with ensemble”、宇多田ヒカル”First Love”の2曲です。

バックのストリングス、ピアノ、アコースティックギターなどの音それぞれがよく聴こえます。これまで聴こえなかったパーカッションなどの音も聞こえてくる。サウンドを解析的にモニターするためには、素晴らしいイヤホンです。

続いてビートルズのアルバム”Abbey Road”を聴きました。”Come Together” ”Here Come The Sun” ではジョン、ジョージのボーカルと、コーラスが分離してよく聞こえます。アタック感があるバランスの良いサウンドが気持ち良いです。

このほか、次の項に記載したジャズ、クラシックの楽曲を聴いてみました。このイヤーモニターはクラシックを聴くのに適しています。特に協奏曲、交響曲などオーケストラが演奏する曲が良いですね。これはちょっと意外でした。

グレングールドがピアノを弾く協奏曲を聴きながら、文章を書いていますがうっとりするほど美しい。音のバランスが生み出す妙ともいえるでしょう。ドイツ人の頭の中にはシンフォニーが流れているのかな。ジャズも少し聴いてましたが、ビル・エバンスのピアノトリオもなかなか良かった。

試聴曲・再生環境

[Pops]
中島美嘉 ”ORION with ensemble”、宇多田ヒカル ”First Love”、小田和正:early summer 2022 ”風を待って”、ビートルズ “Come Together” “Here Come The Sun” “Because”
[Jazz]
ビル・エバンス : Portrait in Jazz “Autumn Leaves”
[Classic]
グレン・グールド・コロンビア交響楽団: “Keyboard Concerto No.5 in F Minor BMV 1056Ⅰ Largo”、反田恭平: “ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ⅠModerato”、坂本龍一 Opus: “Lack of Love”
[試聴環境]
音源:Apple Music (ロスレスハイレゾロスレス)、DAC: S.M.S.L DO400

デザイン・製品の質感

プラスティック、樹脂素材がメインの製品ですがチープさはありません。プラスティックの筐体、ケーブルともよく作り込まれた製品だと思います。スケルトンデザインは個人的な好みだし、レッドカラーの製品はとても良いなぁと感じます。

装着感

いわゆる「SHUREがけ」方式で、ケーブルを耳に掛けて装着します。イヤホンヘッドの重さはわずか19g、耳部分のケーブルも曲げ加工が施してあるので装着感はとても良好です。長時間装着しても気にならない。ただ、ステージで使うには、ケーブルの長さがもう少し必要かなと思います。

音場・定位感

音の解像度が非常に高く定位感も良いと思います。しかし音場は広くはありません。この製品は音を近くに感じてモニターする仕様となっています。これは18kHZを超える音の再生はできないので当然でしょう。


記事で採り上げた商品のリンク


おわりに

今回はSENNHEISERゼンハイザー)のイヤーモニターをじっくり聴く初めての機会でした。音の解像度、バランスが素晴らしく驚きの製品です。ダイナミックドライバーにこだわり、独自の音響技術を構築しているドイツブランドの技術の高さに驚きました。多くの人がこの製品を高く評価することが理解できます。

IE 100 PROは再生周波数帯域を20 HZ から 18 KHZのほぼ可聴域に絞り、音楽を作るPROに役立つモニターとして調製した製品です。CDというメディアの再生周波数は概ね20KHZまでですので、極めて合理的な設計だと考えます。特にこのイヤーモニターの解像度の高さは感動ものでした。こんな性能が約1万円で手に入るなんて驚きです。

しかし、リアルで美しい音楽を聴くためのオーディオを求めている僕の好みにはIE 100 PROは合いませんでした。後日、いくつかSENNHEISERのイヤーモニターを試聴して、その理由が明確に分かりました。

きっとSENNHEISERのエンジニアは、そんなことお見通しですね。とにかくこの製品はMIX用に特化した機能優先ということなのでしょう。君がそれがほしいならIE 600以上を買いなさいって。どうやらそれと解像度も関係していそうだ。オーディオって本当に深いなぁ。
ShinSha