どうもShinShaです。久しぶりにイヤホンの記事です。少し前にウッドハウジングをもつヘッドホン Meze 99 Classicsを手に入れました。それ以来、このヘッドホンのやわらかい音に魅せられてしまいした。
ウッドハウジングのイヤホンを聞いてみたらどうだろう。ふと、そんなことを考えたのです。ということで、今回購入したのはSIVGA Que です。昨年の発売以来、マニアの間で話題になっているイヤホンです。
エージングが進むとともに、このイヤホンの素晴らしさが分かってきました。木の製品はやっぱり良いなぁ。あたたかいサウンドにデザインもなかなかカッコイイ。SIVGA Queはコストパフォーマンスが高い、ウッドハウジングイヤホンだと感じました。
このイヤホンについて以下に詳しくレポートしていきます。
SIVGA Queについて
今回のイヤホンブランドSIVGの説明を下に掲載します。SIVGAは中国広東省東莞市のオーディオブランドです。イヤホンの他にヘッドホンの製造販売をしています。このブランドのほとんどのヘッドホンには木が使われています。同社のホームページを見ると木工所みたい(笑)
SIVGAについて
東莞Sivga電子技術有限公司は2016年に設立され、中国の東莞市に拠点を置く企業です。研究開発、生産、顧客サービスを統合した総合企業であり、高級ヘッドホンの革新と製造に注力しています。
Sivgaはヘッドホン音響業界において豊富な経験と技術を持ち、主要なエンジニアリングチームは電子および音響分野のエリートによって構成されています。原材料から完成品に至るまで、Sivgaのすべてのスタッフが匠の精神を発揮し、卓越した品質のライフスタイルを顧客に提供しています。
https://www.sivgaaudio.com/aboutから引用
続いてSIVGA Queの特徴について、販売代理店website から引用します。
SIVGA Queの製品の特徴は、北米産ホワイトメイプルウッドを用いたウッドハウジング、10㎜ベリリウム振動膜ダイナミックドライバーの搭載です。北米産ホワイトメイプルウッドは変形に強い特徴をもっています。
SIVGAの培ってきた木材加工技術でハウジングに使用しています。木製素材の特徴を活かし筐体内部の反響を制御、音質向上のみらず、淡く明るい色味の美しい外観で所有欲を満たします。
優れた音響素材の一つであるベリリウム振動膜を採用することで、定在波や振動による歪み、共鳴、倍音、ノイズなどを抑制し、より自然かつクリアなサウンドに仕上げています。
引用:https://01diverse.jp/


製品仕様
SIVGA Que
形式:10 mm ベリリウム振動膜ダイナミックドライバー
再生周波数帯域:20Hz ~ 20 KHz
筐体素材 : 亜鉛合金、ホワイトメープルウッド
インピーダンス: 32 Ω、感度:108 dB/mW
接続プラグ :3.5mm(ミニ)
ケーブル:銀メッキ高純度無酸素銅線(1.25m)
付属品:収納ケース、イヤーピース(白軸) S/M/L 各1ペア、イヤーピース(黒軸) S/M/L 各1ペア

購入イヤホンの写真
製品パッケージは思いっきり中華味。こういうの結構好き(笑)箱を開ける瞬間はいつもワクワクします。”Que”は鳥の名前です。同社の製品にはNightingales、Robin、Anserなど鳥の名前がいっぱい付けられています。総経理さんは鳥好きなのかな?


内箱を開けると樹脂製ケースがあって、その中にはケーブルとイヤーピースが二組。白軸と黒軸のイヤーピースで音質が異なります。黒軸のイヤーピースの方が低音が豊かということで、今回はこちらを装着してレビューします。


ケーブルとイヤホンヘッドの写真です。ケーブルはかなり太いですね。イヤホンヘッドの材質は亜鉛合金と北米製ホワイトウッド。ビルドクオリティはなかなか良いです。


製品レビュー
総合評価
Sivga Que
総合 :☆☆☆☆
デザイン・質感:☆☆☆☆☆
装着感 :☆☆☆☆
サウンド :☆☆☆☆
定位・空間表現:☆☆☆
<音質バランス>

[コメント]
メイプルウッド、すなわちカエデの木を加工したフェスイスプレートと亜鉛合金によるハウジングをもつイヤホンです。ドライバーはベリリウムコーティング振動板をもつ、ダイナミックドライバーです。
アメリカのオーディオサイトaudiodiscourse.com に周波数応答データが掲載されていましたので転載します。SIVGA Que の周波数応答はハーマン・カーブに比較的近い特性を示しています。
低域から中低域の音域は豊か。また10kHz付近はターゲットよりかなり強調された特徴をもっています。残念なのは5- 8 kHzの落ち込みで、これによりシンバル、スネアドラム、種々の楽器の倍音が聴こえにくくなるはずです。

ウッドのあたたかく豊かな低域〜中低域と硬質なベリリウム膜のクリアな高音域を両立させようとする設計だと思われます。データから見ると二兎は追わない方が良かったのではと感じます。
結論としては、この製品の最大の魅力は低域〜中低域の音質ということです。個人的にはゆったりとしたリズムのジャズ、クラシック音源を聴くとき、このイヤホンの魅力を一番感じます。本製品はSIVGAが得意とするウッドハウジングのクォリティーも高く、ケーブル、付属品も価格以上のものだと感じます。
サウンド・インプレッション
今回のサウンド・インプレッションは低域が豊かな黒軸イヤーピースを装着して音楽を聞いた印象について書きました。
最初にクラシックを聴いてみました。反田恭平 ”月の光” ”亡き王女のためのパヴァーヌ”。ボリュームを落とし気味にして聴く。ピアノの響きがやわらく優しい。ウッドハウジングのサウンドは良いですね。心が解けていくような安らぎを感じます。
続いて、ジャズを聴いてみました。メロディ・ガルドーのアルバムから”ファースト ソング”。このイヤホンでジャズを聴くのは良いですね。沈むベース音とやわらかなストリングスの響き。ベリリウム振動膜ドライバーが奏でる、ピアノのハイノートはクリアで透明感がある。これをバックに歌う艶やかなガルドーのボーカルが最高。
最後はポップスの楽曲。まず、レイヴェイのボーカル曲 ”Bewitched” “Misty”。あたたかくてシルキーなサウンドです。レイヴェイの美しいファルセットをストリングス、アコースティックギターのサウンドがやわらかく包み込んでいる。うっとりしてしまうほど素敵な一曲。
米津玄師 “感電” 。低いビートが効いて、なかなか良い。ギターの細かいリフまで聞き取れます。ベリリウム振動板のおかげでしょうか、スピーディな音の変化もソツなく鳴らします。続いてビートルズ、ジョンの名曲”Come Together”。ハウジングいっぱいに唸るベースと深いバスドラムの響き。これはなかなかカッコいい!

試聴曲
[Classic]
反田恭: 月の光 リサイタル・ピース 第1集 ”月の光” “亡き王女のためのパヴァーヌ”
[Jazz]
メロディ・ガルドー: The Essential Melody Gardot “ファースト・ソング” “バラ色の人生””セ・マニフィーク”
[Pops]
Laufey : Bewitched ”Bewitched” “Goddess” ”Misty”、米津玄師: STRAY SHEEP “感電”、The Beatles : Abbey Road “Come Together”
[試聴環境]:
音源:Apple Music (ロスレス、ハイレゾロスレス)、DAC: S.M.S.L DO 400
デザイン・製品の質感
ホワイトメイプルウッド、亜鉛合金でできたハウジングのビルドクオリティは高いです。またケーブルは太く、取り付けてある接続プラグも高級感があります。
装着感
shure掛けでイヤホンを安定して装着できます。装着感は良好です。しかしハウジングが大きく、主材が亜鉛合金であるため重く感じます。もう少し、小さくできなかったのだろうか。
音場・定位感
定位は良好です。音場の広さは一般的なイヤホンのレベルです。
記事で採り上げた商品のリンク
おわりに
ウッドハウジングをもつイヤホン製品は、ほかにもいくつか発売されていますが、本製品がもっとも安価です。音質は低域〜中低域が豊かでジャズ、クラシック、ボーカル曲の再生に適しています。価格以上の魅力がある製品です。
この製品の価格帯は SENNHEIZER IE 100 PRO、SHURE SE215 SPE-A、Maestraudio MAPro1000、qdc SUPERIORなど競合ひしめくゾーンです。これらの中でもSIVGA Queはリスニング向けの個性的な特徴をもっており、十分に選択肢のひとつとなります。
とくに、木のハウジングデザインが好みの人、ウッドハウジングが奏でるやわらかい音を好まれる人には、ぜひ推したいイヤホンです。
ShinSha
