どうもShinShaです。今回はドングル DAC(ダック)、iBasso DC07PROのレビューです。良い音を聴くためには入り口肝心。良いDACをもつことが近道なのです。
ドングル(dongle)とは、コンピュータ等の接続端子に差し込んで使う小さな装置のこと。DACはデジタル音源をアナログに変換する装置です。デジタル情報はDACを通さないとイヤホンやヘッドホンで音として聴くことができません。スマートホンの中にもDACが内蔵されているのですが、小型化のために性能が低いDACが入っています。
仕事の空き時間にふらりと秋葉原へ。ショップでドングルDAC製品を聴き比べました。気になっていたiFi audio、Shanling、Astell&KernなどのDACを一気に続けて。こうすると音の違いが本当に良く分かる。
その中、ちょっと驚いたDACがありました。音場の広さと音の美しさが印象的でした。こんなにも音が違うんだ。その音がどうにも頭から離れなくなってしまった。結局、昨年から使っていたドングルDACを下取りに出し、DC07PROに買い換えることになりました。
iBasso DC07PROの魅力について以下に詳しくレポートします。
iBasso DC07PRO
新しいDACを購入した
iBasso Audioは2006年に深圳に設立されたポータブルオーディオ製品の専業メーカーです。中国深圳のIT/エレクトロニクス産業の集積はすごいですね。深圳には急成長しているオーディオメーカーが沢山あります。少し上手く回り始めると資金が国や省から集まる仕組みになっている。
愚痴をこぼしても仕方がないのですが、この価格帯のポータブルオーディオ製品を作っている日本のメーカはなくなってしまった。儲からないのですね。日本には自動車以外、何にもなくなってしまった。ふう。
さて、今回はeイヤホン秋葉原本店で、市価の約70%で中古品を購入しました。中古Aランク品なので目立つ傷などは見当たりません。(ルーペで見れば傷があるかもしれない)店で動作を確認して購入。良い買い物だった。
製品は光沢のある紙の箱に入っていました。箱に少し凹みがありましたが、そこは中古のご愛嬌。箱が付いているだけでラッキーです。
箱を開けます。新しく手に入れたグッズの箱を開けるのはいつでも楽しいです。付属品はusb-c OTGケーブル、Lightning OTGケーブル、usb変換ブラグです。 OTGケーブルのグレードは高いです。このケーブルだけで買おうとすると3,000円以上です。


写真を何枚か掲載します。DC07PROのデザインはクールでスタイリッシュです。モノクロの有機ディスプレィと、マルチファンクションボリュームダイヤルが付いています。接続端子は3.5mmアンバランス、4.4mmバランス接続の2種。



製品の仕様
iBasso DC07Proの製品仕様を示します。CIRRUS LOGIC社製 CS43131のDACチップをなんと4基搭載。昨年購入したiBasso DC04ProはDACチップ2基搭載だったので倍になったんだ。これがノイズの低減や音質向上に役立っています。
🔳 製品仕様
筐体:アルミニウム
サイズ:59mm×23.5mm×12.5mm、重量:23g
DACチップ:CS43131×4
PCM:Max 768kHz/32bit
DSD:Native DSD 512
入力端子:USB Type-C
出力端子:3.5mmシングルエンド、4.4mmバランス
⚫︎ 3.5mmシングルエンド出力
THD+N:0.00017 % @1kHz 300Ω負荷時
出力レベル:2.0Vrms(High Gain)、1.4Vrms (Low Gain)
周波数特性:10Hz~75kHz
⚫︎ 4.4mmバランス出力
THD+N:0.000098 % @1kH 300Ω負荷時
出力レベル:4.0rms(High Gain)、2.8Vrms (Low Gain)
周波数特性:10Hz~ 75kHz

製品レビュー
(1) 総合評価
iBasso DC07PRO
総合 :☆☆☆☆☆
デザイン・質感 :☆☆☆☆☆
操作性 :☆☆☆☆☆
サウンド :☆☆☆☆☆
定位・空間表現 :☆☆☆☆☆
(2) コメント
DC07PROの優れた点を以下に列挙します。
- 小さく軽量なボディに搭載された高出力DACアンプ
- 優れた音質
- マルチファンクションダイヤルによる優れた操作性
- スタイリッシュなデザイン
音質については以下に詳しくレポートしますが、ドングルDACの中では一歩抜け出た性能だと思います。また、重さ230gの小さなボディでも接続端子は3.5mmアンバランス、4.4mmバランスの2種をもつ。イヤホンはもちろん、ヘッドホンでも音楽を楽しむことができます。
所有しているゼンハイザーHD490Pro(インピーダンス 130 Ω、感度 96 dB/mW)を4.4mmバランス接続して音楽を聴きました。ゲイン設定がミドルでボリューム60〜75/100の範囲で音楽を楽しめます。この出力ならほとんどのヘッドホンをこのDACで鳴らせるでしょう。

搭載されているマルチファンクションダイヤルは使いやすい。ボリュームの設定はもとより、ディスプレイの表示を見ながら、本機のすべての機能を設定・変更することができます。本機がもっている機能は以下のとおりです。
■デジタルフィルター ■ハイパスフィルター ■Gain機能 ■LRバランス
■SPDIFモード ■ディスプレイローテーション ■ボリューム操作有効設定 ■ディスプレイ消灯時間
iBassoにはiOSで動くアプリがないので、以前のモデルではiPhoneユーザーはデフォルト設定でDACを使うしかなかったのです。この問題はマルチファンクションダイヤルの搭載で解消しました。
本機にはさまざまな機能があります。今のところデフォルトの設定で十分に音が良いので、ほとんどいじっていません。これから、このDACの機能を使いこなしていきたいと思っています。
以上をまとめると、DC07PROは音質、デザイン、機能とも優れたドングルDAC。特に音質、操作性の向上は大きいと感じます。この音質のDACを持ち歩くことができるのはオーディオファンにとって大きな喜びです。市価3万円超と価格は安くありませんが、十分に見合う性能をもった製品です。
(3)[デザイン・質感]
わずか23gの小さなデバイスです。製品の形状から単調なデザインになりがちですが、DC07PROのデザインは良いですね。モノトーンの有機ディスプレーを搭載した、クールで高級感あるデザインになっています。オールブラックのデザインもすごくイケてるけどバッグの中で見失いそうです。付属のUSB-C OTGケーブルもなかなかカッコイイ。

(4)[操作性]
マルチファンクションダイヤルの搭載で操作性が大きく改善しました。ボーリュームは100段階と細かく設定できる仕様になっています。前記のようにディスプレイと組合わせて、本機のすべての機能の変更・設定が可能です。ディスプレイは0.96インチのOLEDで必要最低限な仕様となっており省電力に役立っています。

(5)[サウンド]
店舗で他社製品と比較した時、聴いた楽曲は反田恭平”ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ長調第2楽章”とメロディ・ガルドー”ファースト・ソング”の2曲です。ピアノ協奏曲を聴いた時の音場の広さ、繊細な音は感動的でした。
同じ曲を短時間に聴き比べると、音の良し悪しが分かり易いです。試聴するまではwebで調べた Shanling、iFi Audio製品に魅力を感じていたのですが、DC07PROは明らかにレベルが違っていた。改めて、DACでこんなに音の表現が変わるのだと感じました。
自宅に持ち帰って、愛用イヤホン SONY MDR EX800ST、ヘッドホン ゼンハイザーHD490PROを接続して、じっくり音楽を聴いてみました。

AppleMusic空間オーディオのジャズ曲を聴くと、本機の音の素晴らしさがよく分かります。低域から高域までバランス良く音を再生します。サブベース(60Hz以下)の音がよく聴こえることも印象的です。楽器の音はクリアで美しい響きをもち、ボーカルのリアリティも高い。ジャズ、ポップスの楽曲を聴くのがじつに楽しいです。
クラシックでは反田恭平が弾く ラヴェル ”亡き王女のためのパヴァーヌ”、ドビッシー”月の光” などの楽曲を聴きました。ピアノの響き、音の空間的な広がりが美しく繊細でエモーショナルに感じられます。小さなボディから出力された音とはとても信じられません。
前に所有していたDC04PROと比べると二回りほど音質が向上しています。DACチップを4基搭載することによってDA変換が高度化され、原音がもつ情報を正確に再生できるのです。ESS最新DACチップを搭載した据え置き型のDACを所有していますが、ブラインドテストをしたら聞き分けらるかな?と感じます。
音には人それぞれ好みがあります。DC07PROはあらゆるジャンルの音楽が楽しめるDACですが、特にジャズやクラシックを聴くのに適していると感じました。
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おわりに
新しく手に入れたiBasso DC07PROは最近のお気に入りです。無印良品で買ったポーチに入れて、イヤホンMaestraudio MAPro 1000と一緒に毎日持ち歩いています。こうすれば地下鉄の中でもどこでも良い音で音楽を聴くことができます。この1週間、移動中に音楽を聴きましたが、DC04PROと比べるとiPhoneのバッテリー消費も20%程度抑えられる実感です。省電力設計も良好なんですね。
7月にはポタフェスが開催されるので、会場でのヘッドホン、イヤホンの試聴にDC07PROが活躍しそうです。デザインが良い製品をもつのは少し誇らしいな。また近々、札幌、函館に出張に行く計画があります。良いドングルDACとイヤホンがあれば、旅はさらに楽しいものになります。
ShinSha
