時の化石

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連載記事『日本最古の歴史小説 古事記を読もう』(その 4) 宇気比(うけひ)と天岩戸(あまのいわと)の物語

どーも、ShinShaです。

今回は連載記事「古事記を読もう」4回目の記事です。古事記の中で最も有名な天岩戸の物語を紹介します。原文は大人の表現が多くあって、子供の頃読んだものとはイメージが違いますね。

しかし、ここまでのスサノヲというのは、どうしょうもない乱暴な神ですね。ずっと泣きわめいていたと思えば暴れる。今回も騒ぎを起こして、アマテラスと対立していきます。そして、この後も古事記では二人の対立の物語が展開していきます。

古事記の面白さ

古事記は、およそ1500年前に書かれた現存する日本最古の歴史書です。語り言葉を生かした漢文体で書かれています。日本書紀は、古事記ができてから8年後に、本格的な歴史書を作ろうという動きの中で作られた正史です。中国に習って漢文体で書かれています。

古事記の魅力は、正史である日本書紀には書いてないヤマトに生まれた王権によって日本列島が統一される以前の物語が書いてあることです。ヤマト王権に、逆らい敗れた者たちの悲劇のドラマが生き生きと書かれているのです。これこそ、大河小説ではないか。

しかも、全てが空想の物語ではなく、関連する遺跡が発見されていたり、縄文文化とも関わりがあるのです。古事記とは何なのか。何が書かれているのか? 大きな興味を感じます。

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寛永版本 古事記國學院大學古事記学センター蔵) 引用:Wikipedia https://commons.wikimedia.org/wiki/Special:Search/しんぎんぐきゃっと

本ブログで古事記をご紹介する方法について

このブログでは、テキストとして、青空文庫古事記』現代語訳 武田祐吉を使用します。この本は初版が1956年と古いので、副読本として三浦佑之著『読み解き古事記 神話編』朝日新聞出版を使用します。副読本を使って、現代的な解釈を補ってもらうことにします。

ブログ記事の範囲は、個人的に興味がある、古事記の上巻、神話部分と致します。全文を読むのは、大変な労力となりますので、独断と偏見で、「重要だ」、「面白い」と判断した部分のテキストを引用して、その解釈と感想について記事を書いていくことにします。また、できるだけ、インターネットの特長であるビジュアルな記事としたいと思います。

少しずつ、古事記の勉強を進めていきたいと思います。興味のある方は、ぜひ、一緒にを勉強していきませんか。

古事記を読もう【その4】

宇気比(うけひ)

[テキスト]

そこでスサノヲの命が仰せになるには、「それなら天照らす大神に申しあげて黄泉の国に行きましよう」と仰せられて天にお上りになる時に、山や川が悉く鳴り騷ぎ国土が皆振動しました。

それですから天照らす大神が驚かれて、「わたしの 弟が天に上つて来られるわけは立派な心で来るのではありますまい。

わたしの国を奪おうと思っておられるのかも知れない」と仰せられて、髮をお解きになり、左右に分けて耳のところに輪に纏(ま)きになり、その左右の髮の輪にも、頭に戴かれる鬘(かずら)にも、左右の御手にも、皆大きな勾玉のたくさんついている玉の緒を纏(ま)き持たれて、背には矢が千本も入る靱を負われ、胸にも五百本入りの靱(ゆぎ)をつけ、また威勢のよい音を立てる鞆をお帶びになり、弓を振り立てて力強く大庭をお踏みつけになり、泡雪のように大地を蹴散らかして勢いよく叫びの声をお挙げになつて待ち問われるのには、「どういうわけで 上つて来られたか」とお尋ねになりました。

イザナギの命令に背いたスサノヲは追放されてしまいます。

スサノヲは姉アマテラスに事情を話してから、黄泉(よみ)に行こうと高天原(たかまがはら)に昇っていきます。この時、山や川はしばらくの間鳴り響き、国中が大きく揺れました。まさしく、荒ぶる神が天に昇ったのです。

アマテラスは驚いて、弟は邪心をもって天に昇ってくるのだろうと警戒します。私の国を奪いにくるに違いない。アマテラスは女の髪を解いて男のように髪を左右に分けて、耳のところで束ねて左右の髪にも、かずらにも勾玉をたくさん巻き付けました。さらに左右の手にも大きな勾玉を巻きつけました。

背中には矢が千本入る矢筒を背負い、腹には五百本入る矢筒を付け、鋭い音を発する鞆(とも、弓を射る時に左ひじを守る道具)を身に付け、弓を振り立て大地を力強く踏み締めて、雪のように蹴散らした。

そしてスサノヲに、勢いよく大きな声で「どういうつもりで天に昇ってきたのだ」と問い詰めたのです。

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スサノヲ

By Utagawa Kuniyoshi (歌川国芳作) - Visipix.com http://visipix.com/search/search.php?userid=1616934267&q=%272aAuthors/K/Kuniyoshi%201797-1861%2C%20Utagawa%2C%20Japan%27&s=23&l=en&u=2&ub=1&k=1, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=314856

[テキスト]

そこでスサノヲの命の申されるには、「わたくしは 穢い(きたない)心はございません。ただ父上の仰せでわたくしが泣きわめいていることをお尋ねになりましたから、わたくしは母上の国に行きたいと思つて泣いておりますと申しましたところ、父上はそれではこの国に住んではならないと仰せられて追い払いましたのでお暇乞い(ひまごい)に參りました。変つた心は持つておりません」と申されました。

そこで天照らす大神は、「それならあなたの心の正しいことはどうしたらわかるでしよう」と仰せになつたので、スサノヲの命は、「 誓約(ちかい)を立てて子を生みましよう」と申されました。

スサノヲは「私は汚い心はもっていません。父上に国から出て行けと言われたので、お別れの挨拶に参りました。変な気持ちなど、もっていません。」と答える。

アマテラスは、邪心がないというのなら、心が清いことを証明してみろと迫る。するとスサノヲは「おのおの宇気比(うけひ)で子を生みましょうと」と答えたのです。

この部分は、テキストでは「誓約(ちかい)を立てて」となっていますが、原文では「宇気比(うけひ)」となっています。「宇気比」というのは、神の意思を受ける占いの一種で、確率が五分五分となるような物事で、神の意思を知ろうとすることです。例えば、コイントスのような占いが「宇気比」に当たります。

そうして、天安河(あまのやすかわ)をはさんで、二人は子を生み合って、スサノヲの心が清らかかどうかを確かめようとする。また、新しい神をたくさん産むのですね(汗)。

[テキスト]

よつて天のヤスの河を中に置いて 誓約を立てる時に、天照らす大神はまずスサノヲの命の佩いている長い劒(つるぎ)をお取りになつて三段に打ち折つて、音もさらさらと天の眞名井の水で滌いで囓みに囓んで吹き棄てる息の霧の中からあらわれた神の名はタギリヒメの命またの名はオキツシマ姫の命でした。次にイチキシマヒメの命またの名はサヨリビメの命、次にタギツヒメの命のお三方でした。

次にスサノヲの命が天照らす大神の左の御髮に纏(ま)いておいでになつた大きな勾玉の沢山ついている玉の緒をお請けになつて、音もさらさらと天の真名井の水に滌いで囓みに囓んで吹き棄てる息の霧の中からあらわれた神はマサカアカツカチハヤビアメノオシホミミの命、次に右の御髮の輪に 纏かれていた珠をお請けになつて囓みに囓んで吹き棄てる息の霧の中からあらわれた神はアメノホヒの命、次に 鬘に続いておいでになつていた珠をお請けになつて囓みに囓んで吹き棄てる息の霧の中からあらわれた神はアマツヒコネの命、次に左の御手にお纏き になつていた珠をお請けになつて囓みに囓んで吹き棄てる息の霧の中からあらわれた神はイクツヒコネの命、次に右の御手に纏いておいでになつていた珠をお請けになつて 囓みに囓んで吹き棄てる息の霧の中からあらわれた神はクマノクスビの命、合わせて五方の男神が御出現になりました。

こうして、宇気比(うけひ)が始まった。アマテラスは、スサノヲの長い剣を取って三つに折り、天の清らかな井戸の水で洗い、これを噛みに噛んで、吹き付けた中からタギリヒメ、イチキシマヒメタギツヒメの三方の女性神を産む。

スサノヲはアマテラス の左に束ねた髪に巻いた勾玉を取って、天の清らかな井戸の水で洗い、これを噛みに噛んで吹き付けた中から、マサカアカツカチハヤビアメノオシホミミを産む。さらに右の髪に巻いた勾玉から勾玉を取って、天の清らかな井戸の水で洗い、これを噛みに噛んで吹き付けた中からアメノホヒ、かずらに着けてあった玉から同様にしてアマツヒコネ、左手に付けていた玉からイクツヒコネ、左手に付けていた玉からクマノクスビの命、合わせて五方の男神を産んだのです。

どうも、この噛んで吹き出すという行為は、呪力が生じる行為なのです。 剣も、玉も噛んで吹き出すと神様になるんです。 下に、今回生まれた神の系図を掲載しました。

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神の系図
Michey.M - 投稿者自身による作品, CC 表示 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1519308による

[テキスト]
ここに天照らす大神はスサノヲの命に仰せになつて、「この後から生まれた五人の男神はわたしの身につけた珠によつてあらわれた神ですから自然わたしの子です。先に生まれた三人の姫御子はあなたの身につけたものによつてあらわれたのですから、やはりあなたの子です」と仰せられました。

その先にお生まれになつた神のうちタギリヒメの命は、九州の胸形の沖つ宮においでになります。次にイチキシマヒメの命は胸形の中つ宮においでになります。次にタギツヒメの命は胸形の邊(へ)つ宮においでになります。この三人の神は、胸形の君たちが大切にお祭りする神樣であります。

そこでこの後でお生まれになつた五人の子の中に、アメノホヒの命の子のタケヒラドリの命、これは出雲の国の造 ・ムザシの国の造・カミツウナカミの国の造・シモツウナカミの国の造・イジムの国の造・津島の縣の直・遠 江の國の造たちの祖先です。

次にアマツヒコネの命は、凡川内の国の造・額田部の湯坐の連・木の国の造・倭の田中の直・山代の国の造・ウマクタの国の造・道ノシリキベの国の造・スハの国の造・倭のアムチの造・高市の縣主・蒲生の稻寸・三枝部の造たちの祖先です。

アマテラスは、スサノヲに「今回生まれた五人の男神は、私の着けていた玉から生まれたから私の子供、三人の女神は、あなたの剣から生まれたからあなたの子です」と告げる。ここで、アマテラスは互いの産んだ神を入れ替える宣言をします。

今回生まれた神の中には、宗像(=胸形、むなかた)神社の三人の女神と出雲や木の国(紀国)、そのほかの地方を治めた豪族の祖先が生まれています。

宗像三神は航海を司る女神です。この神を祀(まつ)るのは宗方氏で、玄海灘を中心とした日本海の航海などに大きな勢力をもつ豪族で、朝鮮などとの交流、交易の大きな役割を担っていた。

宗像・沖ノ島は2017年に世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」に登録されました。沖ノ島での長年の発掘調査から見つかった八万点の遺物が国宝に指定され、海の正倉院と呼ばれています。1500年前以上から、これらの島には素晴らしい文化があった。

天岩土(あまのいわと)

[テキスト]

そこでスサノヲの命は、天照らす大神に申されるには「わたくしの心が清らかだつたので、わたくしの生んだ子が女だつたのです。

これによつて言えば当然わたくしが勝つたのです」といつて、勝つた勢いに任せて乱暴を働きました。天照らす大神が田を作つておられたその田の畔を毀したり溝を埋めたりし、また食事をなさる御殿に糞をし散らしました。

このようなことをなさいましたけれども天照らす大神はお咎め(とが)にならないで、仰せになるには「糞のようなのは酒に醉つて吐き散らすとてこんなになつたのでしよう。

それから田の畔を毀し溝を埋めたのは地面を惜しまれてこのようになされたのです」と善いようにと仰せられましたけれども、その乱暴なしわざは止みませんでした。

天照らす大神が清らかな機織場においでになつてçおいでになる時に、その機織場の屋根に穴をあけて斑駒の皮をむいて墮し(おとし)入れたので、機織女が驚いて機織りに使う板で陰をついて死んでしまいました。

そこで天照らす大神もこれを嫌つて、 天の岩屋戸をあけて中にお隱れになりました。それですから天がまつくらになり、下の世界もことごとく闇くなりました。

永久に夜が続いて行つたのです。そこで多くの神々の騷ぐ声は夏の蠅のようにいつぱいになり、あらゆる妖がすべて起りました。

やっと天岩戸まできました(汗)。

スサノヲはアマテラスに「私の心が清らかだったから女神を生んだ。私が勝ったのだ」と話し、乱暴を働いた。アマテラスの水田の畔を壊し、溝を埋め、食事を取る御殿に糞を撒き散らした。

副読本を読むと、古代は男尊女卑の時代なので、女神を生んだから勝ったという道理は成り立たず、日本書紀では、スサノヲは宇気比(うけひ)に負け、邪心をもっていたということになっている。この部分は、負けた腹立ちで、乱暴を働いていると読めます。まったく、なんというヤツでしょう。

アマテラスは、「糞をしたのは酒に酔ってのことでしょう。田を壊したのは稲を植える地面が狭くなって惜しいということなんでしょう。」と、これを責めることはしませんでした。スサノヲの乱暴は、さらにエスカレートしてきます。

次に、アマテラスが機織(はたお)り場で、神様の衣服を作らせている時、屋根に穴を開けて天にいる斑点模様の馬の皮をはいで、穴から落としたのです。下にいた機織り女の一人が、それを頭から被って驚いて逃げた時に機織り道具で、急所を突いて死んでしまったのです。

副読本によると、原文では、この部分にかなり性的な表現となっているようです。ここでは触れませんね。

アマテラスは、その様子を見て怖れて、天岩戸の中に隠れてしまいました。高天原も、地上も真っ暗闇になっていまったのです。常に夜の日々が続いて、悪神が騒ぎ、その音は夏の蝿のようにうるさく響きわたり、あらゆる恐ろしい禍が起こり広がった。

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天地暗黒となり八百万(やおよろず)の神がこの河原に集まり神議されたと伝えられる「天安河原」 引用:宮崎観光情報 たびらい https://www.tabirai.net/sightseeing/tatsujin/0000540.aspx

[テキスト]

こういう次第で多くの神樣たちが天の世界の天のヤスの河の河原にお集まりになつてタカミムスビの神の子のオモヒガネの神という神に考えさせてまず海外の国から渡つて來た長鳴鳥を集めて鳴かせました。

次に天のヤスの河の河上にある堅い巖(いわお)を取つて来、また天の金山の鉄を取つて鍛冶屋のアマツマラという人を尋ね求め、イシコリドメの命に命じて鏡を作らしめ、タマノオヤの命に命じて大きな勾玉(まがたま)が沢山ついている玉の緒の珠を作らしめ、アメノコヤネの命とフトダマの命とを呼んで天のカグ山の男鹿の肩骨をそつくり抜いて来て、天のカグ山のハハカの木を取つてその鹿の肩骨を燒いて占わしめました。

次に天のカグ山の茂つた賢木を根掘ぎにこいで、上の枝に大きな勾玉の沢山の玉の緒を懸け、中の枝には大きな鏡を懸け、下の枝には麻だの楮(こうぞ)の皮の晒(さら)したのなどをさげて、フトダマの命がこれをささげ持ち、アメノコヤネの命が莊重な祝詞(のりと)を唱え、アメノタヂカラヲの神が岩戸の陰に隱れて立つており、アメノウズメの命が天のカグ山の日影蔓(ひかげかずら)を手繦(たすき)に懸け、マサキの蔓(かずら)を鬘(かずら)として、天のカグ山の小竹の葉を束ねて手に持ち、天照らす大神のお隱れになつた岩戸の前に 桶を覆せて踏み鳴らし神懸りして裳の紐を 陰に垂らしましたので、天の世界が鳴りひびいて、たくさんの神が、いつしよに笑いました。

天の神は天安河原も集まって、知恵が豊かなオモヒガネの神に、岩戸に隠れたアマテラスを引き出す方法を思案させ、最初に常世にいる長鳴鳥を集めて一斉に鳴かせた。常世と言うのは永遠に続くユートピアに意味で、長鳴鳥はニワトリのことです。

次に、川の上流から硬い石を取って来て、アマツマラとイシコリドメに鏡を作らせた。ここで、原文では、なかなかエロチックな表現がされています。古代は大らかで良いすね。これ以上書くと女性読者様が。。。。(汗)

つぎに、タマノオヤに命じて大きな勾玉(まがたま)が沢山ついている玉を作らせた。アメノコヤネのとフトダマを呼んで天の香山にいた男鹿の肩骨を抜き取らせ、ハハカの木(桜の一種)を燃やして、鹿の肩骨を燒いて、この企てがうまくいくかどうか占いを行わせた。

次に天香具山にあるサカキの木を根がついたまま持って来て、上の枝には玉を、中程の枝に鏡を掛け、下の枝には楮(こうぞ)の皮からつくった糸を掛け、フトダマがこれを支えて持つ。まるでクリスマスツリーのように、キラキラに飾りつけた木を用意したんですね。

アメノコヤネ祝詞(のりと)を唱えて、アメノタヂカラヲはが岩戸の陰に隱れて立ちました。そして、アメノウズメは伏せた桶の上に乗って、リズムを取って神がかって踊りをする。神々はそれを見て大騒ぎしました。

ギンギラギンに飾り付けをして、踊り子は神がかってダンス。神様が集まってどんちゃん騒ぎする、お芝居をしたんですね。

テキストや、下の絵は大人しい表現になっていますが、原文にはエロチックな表現が書かれています。アメノウズメの踊りは、元祖ストリップティーズだな、と思っていたら、同じことが副読本に書いてありました。

オモヒガネの演出は、見事に成功したのです。

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天岩戸

枝年昌 - en.wiki, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=408521による

[テキスト]

そこで天照らす大神は怪しいとお思いになつて、天の岩戸を細目にあけて内から仰せになるには、「わたしが隠れているので天の世界は自然に闇く、下の世界も皆闇いでしようと思うのに、どうしてアメノウズメは舞い遊び、また多くの神は笑つているのですか」と仰せられました。そこでアメノウズメの命が、「あなた樣に勝つて尊い神樣がおいでになりますので楽しく遊んでおります」と申しました。かように申す間にアメノコヤネの命とフトダマの命とが、かの鏡をさし出して天照らす大神にお見せ申し上げる時に天照らす大神はいよいよ不思議にお思いになつて、少し戸からお出かけになる所を、隱れて立つておられたタヂカラヲの神がその御手を取つて引き出し申し上げました。

そこでフトダマの命がそのうしろにしめ繩(なわ)を引き渡して、「これから内にはお還り入り遊ばしますな」と申しました。かくて天照らす大神 がお出ましになつた時に、天も下の世界も自然と照り明るくなりました。ここで神樣たちが相談をしてスサノヲの命に澤山の品物を出して罪を償わしめ、また鬚と手足の爪 とを切つて逐いはらいました。

アマテラスは、様子がおかしいと思って、天岩戸を細めに開けて中から、「私が隠れているから、天も地も真っ暗のはずなのに、どうして、アメノウズメは舞い踊って、大勢の神が笑っているのですか?」と話されました。

アメノウズメは「あなた様より尊い神様がおいでになるので、楽しく遊んでいるのですよ。」と答え、アメノコヤネとフトダマは鏡を差し出した。
アマテラスは、鏡に写った自分の姿を不思議に思って少し戸から出た。そこで、隠れて立っていたタヂカラヲが手を取つてアマテラスを引き出した。

フトダマが、後にしめ繩(なわ)を張って「これから中には帰ってはいけません。」と申し上げた。こうして、アマテラスが岩戸から出たことで天も地上も自然と明るい光が戻りました。

神々は相談して、騒ぎを起こしたスサノヲに罪を償(つぐな)う沢山の品物を出させ。髭と手足のツメを切って追い払ったのです。

天岩戸神話には、日食や昼と夜の太陽の運行、冬至と関係があるという説があります。副読本では、冬至との関係が強いと言う指摘をしています。
冬至の頃は、日照時間が短くなり太陽の光もどんどん弱くなっていく。このままいくと、太陽はなくなってしまうのではないか。こういう状況が天岩戸の物語と似ているというのです。

天岩戸の場所について、ネットで調べると、北は岐阜県から南は沖縄県まで、伝承がある神社などが全国で10以上あります。まあ伝説ですからねぇ。参考までに、なかでも有名な宮崎県の天岩戸神社の写真をご紹介します。

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天岩戸神社西本宮(宮崎県)
Muzinabear - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18661283による

読み解き古事記 神話篇 (朝日新書)

読み解き古事記 神話篇 (朝日新書)

あとがき

このシリーズは、青空文庫古事記』現代語訳 武田祐吉をテキストして使っています。その理由は著作権フリーなので引用が自由にできるからなのですが、この本、古いし表現が真面目すぎるなぁ。。。

もう少し、エロティックで大らかな古代の文化を楽しめたらと思うのですが、なかなか難しいですね。今後の課題ですね。気になる方は副読本をお読みください。

今回は宇気比(うけひ)から天岩戸まで、一気に書きました。宇気比を省くわけにいかないし、宇気比だけで終わるわけにもいかないし。結局、10,000文字を超える記事となりました。長くなってすみません。

長文なので読むのも大変だと思います。ぜひ、お時間ある時にお読みくださいね。
多くの人に読んでもらえたら嬉しいです。

今日もこのブログを訪問いただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。

ShinSha

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