時の化石

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連載記事『日本最古の歴史小説 古事記を読もう』(その8) スサノヲに認められ、地上の王オオクニヌシとなる

どーも、ShinShaです。

今回は連載記事『古事記を読もう』第8回目の記事。次々やってくる難題をクリアしながら展開していくストーリは、まるでRPGのように楽しいです。今回はラスボス攻略です!

これまで、さんざんひどい目にあわされたオオクニヌシでしたが、ついに自力で困難を打開します。そして彼は地上の王となったのです。

今回は付録で、出雲大社の古代高層本殿についてもご紹介します。

古事記の面白さ

古事記は、およそ1500年前に書かれた現存する日本最古の歴史書です。語り言葉を生かした漢文体で書かれています。日本書紀は、古事記ができてから8年後に、本格的な歴史書を作ろうという動きの中で作られた正史です。中国に習って漢文体で書かれています。

古事記の魅力は、正史である日本書紀には書いてないヤマトに生まれた王権によって日本列島が統一される以前の物語が書いてあることです。ヤマト王権に、逆らい敗れた者たちの悲劇のドラマが生き生きと書かれているのです。これこそ、大河小説ではないか。

しかも、全てが空想の物語ではなく、関連する遺跡が発見されていたり、縄文文化とも関わりがあるのです。古事記とは何なのか。何が書かれているのか? 大きな興味を感じます。

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寛永版本 古事記國學院大學古事記学センター蔵) 引用:Wikipedia https://commons.wikimedia.org/wiki/Special:Search/しんぎんぐきゃっと

ついに地上の王オオクニヌシとなる!

[テキスト]

そこでその頭を見るとムカデがいつぱいおります。

この時にお妃が椋(むく)の木の実と赤土とを夫君に与えましたから、その木の実を咋い破り赤土を口に含んで吐き出されると、その大神はムカデを食い破つて吐き出すとお思いになつて、御心に感心にお思いになつて寢ておしまいになりました。

そこでその大神の髮を握つてその室の屋根のたる木ごとに結いつけて、大きな巖をその室の戸口に塞いで、お妃のスセリ姫を背負つて、その大 神の寶物の大刀弓矢、また美しい琴を持つて逃げておいでになる時に、その琴が樹にさわつて音を立てました。

そこで寢ておいでになつた大神が聞いてお驚きになつてその 室を引き仆してしまいました。

しかしたる木に結びつけてある髮を解いておいでになる間に遠く逃げてしまいました。

そこで 黄泉比良坂(よみひらさか)まで追つておいでになつて、遠くに 見て大国主の命を呼んで仰せになつたには、「そのお前の持つている大刀や弓矢を以つて、大勢の神をば坂の上に追い伏せ河の瀬に追い撥つて、自分で大国主の命となつて そのわたしの女のスセリ姫を正妻として、ウカの山の山本に大 磐 石の上に宮柱を太く立て、大空に高く棟木を上げて住めよ、この奴め」と仰せられました。

そこでその大刀弓を持つてかの大勢の神を追い撥う時に、坂の上毎に追い伏せ河の瀬毎に追い撥つて国を作り始めなさいました。

かのヤガミ姫は前の約束通りに婚姻なさいました。そのヤガミ姫を連れておいでになりましたけれども、お妃のスセリ姫を恐れて生んだ子を木の俣にさし挟んでお帰りになりました。ですからその子の名を木の俣の神と申します。またの名は御井の神とも申します

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馬上の大首長像(上塩冶築山古墳・復元品、島根県古代出雲歴史博物館展示物)

スサノヲはオオクニヌシを連れて家に帰って頭のシラミを取らせた。スサノヲの頭には、ムカデ がいっぱいいたのです。まだまだ安心できない。取れと言われたシラミはムカデ だった。

副読本では、シラミがムカデ だったというのは、スサノヲの体がとてもなく大きな体だったことを表しているとの解説があります。

スセリ姫はオオクニヌシに椋(むく)の木の実と赤土を渡しました。今度はこれらを渡しただけで、助け舟は出さないのです。オオクニヌシは自分の知恵でこのピンチから抜け出さなければなりません。まだまだ、彼は試されている。

木の実をかじり赤土を口に含んで吐き出して見せると、スサノヲは婿がムカデ を噛みちぎって吐いていると思って、満足して眠ったのです。

オオクニヌシは、スサノヲの髪の毛を屋根のたる木に縛り付け、大きな岩で家の戸口をふさいだのです。そしてスセリ姫を背負って、スサノヲの大刀と弓矢、美しい琴を持つて逃げました。その時、琴が木に触れて地面が震えるほど音をたてた

スサノヲは驚いて飛び起きて、その拍子に家を引き倒してしまった。たる木に縛ってある髪の毛を解いている間に、二人は遠くへ逃だした。

スサノヲは逃げる二人を黄泉比良坂(よみひらさか)まで追いかけて、オオクニヌシに向かって「お前の持っている太刀、弓矢を使って、兄神たちを坂の上まで追いつめ、川の瀬に追い払て制圧せよ。そして、立派な王となって、スセリ姫を正妻にして、ウカ(宇迦)の山のふもとで、大きな基礎石に太く高い柱を立て、空高く棟木を上げて住めよ。こいつめ!」

オオクニヌシはスサノヲに教えられたとおり、太刀と弓の威力で兄神たちを制圧して国造りを始めたのです。

その後、オオクニヌシは約束通り、因幡の国からヤガミ姫を迎えて結婚しました。しかし、嫉妬深い正妻スセリ姫を遅れて、ヤガミ姫は産んだ子供を木の股に隠して、因幡の国に帰ってしまいました。その子の名前は、木の俣の神、またの名を御井の神と申します。

黄泉比良坂は、イザナミが黄泉の国からイザナギを追ってきたこの世との境です。副読本では、この世との出入口は、同じ黄泉比良坂だが、黄泉の国と根の堅州の国は違う国だと解説しています。

オオクニヌシは兄神、そしてスサノヲから凄まじい試練を与えられましたが、妻や自然の助けを借りて、さらには自らの知恵で乗り越えて成長していったのです。

副読本では、大刀と弓矢、美しい琴はスサノヲの神器であると解説しています。スサノヲの神器を手にいることで、オオクニヌシは大きな力を手に入れたのです。最後のスサノヲの言葉「こいつめ」は、年下の者に親しみをこめて呼び掛けた言葉です。スサノヲはついにオオクニヌシを認め、王として祝福したのです。

オオクニヌシはスサノヲの後ろ盾を得て、兄神たちを制圧しついに国を造ったのです。文字通り、大国主となったのです。死ぬほどひどい目にあわされましたが、最後は自分の力で困難を打開し、そしてスサノヲの大きなバックアップをもらったのです。

副読本では、スサノヲが空高く宮殿を立てて住めといったウカ(宇迦)の山とは、現在の出雲大社の建っている場所だと解説しています。そして、出雲大社では伝説のとおり、2000年に高層本殿の遺構が発見されたのです。

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出雲大社


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出雲大社伝説の高層本殿

今から20年前、出雲大社の地中で伝説の高層本殿の遺構が発見されたというニュースが流れ、考古学ファンは驚愕したのでした。そのニュースを今でも記憶しています。

平成12年から13年にかけて、出雲大社境内遺跡からスギの大木3本を1組にし、直径が約3mにもなる巨大な柱が3カ所で発見されました。

直径が最大で約6mもある柱穴には、人の頭の大きさかそれ以上の大きな石がぎっしりと積み込まれ、世界に例のない掘立柱の地下構造も明らかになりました。柱の配置や構造は、出雲大社宮司の千家国造家(こくそうけ)に伝わる、いにしえの巨大な本殿の設計図とされる「金輪御造営差図」(かなわのごぞうえいさしず)に描かれたものと類似していました。

その後、柱材の科学分析調査や、考古資料・絵画、文献記録などの調査などから、この柱は、鎌倉時代前半の宝治2年(1248年)に造営された本殿を支えていた柱である可能性が極めて高くなりました。

引用:島根県古代出雲歴史博物館website https://www.izm.ed.jp/cms/cms.php?mode=v&id=96

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2000年に地中から発見された巨大な柱、引用: https://www.izm.ed.jp/cms/cms.php?mode=v&id=96

掘り出された柱は鎌倉時代のものと推定されています。しかし、古来の伝承や周辺の遺跡からの出土品から、高層建築を建てる技術は弥生時代から継承されてきたと考えることができます。

日本を代表する建築史研究者たちは高さ48mの高層本殿に伝承を認め、これを再現した建築模型を作成しました。

副読本では、ヤマト政権が成立する前から、古事記伝承の高層建築が出雲大社付近に存在したと解説しています。古代のロマンに胸はときめきますね。

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再現された高層本殿の模型(島根県古代出雲歴史博物館展示物)

本ブログで古事記をご紹介する方法について

このブログでは、テキストとして、青空文庫古事記』現代語訳 武田祐吉を使用します。この本は初版が1956年と古いので、副読本として三浦佑之著『読み解き古事記 神話編』朝日新聞出版を使用します。副読本を使って、現代的な解釈を補ってもらうことにします。

ブログ記事の範囲は、個人的に興味がある、古事記の上巻、神話部分と致します。全文を読むのは、大変な労力となりますので、独断と偏見で、「重要だ」、「面白い」と判断した部分のテキストを引用して、その解釈と感想について記事を書いていくことにします。また、できるだけ、インターネットの特長であるビジュアルな記事としたいと思います。

少しずつ、古事記の勉強を進めていきたいと思います。興味のある方は、ぜひ、一緒にを勉強していきませんか。

三浦佑之著『読み解き古事記 神話編』は、古事記研究の第一人者の書いた本です。これまでの研究成果を踏まえて分かりやすく、現代的に古事記のすべてを解説してくれます。オススメの素晴らしい本です。ぜひ。

読み解き古事記 神話篇 (朝日新書)

読み解き古事記 神話篇 (朝日新書)

 あとがき

いやぁ、今回も面白かったですね。オオクニヌシは最後は自力で困難を打開して、スサノヲから地上の王として祝福された。前回は、なんというひどいヤツだと思いましたが、スサノヲも最後はいい父親になってくれました。

連載6〜8回目に、オオクニヌシの成長の物語が登場しましたが、なかなかよくできていますね。次々とやってくる難題をクリアしながら展開していくストーリは、冒険物語の典型的なパターン、まるでRPGのようです。とても1500年前に書かれたとは思えません。

今回の記事は、当ブログの2020年最後の記事となります。皆様には、本年、大変お世話になりました。
良い年をお迎えください。

今日もこのブログを訪問いただき、ありがとうございました。
古事記の連載はまだまだ続きます。
今後ともよろしくお願いします。

ShinSha

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