時の化石

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山田五郎著『知識ゼロからの西洋絵画史入門』 さすが五郎さん フォービズムもキュビズムも 楽しみながら西洋絵画史をお勉強!

どーも、ShinShaです。

今回は、山田五郎さんの西洋美術の本をご紹介します。
彼の学生時代の専門は、西洋美術史なんですよね。
オーストリアの大学に留学した本格派。この本、非常に面白いです。
さすが五郎さん、すごい博学。

たまには、絵の勉強でもしようと思って、本棚を見ると読んでいない本がありました。
しかも、山田五郎さんの本。調べてみると二年前に購入した本だった。
手にとってパラパラ読むと、じつに面白い。

今日は、今まで疑問に思ってたことも、山田五郎さんの本で勉強しましょう。

山田五郎さんプロフィール

山田五郎さんは、みうらじゅんさんと仲が良いので、その関係で昔から存じ上げております。
いまも時々、radikoでFM番組も聴きます。

生で五郎さんを拝見したことが2回あります。
1日目は、川崎市みうらじゅんFES」のオープニング対談で。
2回目は、みうらじゅん氏のバンド『大島渚』でエレキギターを弾いていらっしゃるのを拝見しました。
この人、エレキギターもむちゃくちゃうまいです。

1958年東京都生まれ。
編集者・評論家。
上智大学文学部在学中にオーストリアザルツブルク大学に1年間遊学し、西洋美術史を学ぶ。
卒業後、講談社に入社。
『Hot-Dog PRESS』編集長、総合編纂局担当部長等を経てフリーに。
現在は時計、ファッション、西洋美術、化石鉱物など幅広い分野で講演、執筆活動を続けている。
出没!アド街ック天国』(テレビ東京系)、『東京REMIX族』(J-WAVE)など、テレビ・ラジオの出演多数。
著書に『百万人のお尻学』(講談社+α文庫)、『20世紀少年白書』(世界文化社)、『知識ゼロからの西洋絵画入門』(小社)などがある。

オススメのポイント

この本は、ゼロから始める西洋美術史と書いてありますが、内容は非常に本格的です。
7000BCから1940年第二次世界大戦後の間を29の美術様式に分けて、説明しています。
そして、各様式の代表的な画家と絵、時代背景まで説明しています。
コンパクトに9000年間の絵画の歴史をまとめてあります。

【29の西洋絵画様式】
古代ギリシャ古代ローマ/ビザンティン、ロマネスク/ゴシック/初期フランドル派ルネサンス、北方ルネサンスマニエリスムバロックロココ新古典主義ロマン主義、実主義、バルビゾン派印象主義、ポスト印象主義ナビ派象徴主義、、分離派、アール・ヌーボー/フォービズム、キュビズムドイツ表現主義未来派構成主義/抽象主義/ダダイズムシュルレアリスム

西洋絵画を代表する29の様式、様式の特徴や代表画家、様式が興った時代の背景を解説。
同時代の日本での出来事、同じ様式名を持つ他分野の芸術、様式を表すキーワードとともに代表的な絵画作品を紹介
作品の見どころや裏話、画家について一言解説。様式の特徴を美女にたとえて一言解説。

この本、美術愛好家が楽しんで読む良書です。
しかし、知らない言葉がいっぱい出てくるな(汗)。
これが入門書。。。 勉強しなくちゃ。。。

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山田五郎著『知識ゼロからの西洋絵画史入門』 幻冬舎

『知識ゼロからの西洋美術史入門』

五郎さんならではのコメント

この本の、魅力は何と言っても山田五郎さんが解説していること。
彼の造詣が深い、しかもユーモアにあふれた美術に関するコメントが随所に見られます。

本書からいくつか文章を引用します。
とても重白いですね。
みうらじゅん風にいうと「そこがぐっとくる」のです(笑)。

ルネサンス絵画の解説】
ルネサンス絵画は線遠近法と空気遠近法を科学的に確立し、深い奥行き感を実現。
西洋絵画の空間に革命をもたらした。
遠くの物は輪郭をぼかし青味を帯びた色で描く空気遠近法はダビンチが確立。


【画家ロートレックの解説】
名門貴族ながら下町の歓楽街に住み、踊り子や娼婦を描いたロートレックは、まさにパリの浮世絵師。


ゴッホの絵『星月夜』の解説】
ゴッホ のうねる筆致は絵具の「盛り」も半端なく、実物で見ると迫力倍増!
絵具代がかさんで弟に借金ばかりしていました。


バロック絵画の解説】
バロック絵画を理解するキーワードは「過剰さ」、「盛りすぎ感」、「豊満すぎる肉体」、「劇的すぎる演出」・・・


ロココ絵画の解説】
ロココは、日本人でもイメージしやすい様式。
「猫足家具」のインテリア、漫画「ベルサイユのばら」の世界だと思えば間違いはありません。


「フォービズム」

せっかくの機会だから、これまで十分に理解できていなかった絵画様式について、五郎さんに教えてもらいましょう。
フォービズムあたりから僕の知識はあやうくなくってきます。
え、フォービズムって何だったっけ?。

フォービズムを直訳すると、野獣主義。 1905年の「秋季展」でマティスの作品を見た評論家が「野獣の檻の中にいるようだ」と批判したことから命名されました。
その名のとおりフォービズムの特徴は強烈な色彩と荒々しいタッチ。
人物や風景など具体的な対象を描きながらも、実物どおりではなく好きな色に塗ることで、画家の主観的な感覚を表現します。

フォービズムの代表作を2作ご紹介します。
最初の絵、デュフィの『三十年、或いは薔薇色の人生』は分かりやすいですね。
この絵は画家生活30周年に描かれました。
いかにも薔薇色!五郎さんの解説によると、この画家はファッション画なんかも描いているそうです。
オシャレな絵ですね。

二つの目作品フォービズムの代表作マティス『ダンス』。
確かに、この絵からは、エネルギー、自由、躍動、うねりといったイメージを連想しますね。
紹介した2作とも強烈な色彩です。色彩は感情と大きく関係しますね。

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デュフィ 『三十年、或いは薔薇色の人生』1931年
"Le Jour ni l’Heure 5451 : Raoul Dufy, 1877-1953, Trente ans ou la vie en rose, 1931, musée d’Art contemporain, de la ville de Paris, vendredi 6 juin 2014, 16:48:24" by Renaud Camus is licensed under CC BY 2.0

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マティス『ダンス』1909-1910年

"Henri Matisse - Dance 1910]" by Gandalf's Gallery is licensed under CC BY-SA 2.0

キュビズム

もう一つの壁が、「キュビズム」。
ピカソアヴィニョンの娘たち』はキュビズムの代表作品。
ピカソの絵をしっかり理解したい、いつもそう思うのです。

フォービズムが、色彩の革命ならば、キュビズムは形の革命でした。
具体的な物を描きながらも、ルネサンス以来の伝統である単一視点の遠近法を完全に脱却、対象を幾何学的な形に分解して、複数の視点から捉え、切子細工のように凸凹に組み合わせて立体的に再構成します。

アヴィニョンの娘たち』は、顔を正面と横顔を組み合わせて書いている。
でたらめのようで、理論的に形を構成している。
対象を多面的に捉えて、本来の形を描こうする理論は分かります。

しかし、理論を再構築するのは平面だから当然ながら直感的な美しさは。。。ないなぁ。
展開図で描くわけにもいかないし(笑)。
そういう理論だと考えて、美しいと思えるまで絵を見るしかないのかなぁ(笑)。

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ピカソアヴィニョンの娘たち』

"la demoiselle du MoMA" by digitizedchaos is licensed under CC BY 2.0

「抽象主義」

しばらく前にアーティゾン美術館に行って、パウル・クレーの絵に魅せられました。
本当に美しい。
「抽象主義」の絵画とは、どういうものでしょうか?
 

具体的な対象を描かず、色と形を自在に構成して抽象的な概念を表現あるいか想像する抽象主義には、大きく分けて二つの流れがあります。

ひとつは、ドイツ表現主義から発展し、画家の思想や感情を、具体物の姿を借りず色と形で直接表現する「熱い抽象」。
抽象といっても具体物を単純化したモチーフや有機的な形が残っているのが特徴です。

(以下省略)

五郎さんは抽象主義の絵の見方として『物を描かないから「何が描いてあるか分からない」のは当たり前、抽象絵画を味わうコツは色とか形そのものを「考えるより感じる」ことです。』と書いています。

画家カンディンスキーもクレーも、ドイツの美学校バウハウス」同門の作家です。確かに2作とも美しい作品です。

クレーの作品は、島の形をイメージする閉じた線と、太陽、海、砂浜を感じさせる色彩で構成されています。
とにかく美しい。
さて、カンディンスキーの絵のいろいろな図形は何だろう。。。
いかん、これでは考えてしまっている。
2作品とも、すばらしく美しいですね(笑)。

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パウル・クレー『島』1932年、アーティゾン美術館収蔵

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カンディンスキー 『自らが輝く』1924年、アーティゾン美術館収蔵

知識ゼロからの西洋絵画史入門

知識ゼロからの西洋絵画史入門

  • 作者:山田五郎
  • 発売日: 2011/07/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

知識ゼロからの西洋絵画入門

知識ゼロからの西洋絵画入門

あとがき

このブログでは、山田五郎さんの『知識ゼロからの西洋美術史入門』を紹介しました。
この本、楽しいです。
膨大な西洋絵画の情報をコンパクトにまとめてあります。
次回は、飲みながら読んでみたいです。
この本を読んで情報を仕込んで、美術館でいろいろ絵を観ていく。
絵を観ることが、ますます楽しみになりそうです。

今日は、フォービズム、キュビズム、抽象主義と、いろいろ勉強になりました。
あいかわらず、キュビズムへの抵抗感は消えなかったなぁ。。。

パウル・クレーの絵の美しさに感動して、しばらく前から、抽象主義の絵の理論を知りたいと考えていました。
相変わらず、絵までを頭で考えようとする理屈っぽい私でした。

今日もこのブログを訪問いただき、ありがとうございました。

今後ともよろしくお願いします。

ShinSha

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