時の化石

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出口治明著『自分の頭で考える日本の論点』 タテ・ヨコ + 数字・ファクトで物事を考えてみよう

どーも、ShinShaです。

今回は出口治明さんの本をご紹介します。この本には、問題を自分の頭で考えるためのすばらしいヒントが書いてあります。この方法は皆さんの仕事にも大きく役立つ情報です。

本書はベストセラー 『還暦からの底力』の作者、出口治明さんの新刊です。日本が抱えている問題に関する知識を学びながら、考える手法についても習得できる優れた本です。

この本に書かれた「①タテ(歴史軸)・ヨコ(世界軸)で考える、②数字・ファクト・ロジックで考える」というヒントは、どんな場面にも応用できますね。僕もどんどん使っていきたいと考えてます。

作者出口治明さんについて

出口さんの経歴をwikipediaで調べました。ライフネット生命保険の創業者で、今は大学の学長なんですね。立命館アジア太平洋大学(APU)は大分県別府市にあるのですが、webを観ているとなかなかユニークですね。

出口 治明(でぐち はるあき、1948年〈昭和23年〉4月18日 - )は、ライフネット生命保険株式会社創業者。現在は立命館アジア太平洋大学(APU)学長。三重県生まれ。

1948年(昭和23年)三重県生まれ。三重県立上野高等学校を経て、京都大学法学部を卒業。

卒業後の1972年(昭和47年)に日本生命保険相互会社に入社[1]。経営企画を担当として企画部や財務企画部に所属し、また生命保険協会で財務企画委員の初代委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事[3]。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、2006年(平成18年)58歳の時に同社を退職[2]。

同年、生命保険準備会社であるライフネット企画株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長。

2017年に取締役を退く。著作も多く『人生を面白くする 本物の教養』はベストセラーとなった。

2018年(平成30年)1月に立命館アジア太平洋大学第四代学長に就任した[8]。同大学初の民間出の学長となる。

引用:wikipedia

 自分の頭で考えるためのヒント

出口さんは自分の頭で問題を自分の頭で考えるためのヒントとして10の項目を揚げています。僕はこの中の①〜③の項目だけでも十分だと考えます。

前回、「還暦からの底力」を読んで、筆者の物の考え方、主張の正しさに驚いてしまったのです。それは、彼がこの方法によって物事を考えて裏付けとなる歴史、世界の動向、そして事実を押さえているからです。彼の主張には反論することが難しいほど、鋭いものが多いです。

以下、考えるための各ヒントについて説明します。

①タテ・ヨコで考える

意見が分かれるような問題を考える際には、タテ=時間軸(歴史軸)、ヨコ=空間軸(世界軸)で立体的に考えるクセをつけることが役に立ちます。この二次元で考えると。物事の実態や本質がより明確に見えてきます。

この例として、戦後の日本の社会をどう評価するかという例題に対し、本書では下記のような回答をしています。

中国は4000年の歴史をもつ国ですが、その歴史を調べてみると平和で豊かだった時代は、わずか4回しかありません。最初は文景の治と呼ばれる時代、次が貞観の治、次が開元の治、最後が清時代の一時期です。この4回の隆世を合計してもわずか200年足らずです。

中国(ヨコ)の、4000年の歴史(タテ)をみると、日本の戦後75年の平和で豊かな時代が、奇跡的な幸運に恵まれてきたことが分かります。

どうですか? ものすごく説得力がありますよね。タテ・ヨコで考える、歴史と世界の2次元の視点で考えることは、じつに力があるメソッドですね。

②数字・ファクト・ロジックで考える 

続いて筆者は次のように書いています。

議論をしていて詰めが甘いと言われるのは、たいていの、「数字(データ、エビデンス)、ファクト(事実)、ロジック(論理、理屈)」という3つの要素のいずれかが欠けている場合だと説明しています。この3つが欠けると説得力がなくなってしまうのです。また、「数字、ファクト、ロジック」を使うと物事のまったく違い一面が見えてくることがある。

例題として、「源平の戦い」について下記のように筆者が導き出した新説が書かれています。

一般的には、平清盛が贅沢三昧にふけり、その間に東国で源氏が臥薪嘗胆(がしんしょうたん)で実力を養い、やがて源義経という天才が出現して、ついには平家を滅したというストーリーになっています。

しかし、(筆者が読んだ)ある気象の本には源平時代、西日本では長く天候不順が続き、農作物が深刻な不作におちいり大規模な飢饉に襲われていたといういう事実が書かれていました。この本には当時の気候不順のデータも記載されていた。このファクトから、西日本地盤とした平家は兵領の確保に大きなダメージを受けていたという新説が導かれます。これらの「ファクト」により。窮乏におちいった平家は戦力ダウンして源氏に滅ぼされるという「ロジック」が導かれるのです。

この説は初めて読みました。これもなかなか興味深い話ですね。

「数字、ファクト、ロジックで考える」というのは理系の考え方です。サイエンスでもエンジニアリングでもこの原則は変わりません。データ、エビデンス、ロジックがないことには、理系の仕事はできないのです。
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③外付けハードディスクを利用する 

これはご想像どおり、物事を考える時にはインターネット検索、図書館など外部の情報を有効に使うということです。①、②の元となる情報を得るために、自分が信頼できる情報源をもつことは大事ですね。

最近はgoogleさんのおかげで世界中の論文、特許、本の概要情報はインターネットであっという間に検索できますからね。あとは図書館を使えば、かなりの外付けハードディスクを持つことになります。良い時代になりましたね。

その他のヒント

このほか、本書では下記の6つのヒントに関する説明が書かれています。すべてを使えば完璧になりますね。

④問題を分類する「自分の箱」をいくつかもつ

⑤武器を持った「考える葦」になる

⑥自分の半径1メール圏内での行動で世界は変えられると知る

⑦「人はみんな違って当たり前」だと考える

⑧人の真贋は言行一致か否かで見極める

⑨好き嫌いや全肯定・全否定で評価しない

⑩常識は徹底的に疑う

他の部分は説明を省略しますが、⑥には非常に興味深い、複雑系カオス理論「バタフライ効果」について書いてありました。

《butterfly effect》

ある系の変化が初期条件に極めて鋭敏に依存する場合に見られる、予測不可能な挙動のたとえ。もとは、米国の気象学者ローレンツが1972年に行った「ブラジルでの蝶のはばたきがテキサスに竜巻を引き起こすか」という講演の演題に由来する。

引用:コトバンク https://kotobank.jp/word/バタフライ効果-358907

バタフライ効果」について、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンペリさんの例が揚げてあります。彼女は8歳の時に気候変動についてショックを受け、15歳で「気候のための学校ストライキ」をたった一人で始めた。

その運動の輪が広がり、ついには1000万人の若者がこの運動に参加した。今や彼女は世界的な環境活動家となり知らない人はいないですね。自分の小さな行動は決して無力ではない。世界を変える力を秘めている。この部分を読んでいると何だか感動しますね。

⑦〜⑧は教育者としての筆者の考えが反映されていると思います。「⑩常識は徹底的に疑う」は、出口さんらしい考え方ですね。それは前の著作『還暦からの底力』にも強く表れています。彼の日本経済凋落の原因に対する分析はすばらしかったです。

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"I Think Therefore I Am Dangerous

"I Think Therefore I Am Dangerous" by JohnE777 is licensed under CC BY 2.0


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日本の移民問題について考えてみる

本書では、日本の論点の一つとして、「日本は移民・難民をもっと受け入れるべきか」をテーマとした章があります。ここでは、前に書いた方法を使って見事な主張が書かれています。

①タテ・ヨコ

歴史を調べると、日本人は単一民族ではないことが分かります。このブログでも、Y染色体の移動に関する記事を過去に書きました。Y染色体の分析結果は、日本人がぜんぜん単一民族などではないことを明らかにしました。

むしろ、日本人は、旧石器人、縄文人、アジア大陸人の4種のDNAが混じり合ったことが特徴なのです。日本民族とか、大和魂とか、誤解した民族的主張は第2次世界大戦時の軍部が作った妄想ですね。

次に、世界軸では、ユダヤ人を追放し純血主義を取ったスペインの衰退についての例が揚げてあります。ナチスドイツも同様の例ですね。

②算数・ファクト・ロジック

現状では、日本の在留外国人数は293万人となっています。日本はすでに世界4位の移民受け入れ国となっているファクトと数字が書かれています。

また、過去25年間在留外国人数は増え続けていますが、犯罪数は2006年から継続して減少しています。在留外国人の数が増えても犯罪は増加していない、治安が悪化していないのです。

見事な論理ですね。これらを組み合わせると「日本は移民・難民をもっと受け入れるべき」という結論となります。出口さんが引用したファクトは、明らかに反論をつぶしにいってますね(笑)。

この意見に僕は賛成です。少子化、老齢化、人口減少、経済の凋落、山積する課題に対応するためにも、日本は移民を積極的に受け入れるべきだ思います。というか、既に日本は世界4位の移民受け入れ国になっているのですよ。無策のままで。移民が安心して働くことができる国とするために、法整備を急いで行う必要があります

ラグビーワールカップ代表のように、いろんな国の人の力で、これから新しい日本をつくるべきだと思います。日本チームのために、ひたすら身体を張っていたトンプソン・ルークには胸が熱くなりました。彼は間違えなく日本人だ。
そして彼らがもたらすダイバーシティ(多様性)は、必ず日本の復活に役立つはずです。

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ラグビーワールカップ2019 日本 vs ロシア
By 江戸村のとくぞう - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=83124905

あとがき

今日は、出口治明さんの新刊についてご紹介しました。さすが、ライフネット生命の創業者、大学の学長さんの本ですね。役立つことがたくさん書かれています。

この本を読んで、なぜ筆者の本の論旨が明解で鋭いのかよく理解できました。このメソッドを使えば、皆さんの仕事にも大きく役立つはずです。

今回の記事は、本年最初の本のご紹介でした。読書はやはり楽しいです。ネットでは得られない深い情報を得ることができますね。

今日もこのブログを訪問いただき、ありがとうございました。

今後ともよろしくお願いします。

ShinSha

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