どーも、ShinShaです。
この本は「なぜ太るのか」「コラーゲンの正体」「そばVSうどん」など、誰しも興味があるテーマについて、分子生物学者の筆者が書いた楽しくタメになるエッセイ集です。
今回は本書の中から、科学的根拠がないのにコラーゲン食品が効いてしまうプラセボ効果、女性の使い走りの間に物を隠すようになった男の物語についてご紹介いたします。
健康食品の真実と、生物学的にできそこないの哀れな男たちの物語。
やっぱり、福岡先生の本は面白すぎる。
著者 福岡伸一さんのプロフィール
これまで、本ブログでは福岡伸一さんの著作『動的平衡』、『生物と無生物の間』、『できそこないの男たち』をご紹介してきました。やはり理系の私には、福岡先生の本は抜群に面白いです。
これまで、彼の本からウィルスに関する情報、PCRの原理、DNA発見のドラマチックな物語等について勉強できたことは非常に有意義でした。
福岡伸一(ふくおか・しんいち)/生物学者。青山学院大学教授、米国ロックフェラー大学客員教授。1959年東京都生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部研究員、京都大学助教授を経て現職。著書『生物と無生物のあいだ』はサントリー学芸賞を受賞。『動的平衡』『ナチュラリスト―生命を愛でる人―』『フェルメール 隠された次元』、訳書『ドリトル先生航海記』ほか。
引用:https://dot.asahi.com/columnist/profile/?author_id=hukuoka_s
『ルリボシカミキリの青』を読む
この本は筆者があこがれたカミキリムシの青い色がタイトルになっています。ビロードのような輝きをたたえた深い青。すばらしいタイトルですね。
本書は、ダイエット、昆虫、エコカー、花粉症など様々な話題が取り上げられているエッセイ集です。しかし、一方では「DNAの構造」「ウィルスと人間の関係」「狂牛病」など、重量級のテーマについても書いてあります。
福岡先生は本当に文章がうまいですね。難しい問題もやさしく、誰にも興味が持てるように書いてあります。本書は、生命科学のやさしい入門書としてもオススメです。
『生物と無生物の間』、『動的平衡』を読まれる前に、副読本として本書を読んでみると良いかもしれません。この本オススメです。
今回の記事では本書のエッセイ「空目」、「コラーゲンの正体」の内容の一部をご紹介ます。
- 作者:福岡 伸一
- 発売日: 2012/09/04
- メディア: 文庫
続「コラーゲン食品問題」 プラセボ効果という厄介なもの
化粧品や健康食品のコラーゲン。この本には、コラーゲンは皮膚から吸収できないし、食べてもアミノ酸レベルまで分解されるか、排泄されてしまうから、科学的に見ればまったく効果などないのです。
以前のブログ記事を読まれた女性読者から、ショックだというご意見を多数いただきました。
これはコラーゲンだけではなくて、グルコサミンとかコンドロイチンとかも一緒。ビタミンサプリも同じです。健康食品といういうのは、ひどいものですね。皆さんダマされないようにしましょうね。
ここまでは、前のブログに書きましたね。読者の皆様、今回の問題はこの先です。
本書にはこの続きが書いてありました。これはちょっと驚きでした。
コラーゲンたっぷり効果なふかひれを食べた翌朝、お肌がぷりぷりとなったと感じる人は幸いである。薬効成分を全く含まないが薬剤と同じ形状をした偽薬(プラセポ)を投与されても、それが偽薬だと知らされない限り薬効が現れてしまうおめでたい人々というのがどんな実験を行っても必ず少なくない数、現れる。多いときには三割、四割も。これをプラセボ効果という。
それほどまでに人間の身体は信じやすい。福岡先生が書いているんだから科学的な裏付けがあるんでしょうね。こういう人は三・四割もいるんだ。信じられないです。
さらに驚いたのが次の部分です。
プラセポ効果も立派な効果である。売る人買う人にそれぞれ納得がもたらされるのであれば何の問題はない。
有名メーカが、いい値段をつけて効果ありますよといって売れば、中味が何でも効いてしまう可能性があるという訳ですね。健康食品って一体何なの?
続けて筆者は書いています。
おしなべて機能性食品と呼ばれるもののほとんどは、「気のせい食品」であると私は思う。
文春さん、もしスポンサー筋にご迷惑がかかったら、ごめんなさい。
でもこれは本当のことなのです。
機能性食品までが。。。さすが文春、肝が座っていますね。 しかし、これは作る企業の倫理の問題でしょう。科学的根拠がない製品の規制はできないのか? と考えてみても。。。
どう考えても、あの厚生労働省にできるわけがない。コロナの対応で、あの役所の体質がよく分かりました。自分たちの利権になるものを手放す訳がない。
僕らにできる抵抗はダマされないこと、買わないことしかないのでしょうかね。。。
機能性表示食品
「機能性表示食品」とは、「健康に効果がある」と企業の責任で表示できる食品です。これまで機能性を表示できる保健機能食品は「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」に限られていましたが、2015年4月に機能性表示食品制度がスタートしました。この制度を利用した飲料やサプリメントなどが発売されています。
引用:日本医師会 https://www.med.or.jp/forest/keyword/kinousei/index.html
"BLOOM Brightening Collection 3 No Cream with Collagen Beauty_top" by Young Living Hong Kong is marked with CC PDM 1.0
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なぜ男は集め、隠すのか
切手、ミニカー、ベースボールカード、コインなど、子供の頃にずいぶん集めましたね。物を集める、蒐集(しゅうしゅう)するのは、男の方が多いのだそうです。
これについて筆者は生物学者の立場から、仮説を書いています。
生物の基本仕様は女性であり、生物は女系で紡がれていた。
最初、男の役目は確かに運ぶだけで良かった。やがて別の役割が付加されるようになった。
せっかく行くのなら帰り道に何か取ってきなさい。
食糧とか薪とか、あるいは綺麗な花とか石とかを。命ぜられるまま男は集めはじめた。
ついでにそれを密かに隠すことを覚えた。
何も収穫がない時に怒られるのが怖いから。
これも以前のブログにも書きましたが、生物学的に男はできそこないです。オスはいい加減な遺伝子から出来ていて、病気にもかかりやすいし寿命も短い。
そして「女性に怒られるのが怖くて、男は集め、物を隠すことを覚えた」というのが筆者の説です。うーん、どこまでいってもミジメで言葉が出ない(笑)。
ここは、開き直ろう。
ということで、女性の皆さん、男が集める、隠すというのは仕方ないのです。生物学的にみると必然的にそうなってしまうのですよ。パートナーが鞄の中やPCに何か隠していても多めに見てあげてくださいね。
しかし、女性にぜんぜん敵わない男は、やがて貯め込んだ余ったものを交換することを覚えた。これが経済です。
男は復権をかけて経済を動かし始めたのです。頑張ろう、男性諸君。
"Romanian Stamps Postcard" by KLMircea is licensed under CC BY-SA 2.0
- 作者:福岡 伸一
- 発売日: 2012/09/04
- メディア: 文庫
あとがき
福岡先生の本の記事を書くのは、これで4冊目です。今回もじつに面白くて勉強になりましたね。
「プラセポ効果も立派な効果である。」という一文には驚きでした。
薬学というのは、人の健康に関わる学問だから一般のサイエンスや工学とは違うんでしょうね。どう考えても、漢方薬なんかにも怪しげなものがいっぱいありそうです。
ちゃんとした医者は、風邪にはPLぐらいしか効く薬がないだよと話しながら別の薬を処方しますね(笑)。僕ら自身が、不必要な薬や健康食品などを求めていないか、じっくり考える必要があると考えました。
ああ、また理屈っぽくなってしまった。
今日もこのブログを訪問いただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。
ShinSha
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