どーも、ShinShaです。
今回の記事は、最近のベストセラー の書評です。
「アート思考」、最近、よくこの言葉をよく聞きますね。
ほかにも本が何冊も出ていて、マイクロソフトなど大手企業も社内研修に取り入れています。
さっそく本書を読んでみました。
アートを使った柔らかい思考法のトレーニング。
とてもすばらしいです。
しかし、近代アートの価値を学ぶというのは、自分の中の固定概念との戦いですね。
ああ、13歳の頃、この本に出会いたかった。
著者のご紹介
著者は中学校・高等学校の先生でもあるんですね。
僕らの頃の昔の美術の授業って、つまらなかったなぁ。
ぜんぜん、記憶に残っていません。
田舎の公立学校にいたからかもしれませんが、こんなに素晴らしい先生と出会えていたら、人生が変わっていたかもしれません。
中学から、美術を素材にして、柔らかな発想を学べたらすばらしい。
僕は、大学生になってから独学でアートを学び始めたましたが、実際に仕事にも役立っています。
また、アートを学ぶことで、人生が豊かになったと考えてます。
末永幸歩
美術教師/東京学芸大学個人研究員/アーティスト 東京都出身。武蔵野美術大学造形学部卒業、東京学芸大学大学院教育学研究科(美術教育)修了。
東京学芸大学個人研究員として美術教育の研究に励む一方、中学・高校の美術教師として教壇に立つ。現在は、東京学芸大学附属国際中等教育学校で教鞭をとっている。
「絵を描く」「ものをつくる」「美術史の知識を得る」といった知識・技術偏重型の美術教育に問題意識を持ち、アートを通して「ものの見方を広げる」ことに力点を置いたユニークな授業を展開。生徒たちからは「美術がこんなに楽しかったなんて!」「物事を考えるための基本がわかる授業」と大きな反響を得ている。
著書に『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』がある。
引用:ダイヤモンド オンライン
『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』を読む
なぜアート思考が求められるのか
最近の世の中の状況を評して「VUCA」というのだそうです。
変化がはげしく不確実で、複雑であいまい、先が見通せない世界。
こういう世界では、ビジネスの教科書は存在しません。
これをやれば、必ず成功するというモデルはどこにもない.。
VUCA とは 「 Volatility = 変動 」 「 Uncertainty = 不確実 」 「 Complexity = 複雑 」 「 Ambiguity = 曖昧 」 の4つの語の頭文字を取った造語で 、あらゆる変化の幅も速さも方向もバラバラで 、世界の見通しがきかなくなったということを意味しています 。
正解がない世界で、自分だけの答えを見つけていく。
新しいアプローチを発見していく。
これを身につける上で、「アートほど役立つものはない」ということなんですね。
なぜならば、写真が発明されて、大きな価値を失った後に作られたのが、近代のアートだからです。
また、誰もがやわらかい考え方を身につけるトレーニングをするためには、アートがうってつけということですね。
もちろん、大人も事情は変わりません 。
もはや「 これ さえ やっておけば 大丈夫 ! 」「 これこそが正解だ! 」といえるような「 正解 」は、ほとんど期待し得ないからです。
そんな時代を生きることになる私たちは、「『 太陽 』を見つける能力」だけでは 、もう生きていけません。
むしろ、人生のさまざまな局面で「 自分なりの『 雲 』をつくる力 」が問われてくるはずです 。これを身につけるうえで 「美術」という教科ほどうってつけのものはありません 。
アート思考とは
筆者はアーティストが目に見える作品を生み出す過程で、つぎの3つのことをしていると説明しています。
- 「自分だけのものの見方」で世界を見つめ
- 「自分なりの答え」を生み出し
- それによって「新たな問い」を生み出す
こうした思考のプロセスが「アート思考」であると説明しています。
正解はないから、作られた作品は「新たな問い」となるのでしょうか。
また、筆者はアートを植物にたとえて、「アートという植物」は、「探究の根」「興味のタネ(興味・好奇心・疑問)』「表現の花」からできていると説明しています。
大事なのは、「表現の花」よりむしろ、アートの本質は作品が生み出されるまでの「探究の根」「興味のタネ」が重要だと書いてあります。
表に出た目に見える花よりも、根っこの方が大事だと。
この図を見て思うのですが、これはサイエンスでも、文学でも、音楽でも、料理でも、創造的な分野で共通した構造です。
だからこそ、アート思考が役立つということなんですね。
アート思考のトレーニング
本書では20世記以降のアート作品を例題にあげて、6つのクラスの中でアートの考え方を学ぶトレーニングを行います。
取り上げられているのは、主にフォービズム以降の絵、陶器、現代アートなど
作家としてはマティス、ピカソ、カンディンスキー、ポロック、ウォホール、千利休など。
いずれも既存の価値を、ぶっ壊したアーティストたちの作品が、取り上げられています。
これは、なかなかチャレンジングな課題ですね。
クラス1は、下のマティスの夫人の自画像が、なぜ美しいかというところから始まります。
「ぜんぜん、美しくない」
「男みたい」
「こんなふうに描かれて奥さんが気の毒だ」
皆さんの考えていることは、ごもっともです。
この作品が発表されたパリの芸術界でも、似たようなことが言われたのです。
その上で、なぜこの絵が美しいかを考えるのが最初の授業です。
なかなかハードです(笑)。
でも、とても価値がある授業だと思いませんか?
この後に来るのが、ピカソの『アヴィニョンの娘たち』、キュビズムの絵。
筆者は、かなり読者に迫っていると感じるのです(汗)。
既存の概念を壊して、新しい価値を作ってきたのが近代アート。
それを生み出したのが「アート思考」ということなんですね。
本書の感想
冒頭に書きましたが、本書はアート思考を学ぶための最良のテキストです。
この本はベストセラー になるべき、良書だと思います。
僕は、13歳になる前にこの本を読みたかったです。
プラス半世紀ですからね・・・・
現時点ではクラス3まで読みましたが、これから苦手な現代アートの授業に入っていきます(汗)。
少し前の、当ブログで「印象主義」の記事を書きました。
印象主義の画家たちが直面したのは、写真発明後、いかに美しい絵を書くかという大問題でした。
モネもルノワールも、ゴッホもゴーギャンも、大きな問題に向かって、自分の作品を創造していきました。
この本、せめてポスト印象主義(ゴッホの時代)ぐらいから、始めてくれれば理解しやすかったと思います。
フォービズムもキュビズムも本ブログで紹介してきました。
頭で芸術の価値が理解できても、美しさを感じることは難しいのです。
それは年齢のせいなのだろうか?
きびしい戦い(笑)ですが全部読み終えてから、もう一回記事を書きたいと思います。
果たして、どうなってしまうのか(笑)
こうご期待です。
"admiring modern art" by BPPrice is licensed under CC BY 2.0
あとがき
本書『13歳からのアート思考』は。やわらかい発想を学ぶための優れたアートの教科書です。
すばらしいです。
しかし、なかなか手ごわい。
これから苦手な現代アートについて、本書で勉強していきたいと思います。
還暦過ぎの頭がどこまで柔らかくなるのか。
本当の「アート思考」を身につけることができるのか、とても楽しみです。
今日もこのブログを読んでいただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。
ShinSha
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