どーも、ShinShaです。
今回の大人の科学は「記憶」に関する記事です。
人間の記憶は脳神経細胞のネットワークで作られます。
そのイメージは星座のように美しい...
科学的には、頭が良くなるクスリも食品もありません。
ひたすらコツコツ網目を張っていくしかない。
ところで、加齢とともに無くなった、僕の網はどこに行ったのだ💦
アンガー博士の研究した記憶物質
人間の記憶はどのようにして、脳内に蓄積あれているのでしょうか?
コンピューが磁気デイスクの中に、メモリーを残すように、体内のどこかに記憶は蓄えられているのでしょうか?
福岡伸一著『新版 動的平衡』 に、記憶物質を研究した学者について書かれていました。
その実験はテキサス州ヒューストンのベイラー大学のG・アンガー博士によって行われた。
実験用のネズミに、明るい部屋と暗い部屋のどちらかを選ばせる。
ネズミは暗い場所を好む性質を持っているので、通常、暗いほうの部屋に入る。
するとドアが閉まって、床に埋め込まれた電線を通じで五秒間電気ショックがやってくる。
数日間練習を積むとネズミはこの仕掛けを完全に学習し、暗い部屋には入らなくなる。
これを見たアンガー博士はネズミの脳内に「暗所忌避」記憶が蓄積されたと考えた。
引用:福岡伸一『新版 動的平衡』
ネズミは、数日でこういう学習ができるのですね。
脳の中に「暗所忌避」する記憶が蓄積される。
問題は、記憶がどういう原理で蓄積されているかですね。
ここからが重要な実験となります。
学習を施されたネズミの脳から抽出液が取り出された。
これを別のネズミの脳に注射する。
ネズミは先と同じ実験装置に入れられ、テストを受ける。
もちろん、このネズミは電気ショックの仕組みを知らない。アンガー博士の実験におれば、そのネズミたちは、暗い部屋に入るのをことさら避けるようになったというのである。
つまり、ある個体から別の個体に記憶物質を移植することに成功したのだと!
引用:福岡伸一『新版 動的平衡』
素晴らしい大発見だ。
この実験はセンセーションを巻き起こし、暗所忌避を行う物質は博士によって「スコトフォビン」と名付けられました。
博士は「スコトフォビン」の正体はペプチド とよばれる物質の一種だと考えていました。
ペプチドは2~50個程度のアミノ酸結合してできた物質です。
スタンフォード大学でアンガー博士の実験の再現が行われました。
ところが、スタンフォード大学では、再現性を確認することはできなかったのです。
記憶の物質的基盤を明らかにすることができないまま、アンガー博士は71歳で他界しました。
"digital-drugs-binaural-beats" by digitalbob8 is licensed under CC BY 2.0
スポンサーリンク
記憶はどうやって作られるか
前回の大人の科学では動的平衡について勉強しました。
人間の体は脳細胞も含めて、数ヶ月ですべて入れ替わって新しくなっているのです。
こういう生物のシステムの中では、記憶物質など存在することはできませんね。
それでは、記憶とは何なんでしょうか?
それはおそらく細胞の外にある。
正確に言えば、細胞と細胞のあいだに、神経の細胞(ニューロン)はシナプスという連携とを作って互いに結合している。
結合して神経回路を作っている。
神経回路は、経験、条件づけ、学習、その他さまざまな刺激と応答の結果として形成される。
回路のどこかに刺激が入ってくると、その回路に電気的、化学的な信号が伝わる。
信号が繰り返し、回路を流れると、回路はその都度強化される。
神経回路は、いわばクリスマスツリーに飾り付けたイルミネーションのようなものだ。
電気が通ると順番に明かりがともり、それはある星座を形作る。
引用:福岡伸一『新版 動的平衡』
"Neuron" by National Institutes of Health (NIH) is licensed under CC BY-NC 2.0
これが脳の神経細胞ニューロンのネットワークで作られた記憶のイメージです。
福岡先生が書かれているように、まるで美しい正座だ。
感動しますね。
そこにあるのは、コンピュターディスクの16進データとはぜんぜん違う。
複雑なニューロンネットワークによる生体システムによる記憶の形。
美しいですね。
ずっと忘れていたにもかかわらず、回路の価値はかつて作られた時と同じ星座となってほの暗い脳内に青白い光をほんの一瞬発する。
たとえ、個々の神経細胞の中身のタンパク質分子が、合成と分解を受けてすっかり入れ替わったても、細胞と細胞がとが形作る回路の形は保持される。
引用:同上
体中の物質が入れ替わっても、生命のシステムは変わらず維持される。
あらためて、生物の仕組みとは奇跡ですね。
頭の良くなるクスリ
脳内の神経細胞ニューロンとニューロンの間には隙間が空いています。
脳内では、ニューロン同士が、脳内化学物質を使って電気的な信号を交換するしくみとなっています。
ShivanshDave, CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, via Wikimedia Commons
前項でご紹介した、アンガー博士の研究は無駄ではありませでした。
彼の研究がヒントになって、脳内の情報伝達物質が発見されました。
アンガー博士が研究したペプチドは、脳内情報伝達物質だったのです。
この発見は、後にノーベル賞を受賞する研究になりました。
脳内の情報伝達物質を下にリストアップします。
大きく分類すると以下が3種あります。
・アミノ酸(グルタミン酸、γ-アミノ酪酸、アスパラギン酸、グリシンなど)
・ペプチド類(バソプレシン、ソマトスタチン、ニューロテンシンなど)
・モノアミン類(ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニン)とアセチルコリン
引用:wikipedia
福岡先生も書いておられましたが、子供の頃、味の素を食べると頭が良くなるという話がありました。
味の素には脳内情報伝達物質であるグルタミン酸ナトリウムが含まれているからです。
脳内の情報伝達物質をたくさん食べれば、頭が良くなるという単純な話はありません!
グルタミン酸はいろんな食品に含まれており、人間の体内でも合成されます。
また、食べたグルタミン酸が、直接、脳に入っていくことはありません。
頭を良くなるためには、思考や記憶のトレーニングを重ねて、ニューロンのネットワークを繋がりやすくするしかないのです。
体内に摂取された食品は、アミノ酸、糖類のレベルまで分解されて、再び再合成され、配分されます。
残念ながら、頭の良くなる薬はありませんし、健康食品、美容食品には効果がある製品はありません。
グルコサミン、セサミンを食べても、コラーゲンを食べても、膝も良くならないし、お肌もツルツルにはなりません。
健康食品、美容食品、化粧品、サプリメントにだまされてはいけません。
"Nutritional supplements" by Clean Wal-Mart is licensed under CC BY 2.0
参考図書
今回の記事は福岡伸一先生の下記の書籍を参考にして書きました。
分子生命学者が書く生命の本質。
素晴らしい本です。
ウィルス、PCR、病原体、ダイエットに関する内容も書かれていますよ。
オススメです!
あとがき
7月上旬に20年ぶりに受験して、大変苦労しました。
だから、今回は、記憶について調べようと思って記事を書きました。
調べてみると、加齢によりニューロンの減少、形の変化が生じるようです💦
うむ、記憶力の低下はそれが原因だったか...💦
日頃のトレーニング不足だけではないんだな。
やはり、受験はもう止めよう。
そうそう、1回目のコロナワクチンを接種した翌日、半日寝込みました。
当日は、仕事目一杯して、ブログ書いて夜中まで起きてました💦
良い子は、静養しましょうね。
今日も最後までブログを読んでいただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。
ShinSha
ブログ村、ライフスタイル部門にエントリーしました。
お手数ですが、下のバナーをプチッとクリックして頂くと大変嬉しいです 🙇♂️