時の化石

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伊集院静『ひとりを楽しむ 大人の流儀10』(2) 本書にはこんなに面白いエピソードも

どーも、ShinShaです。
今回は伊集院静『ひとりを楽しむ 大人の流儀10』から、素晴らしいエピソードをご紹介。

伊集院先生の政治家を見破る眼力に感服。
「リモコン」「ゴキブリの恩返し」には、久しぶりに声を立てて笑ったなぁ。
大事な人が生還してくれて本当によかったです(涙)

伊集院静さんについて

略歴

伊集院さんはCMディレクター、作詞家を経て作家に。
亡くなられた女優 夏目雅子さんと結婚、また、その後、女優篠ひろ子さんと再婚。

この人は日本で一番仕事量の多い作家と自称してますが、遊び方も半端ではない。
最後の無頼派とも呼ばれる、凄まじいまでの人生を生きている人なんですね。

今回ご紹介する本は、2020年3月くも膜下出血から再起後の作品です。

【 略歴 】
1950年生まれ。 山口県立防府高等学校を経て、立教大学文学部日本文学科を卒業。

広告代理店電通勤務を経てCMディレクターになる。
1980年の松原みきからコンサートツアーの演出を始め、以後松任谷由実松田聖子薬師丸ひろ子和田アキ子らのツアーのほかファッションショーも手がける。

1981年、『小説現代』に『皐月』を発表し作家デビュー。
1984年8月27日に、かつてカネボウ化粧品の「クッキーフェイス」のCMキャンペーンガールで一緒に仕事をした女優の夏目雅子と再婚したが、夏目は1985年に先立って死去。

伊達歩(だて あゆみ)の名で作詞家としても活躍。
近藤真彦に提供した『愚か者』で、1987年に第29回日本レコード大賞を受賞した。
その他『ギンギラギンにさりげなく』などのヒット曲がある。

1992年7月15日、『受け月』で直木賞を受賞する。
同年8月7日に現在の妻で女優の篠ひろ子と再々婚した。
1993年、『乳房』『クレープ』が映画化、1997年、『機関車先生』がアニメ映画化し声優として参加している。

2020年1月21日、くも膜下出血で倒れて病院に救急搬送され、翌22日に手術を受ける。
2月に退院し、3月12日にコメントを発表。
同月下旬、リハビリ病院を退院。 引用:wikipedia (かなり省略しました)

経歴読んでいて驚きました。
先日記事に書いた、シティポップの世界的ヒット松原みきの演出も彼がしていたんですね。

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『ひとりを楽しむ 大人の流儀10』

このエッセイを読んでいると、様々な人が話題に登ります。

亡くなったジャニー喜多川さん、筒美恭平さん。
北野武さん、井上陽水さん、山下達郎さん、数々の作家...
幅広い人脈をもっておられます。

エッセイのテーマも実に幅広い内容に広がり、読んでいて楽しいです。
今回の記事では本書の中から、面白かった部分を切り取ってご紹介します。

リモコン

このエッピソードは、地下鉄の中で読みました。
笑いをおさえるのに、本当に苦労しました。

ホテルの部屋の冷蔵庫の、冷凍スペースに、食べかけて仕舞っておいたアイスクリームの隣に、きちんと置いてある、黒くて細長いものを、先刻からじっと見ている。

それはチョコレートアイスバーではない。
どう見ても、いくら眺めても、テレビのリモコンである。

この午前中、テレビのゴルフ中継が見たくて、一時間あまり探し続けたテレビのリモコンである。
(略)
このキチンと置いてあるふうにみえるところがおかしい。危ないナ。

本当に爆笑。
僕も、よく物を探していますが、まだ、リモコンを冷蔵庫に入れたことはない。
先日はずっと探していたコインケースと1ヶ月ぶりにバッタリ出会いましたが💦
しかし、伊集院先生リモコンがお好きですね(笑)

今春まだ寒かった頃、夕暮れ、三崎町の鮨屋で連載の担当者と食事をしていて、何とはなしに携帯電話の鳴る音がした。

担当者は彼のポケットを探り、先生の電話じゃありませんか、と訊いた。
そうなのか、と私はポケットから電話機を取り出し、鮨屋のカウンターに置こうとしたが、どこか感触が違った。

見ると、部屋の暖房のリモコンだった。
「かわった機種ですね。ガラケーですよね。」
「いや、暖房だろう」

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"remote controls of varying sizes 2" by fsse8info is licensed under CC BY-SA 2.0

政治家

伊集院さんは、大病後もぜんぜん衰えていませんね。
眼力は、ますます鋭くなっています。

本書では東西の政治家をバッサリ。
彼から見ると、人間力の劣る政治家なんて俗物に見えるのでしょう。

菅総理が自分ことを”ガースー”と口にしたという。
家人が頭に来たと電話をくれた。
「そんなことを、あの秋田の野球少年は口にせんだろう....」
ところが本当だった。

その画面を見た瞬間、
ーえっ、本当にこの男が梶山静六の弟子だったのか?(死を覚悟で国会に出続けた男の弟子だったのか?)と疑った。
もしかして相当レベルの低い男ではないのか?

(略)

おかしなもので、いったん、死を覚悟すると、行動の理よりも、情が先に行くことがわかるが、それは今の総理には理解できまい。

テレビで少し見ただけで、ガースーの本質を見抜いています。
あれほど言葉の軽い総理大臣を見たことがありません。

話題は次に大阪へ移ります。
続いて伊集院さんの眼力はますます冴えわたる。

大阪都構想が廃案になった。
この法案、これから先の地方の大切なモデルとなる点がたくさんある。

だが不成立。大阪の人は否決した。
ーなぜか?
それは橋下徹の顔なのではないか?
合わせて松井一郎の顔の雰囲気もあろう。

信用がでできない顔を二人ともしているのである。
さらに言えば、橋下一人の時はどうにかできたが、松井が加わった時点でウサン臭くなったのである。

僕が普段から思っていること書いてもらってスッキリした。
コロナ対策を巡っても、本当あの連中はウサン臭かった。
橋下の検査制限論に、イソジン、雨ガッパ(笑)

いかん、これ以上大阪について本音を書くと、またtwitterで攻撃される💦
このへんで、撤収だ💦

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生還

くも膜下出血という大病からの生還について、伊集院さんはラジオ番組「大竹まことのゴールデンラジオ」でこう話していました。

ある日、家人とお手伝いがバタバタと騒いでいる音がした。
しばらくすると、ゴキブリが飛んできて、机の上の原稿用紙の横に止まった。

ふと、ゴキブリと目があった。
「ダンナ助けてくだせぇ」
伊集院さんは、原稿用紙を被せてゴキブリを隠した。

すぐに家人がやってきた。
「あなた、こちらにゴキブリがきませんでしたか?」
見てないと返事をした。

すこし経って、原稿用紙を持ち上げてみる。
ゴキブリは、肩で息をしていた(笑)

あの時のゴギブリが、私を助けてくれたと思っている💦

さすが大作家。
「クモの糸」か(笑)

冗談はさておき、本書にはこんな文章が書かれていました。

私が生還し、百五十日振りに原稿が書けるほど元気になったのは、担当医師、看護師たちの昼夜おかぬ懸命な奮闘もあるが、何よりの貢献者は、実は家人(妻)である。

あの物静かでおとなしい、人前に出るのが苦手な仙台のお嬢さんが病室のドアの前に仁王立ちし、鬼神のごとく指示を出し、手術の判断を医師と堂々とやり合ったというのである。

廊下の隅で涙ぐむ編集者、嘆きの声を上げる親族・・・
家人はその中で一人気丈に、”必ず生きて仙台に帰し、もう一度仕事をして貰います”と決心していた。

女性はこういう時に本当に強いですね。
あの奥様が。。。
きっと必ず生還するという信念があったんでしょう。

"The One Survived"
"The One Survived" by kov-A-c is licensed under CC BY 2.0

本書の最後は、こう締めくくってあります。

山口の田舎に内緒にしていた私の病気のことが、新聞記事で百歳を迎える母の知るところとなった。

(略)

「クモが巣を作ってあなたを待ち受けていたんですかね」
「お母さん、そのクモとは少し違うんだ」
「でもよく手や足に絡みついたものをほどいて帰って来られました。防府(生家のある街)の人も何人もお宮参りをしてくださったそうよ」

「それはいずれお礼を言いましょう」
「いや、あなたには仕事があるもの。私がもう言って回りました」
「それはまずもってありがとうございます」

万作の花名の由来は、真っ先に、先ず咲くである。
あらためて皆さんにまずお礼を申し上げる。

奥様とお母さんのエピソードには胸が熱くなりました。
生還されて本当によかった。
伊集院さんには、体を大切にして今後も作品を書き続けて頂きたいです。

前回記事

前回の記事のリンクを下に貼りました。
ぜひ読んで頂きたいです。

www.fossiloftime.com

商品リンク

あとがき

このエッセイを読んでから、伊集院さんの本を何作か買い求めました。
彼の書く小説、エッセイは、本当に魅力的ですね。
なかなか読む時間が取れないですが、少しずつご紹介していこうと思います。

このブログには、時々文化放送ラジオ「大竹まことのゴールデンラジオ」が登場します。

www.joqr.co.jp

毎日、podcastで聴いています。
僕の大事な情報源です。
先日、伊集院先生が出演して元気な声で話されていました。

本日、地元で1回目のファイザーワクチン接種完了しました。
午後からは、痛くて腕が上がりません。
うむ、思ったより、まだ若いのかも(笑)

今日も最後までブログを読んでいただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。

ShinSha

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