どーも、ShinShaです。
今回の大人の科学は狂牛病(BSE)に関する記事です。
約20年前に日本の食の安全を揺るがした大きな出来事でした。
当時、吉野家は4年間にわたり牛丼の提供を中止。
偽装事件がきっかけで雪印食品は廃業。
日本中が大変な騒ぎでした。
今ではBSE問題は沈静化し、安全が保たれているように見えます。
しかし狂牛病(BSE)の病原体は今でも謎に包まれている。
原因が分からない感染症は恐ろしいです。
この問題が科学的に解明されるまでは脅威は消えないのです。
狂牛病(BSE)とは
狂牛病は牛の脳がスポンジ状に変質する感染症です。
これを食べた動物、人間にも感染します。
この感染症は、元々は羊の風土病スクレイピー病が、牛に感染したものです。
英国で1985年に数万頭の牛の感染が発見されました。
牛海綿状脳症(うしかいめんじょうのうしょう、英語: Bovine Spongiform Encephalopathy, 略語: BSE)は、牛の脳の中に空洞ができ、スポンジ(海綿)状になる感染症である。
一般的には狂牛病(きょうぎゅうびょう, Mad Cow Disease)として知られ、1986年にイギリスで初めて発見された。
羊のスクレイピーや、鹿の慢性消耗病 (CWD)、他、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病 (Creutzfeldt-Jakob disease, CJD) などを総称して伝達性(伝染性)海綿状脳症(Transmissible Spongiform Encephalopathy, TSE)と表記される場合もある。
引用:wikipedia
"Cows" by theglobalpanorama is licensed under CC BY-SA 2.0
BSEが人に感染した病気は変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 と言われます。
脳がスポンジ状になるとは、恐ろしい病気です💦
最初、BSEはヒトには経口感染しないとされていました。
しかし、後に1990年代前半に、イギリスを中心に発生していた変異型クロイツフェルト・ヤコブ病が、食物を通してBSEが感染した確率が高いことが証明されました。
世界の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病による死者は、現在まで169名と推定されています。
CSIRO, CC BY 3.0 https://creativecommons.org/licenses/by/3.0, via Wikimedia Commons
狂牛病(BSE)感染拡大の原因
BSE発生の直接的な原因は、牛に肉骨粉を食べさせたことです。
肉骨粉は動物性廃棄物です。
しかも、中には病死した家畜まで含まれています。
肉骨粉とは、家畜を処理する際に出るクズ肉、骨、内臓、血液等を加熱処理し、乾燥させて粉末にしたもので、豚や鶏のエサ、農作物用の肥料などとして以前から使用されていました。
通常、肉骨粉は加熱処理される段階で完全に殺菌されるため、環境汚染を防止し、衛生的に廃棄するための加工技術としても意味のあるものでした。
欧米では、牛乳生産を高めたり、体重増加を図る安価な方法として、本来、草食動物である牛にも、動物性蛋白である肉骨粉を与えていたといいます。
引用:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/niku/bse/bse.html
肉骨粉にスクレイピー病で死んだ羊の死体や、BSEで死んだ牛が混入した。
さらにコスト削減のため、生焼けの肉骨粉が流通した。
牛に牛の死体の加工品を食べさせた「共食い」です。
生焼けの「共食い」は最悪です。
同種生物の感染した細胞が体に入ると、感染確率が非常に高くなります。
その肉骨粉を日本が輸入していた。
Aphis.usda.gov BSE 3 This image was copied from wikipedia:en. The original description was:Source: http://www.aphis.usda.gov/lpa/issues/bse/bse_photogallery.html
BSEの影響
およそ20年前に、日本にも大きな影響を及ぼしたBSE。
どんなことが起きたのか、ふりかえってみましょう。
日本国内では2001年に千葉県内で飼育されていた牛がBS発症。
日本もBSE対象国となりました。
そして、2003年アメリカでもBSEが発生。
これをきっかけに、米国産牛肉の輸入を2005年末まで禁止。
吉野家は牛丼を2004年から2008年まで長期間にわたって販売中止。
個人的には吉野家のファンです。
この時期は、牛丼が食べられずつらかった。
また、BSEは化粧品に使用しているゼラチン、輸血用血液にまで影響しました。
化粧品は、値段が高いのに、粘土や牛から取ったゼラチンなど、大したものを使ってません。
中身は価格の2-3%、中身よりビンの方が・・・
いかん、また矢が飛んでくる💦
農林水産省のデータを調べてみました。
データをみると、脅威は過ぎ去ったように思えます。
BSEの発生数は圧倒的に英国、欧州が多いです。
また、日本の方が米国より発生数が多いです。
BSEを理由とした輸入規制の疑いがありますね。
これは、アメリカさんが怒るわけだ。
しかしアメリカがどこまで検査しているかという問題もあります。
廃棄物のような肉骨粉が日本にも輸出され、業者が飼料として使っていたことにショックを感じました。
現在のBSE対策は下記リンクに記載されています。 制限を緩めながら、検査を継続。 また、輸入牛肉については特定の部位を除去する対策を取っています。
病原体BSEプリオンの謎
牛海綿状脳症(BSE)の病原体は「プリオン」だと言われています。
BSEにかかった牛のスポンジ状の脳をすり潰して調べても、細菌もウィルスも発見できなかった。
その病原体は30分煮沸しても2ヶ月間冷凍しても死なない。
放射線を使った実験では、病原体の大きさはウィルスの約1000分の1の大きさと推測されたのです。
ウィルスはタンパク質の内部に核酸が入った構造をもっていましたが、この病原体は核酸すらもっていないタンパク質だと考えられました。
この病原体に「プリオン」という名前をつけたのはノーベル生理学・医学賞を受賞したカルフォルニア大学スタンリー・ブルシナー博士です。
博士は病原体「異常型プリオンタンパク質」を発見しました。
しかし、「異常型プリオンタンパク質」を注射しても、健康な動物にスポンジ脳症を発症させることはできませんでした。
多くの学者がプリオン病原体説に疑問をもっています。
プリオンは謎に包まれた病原体なのです。
狂牛病問題に対して、本ブログでもたびたび採り上げている分子生物学者 福岡伸一先生は下記ように危険性を伝えています。
プリオン病発症のメカニズムを研究する福岡伸一氏は、人類はまだ狂牛病の病原体すら特定できていないのが実情で、狂牛病については不明な事だらけであるとした上で、プリオンが病原体でることを前提とする昨今の安全基準緩和論は危険であると説く。
「狂牛病は人類が自然の摂理に反した行為を行った結果生まれた病気であることを、今一度再認識すべきだ。」福岡氏はそう指摘し、狂牛病を抑えることと同時に、なぜそのような病気が発生したのかについて、その根本原因を考える必要性を強調する。
プリオン説はどの程度説得力があるものなのか、もしプリオンが病原体ではないとすれば、現在の安全対策で安全性は担保できているのか。
引用:video news (一部省略)https://www.videonews.com/marugeki-talk/259
厚労省によると、我が国では年間約200例(平成00年人口動態統計)、原因が分からないクロイツフェルト・ヤコブ病患者が発生しています。
患者は発症後1年以内で死亡します。
この病気の原因は何なのか?
果たして、現在も牛肉の安全性が厳密に管理されているのか?
原因がわからない感染症は恐ろしいです。
的確な対策の取りようがない。
"Beef!" by comprock is licensed under CC BY-SA 2.0
参考図書
今回の記事は福岡伸一先生の下記の書籍を参考にして書きました。
分子生命学者が書く生命の本質。
素晴らしい本です。
ウィルス、PCR、病原体、ダイエットに関する内容も書かれていますよ。
オススメです!
あとがき
記事を書いていて、当時のことを思い出しました。
日本の食の安全が、揺れ動いた時期でした。
国内では牛肉偽装事件が多発し、雪印食品は2005年に廃業。
日本食品、日本ハムなどでも偽装事件が発覚しました。
データを見る限り、牛肉の安全性は確保されていると思います。
しかし、この病気は謎に包まれています。
やはり、国産牛でも。牛の脳、脊髄付近の部位は食べない方が良さそうですね。
個人的には、謎に包まれた病原体プリオンについて強い興味を感じました。
今日も最後までブログを読んでいただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。
ShinSha
ブログ村、ライフスタイル部門にエントリーしました。
お手数ですが、下のバナーをプチッとクリックして頂くと大変嬉しいです 🙇♂️