時の化石

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「祈り・藤原新也」写真展 - 30年ぶりに藤原さんの作品に再会した感動を伝えたい -

どうもShinShaです。
今回は2022年11月〜2023年1月に、東京世田谷美術館で開催された祈り・藤原新也」写真展に関する記事です。

オンタイムで書けば良かったけれど、その頃はプロジェクトの締め切りで忙しく、ブログを書ける状態ではなかったのです。
仕事の合間をぬって、23年1月に2回、写真展を見ることができました。
久しぶりに見た藤原新也さんの写真は、あまりに素晴らしかった。

(一部にセンシティブな写真の掲載があります)

藤原新也さんのこと

僕が藤原さんを知ったのは、おそらく1980年頃。
その頃、藤原さんの作品「全東洋街道」が月刊『Play Boy』(あのフルグラビアのアメリカ人のオネェさん(Play mates)の大きいヌードが掲載されてた雑誌)に連載されていた。
僕は当時、学生だった。

月刊『Play Boy』、素晴らしい雑誌だったなぁ。
開高健の「オーパ」も連載されていたし、藤原新也さんの記事もたくさん掲載されていた。
残念ながら、僕の手元には『Play Boy』は1冊しか残っていない。

記事を読んで、僕は藤原新也さんの本を何冊か買い込んだ。
そして、大きな衝撃を受けた。
大切にしていた藤原さんの本が何冊もあった。

しかし、それから何度も転居して、いつしか本は手元を離れて行った。
そして、今年1月、砧公園付近を通りかかった時、彼の写真展が開催されていることを知ったのです。

www.setagayaartmuseum.or.jp

藤原新也(ふじわら・しんや) 写真家、作家。1944年福岡県北九州市門司区生まれ。東京藝術大学油科中退。インドを振り出しに、アジア各地を放浪。1972年『印度放浪』で作家デビュー。1977年『逍遙游記』ほかで木村伊兵衛写真賞受賞。1981年『全東洋街道』で毎日芸術賞受賞。そのほか『メメント・モリ』『東京漂流』『渋谷』など著書多数。最新刊は『日々の一滴』。2011年より定員2000名限定の有料ウェブマガジン「CATWALK」を主宰。 https://craft.asahi.com/article/2020/04/fujiwara-photo/ から引用

インド

藤原新也さんの写真を見るのは何年ぶりだろう?
胸が高鳴ってくる。
さあ、作品を見ていこう。

最初に展示されていた大きな蓮の花。
この作品を見ただけで、僕の心はすべて奪われてしまった。

この世のものとは思えない美しさを讃えた睡蓮。
生まれてきたばかりの瑞々しい美。

藤原さんは、何日も夜明け前に沼に入って、開花の瞬間を撮ったそうだ。
この作品は、すべての失われた人々への祈り、献花かもしれないな。

写真展エントランス

そして、懐かしいインドの写真の展示が始まった。
このインドの写真に、二十代の僕は衝撃を受けたのだった。

河のほとりにある、人間を粗大ゴミみたいに焼く火葬場に、何週間も通って彼は写真を撮った。

近代国家では、人間は出生から死亡、火葬にいたるまですべてが管理される。
河に打ち上げられた白骨。
野犬に喰われる死体。

漠然ともっていた人間の存在に対する概念、そのものを揺さぶられた。
人間の本来の姿を垣間見た気がした。

チベット

天空に近いチベットの写真。
雲がこんなにも低いんだ。
緑は沢にわずかにあるだけ。
荒涼としていて、それでいて神々が棲んでいるような美しい世界だ。

「寿命とは切花」。
藤原さんは写真に添えて、短く、意味深いセンテンスを書く。
もう、僕はしおれ枯れかかっているのかもしれない。
限りある生を凛として生きたいな。

香港

2014年、藤原さんは香港の雨傘運動の取材にも行っていた。
スナップショットを重ねた作品だ。
デモの渦中に大きな機材なんか持ち込めない。
緊迫感あるライブな写真の数々。

そして、ポストイットを重ねて貼ったレノンウォール。
学生たちの短いメッセージが無数に集まる。
ここにもジョンがいたんだ。

日本

東日本大震災津波が築いた瓦礫の山。
痛々しい傷痕を照らす、青く柔らかな月の光。

写真の前で、何分も佇んでいる女性がいた。
ふとみると彼女の頬には涙があった。
涙を拭おうともしないで、女性は写真を見つめていた。

藤原さんの父親の大往生の瞬間を写した4枚の作品。
この作品は驚きだった。

医師が「そろそろ臨終です」。
藤原さんがカメラを向けて「はい、チーズ」、驚いたことにお父さんは微笑んで逝かれた。

お父さん、きっと嬉しかっただろうな。
胸が熱くなった。

藤原さんの故郷、門司港周辺の写真。
「平民食堂」って、実にいい名前だなぁ。
ノスタルジーいっぱいだ。

この店でビールでも飲みたい、と思ったけど既に閉店したみたいだ。

www.youtube.com

藤原新也著作のamazonリンク

彼の代表作のリンクです。

祈り

祈り

Amazon

おわりに

藤原新也さんの写真を見たのは、30年ぶりくらいかな?
インドの写真を見て、昔のことをずいぶん思い出しました。

今回、初めて見た作品もたくさんありました。
本当に素晴らしい写真展でした。
写真展を見てから、彼の本を少しずつ買い求めています。
これで5冊目。

絶版になった『黄金の犬』には、インドを放浪した頃の話が書いてありました。
彼の名作『印度放浪』の裏側。

そこにはビートルズのメンバーが訪れた「ヒマラヤのハリウッド」リケシュ、彼らを教えたマハリシの話も書いてありました。
だからジョンは”Instant Kama”なんて曲を書いたんだ。

彼の著作、写真は本当に素晴らしいです。
30年ぶりに再開できたことが、本当に嬉しかった。
買い求めた本を、これからずっと読んでいこうと思っています。

しかし、そのまえに、通読本がまだ13冊💦
頑張って読もう。
枯れてしまわないうちに。

ShinSha