どうもSinShaです。
今回はジャズスタンダードの記事です。
シリーズの3回目のテーマは「スターダスト」。
気温が下がってくるこれからは星空が美しい季節です。
「スターダスト」は1927年にホーギー・カーマイケルが作曲した名曲です。
ホーギーは、あの「我が心のジョージア」の作者なんですよ。
哀愁のあるメロディ、過ぎし日の恋に思いを馳せた感傷的な詞。
ずいぶん古い曲ですが、いまでもミュージシャンに愛されるスタンダード曲。
今回も定番の名演奏と新しいアーティストの演奏をあわせてご紹介します。
ライオネル・ハンプトンからサマラ・ジョイまで、素晴らしい演奏が聴けますよ。
スターダスト “Stardust”
楽曲について
「スターダスト」は、ホーギー・カーマイケルが1927年に発表したジャズのスタンダード・ナンバーである。
最初のレコーディングは、カーマイケル楽団により、インディアナ州リッチモンドにあるゲネット・レコードのスタジオにて行われた。
1929年に、ミッチェル・パリッシュにより歌詞がつけられている。
1931年にはビング・クロスビーが発表して以来、多数のヴォーカリストによって歌い継がれている曲でもある。
引用:wikipedia
作曲したホーギー・カーマイケルについては、このブログでも和田誠・村上春樹 『ポートレイト・イン・ジャズ』の記事でご紹介しました。
ホーギーは 「我が心のジョージア」「ニアネス・オブ・ユー」 などの名曲を作曲した人です。
印税が入ってきたから、若いうちから第一線を退き、気ままに仕事をしたそうです。
当時では数少ない、恵まれたジャズ・ミュージシャンでした。
しかし、ホーギーはすごい作曲家ですね。
彼の書いた代表曲は90年以上経った、今でも皆んなに愛されています。
歌詞
And now the purple dusk of twilight time
Steals across the meadows of my heart
High up in the sky the little stars climb
Always reminding me that we’re apart
そして今 たそがれ時の紫の夕暮れが
僕の心の草原を覆い尽くす
空高く登った小さな星は
遠く離れた君のことを いつも思い出させる
You wander down the lane and far away
Leaving me a song that will not die
Love is now the stardust of yesterday
The music of the years gone by
君は道から迷い 遠く離れてしまった
僕に消えることがない歌を残して
恋はもう 昨日のスター・ダスト
恋はもう 遠く過ぎ去った日々の音楽
Sometimes I wonder why I spend
The lonely night dreaming of a song
The melody haunts my reverie
And I am once again with you
When our love was new
And each kiss an inspiration
But that was long ago
Now my consolation
Is in the stardust of a song
時々僕は不思議に思うんだ
あの歌の夢を見て なぜ孤独な夜を過ごすのか
メロディーを聴くと幻が現れる
もう一度 僕が君と一緒にいる
二人の恋がはじまった頃
キスにはいつもときめきがあった
しかしそれは遠い昔
いま僕の慰めは
スターダストの歌の中にある
Beside a garden wall
When stars are bright
You are in my arms
The nightingale tells his fairy tale
of paradise where roses grew
Though I dream in vain.
In my heart it will remain
My stardust melody
The memory of love’s refrain
ガーデンウォールの傍らで
星が輝く頃 君は腕の中にいる
ナイチンゲールは
バラが咲き誇る楽園のおとぎ話を語る
だけどそれは虚しい夢
僕の心に残るのは
スターダストのメロディーと
愛の思い出のリフレイン
ShinSha 訳
「スターダスト」の名演奏
ジャズ・スタンダードを聴く楽しみは、いろんなアーティストの演奏を聴き比べられること。
「スターダスト」にはどんな名演があるのでしょうか?
いつものように新旧織り交ぜて名演をご紹介しましょう。
この曲は多くのミュージシャンが演奏していているので名演を選ぶのが難しいです。
今回は超定番と新しい演奏の中から独断で選びました。
インストゥルメンタルでは、アーティ・ショー、ライオネル・ハンプトンの演奏がとても有名ですね。
アーティ・ショーはこの曲を一躍ヒットさせた人なのですが戦前(1940)の録音💦
いま聴いてみるとさすがに古すぎる。
ライオネル・ハンプトンのライブ録音は1947年。
やっと戦後になった(笑)
この演奏は僕が中学時代に僕が初めて聴いたジャズなのです。
いま聴いてもなかなか良い。
やはりこれは超名演なんだなぁ。
このほかではコールマン・ホーキンス、クリフォード・ブラウン、ウィントン・マルサリスなんかのホーンを中心にした演奏が有名です。
新しいところでは、ジョシュア・レッドマンの演奏が 素晴らしい。
この曲はやっぱりサックス、トランペットの演奏が合っています。
⚫️ ライオネル・ハンプトン オールスターズ
1947年のモノラル録音、約15分のライブ音源ですが、いま聴いても素晴らしい。
当時のジャズマンの少しコミカルなプレイ、スキャットとユニゾンで弾くベース。
聴いていて楽しくなってきます。
そして、ラストのライオネルのヴィブラホーン(鉄琴の一種)の演奏は圧巻。
ホーンの演奏をバックにしたプレイは感動的ですね。
ジャズの歴史に残る名演です。
"Stardust" - Lionel Hampton All Stars 1947
Vibraphone – Lionel Hampton, Trumpet – Charlie Shavers, Alto Saxophone – Willie Smith, Tenor Saxophone – Corky Corcoran, Piano – Tommy Todd, Guitar – Barney Kessel, Bass – Slam Stewart, Drums –Lee Young
⚫️ウイントン・マルサリス
ウィズ・ストリングスアルバムです。
ウィントンの演奏はクールすぎるという人が多いのですが、この曲ではテクニックをかなり抑えてますね。
歌心があるエモーショナルなプレイで僕はなかなか良いと思います。
そしてストリングスのアレンジも素晴らしいなぁ。
ウィントンのようにテクニックがありすぎるとハートがないと批判される。
ジャズってなかなかムズカシイ。
Wynton Marsalis “Hot House Flowers” 1985
Trumpet: Wynton Marsalis, Bass: Ron Carter, Drums: Jeffrey Watts, Kent Jordan, Soprano Saxophone, Tenor Saxophon: Branford Marsalis ….
⚫️ ジョシュア・レッドマン
冒頭のジョシュアのサックスソロ演奏が素晴らしい。
フレージングの自由さ、リズムもやっぱりモダンだ。
ピアノがめちゃくちゃ良いと思ったらメルドーなんですね。
ジョシュアのサックスは情感いっぱいに歌ってるなぁ。
ジャズの楽しさを教えてくれる素晴らしい演奏です。
ぜひ皆んなに聴いてもらいたい。
Joshua Redman “Walking shadows” 2013
Piano, Producer: Brad Mehldau, Drums: Brian Blade, Saxophone: Joshua Redman, Bass: Larry Grenadier
ボーカルバージョンもあまりに数が多いのですが、ビング・クロスビー、ナッキング・コール、それからエラ・フィッツジェラルドなどの評判が高いです。
僕はエラが最高のボーカリストだと思っているので外せないなぁ。
新しいところではサマラ・ジョイの歌が良い。
サマラは1998年生まれのグラミー賞新人賞2023に輝くボーカリスト。
その歌声は「カスタードクリームのようにリッチ」とニューヨーク・タイムズが絶賛しました。
⚫️ エラ・フィッツジェラルド
有名なバージョンは1954年の録音。
ほかにはボサノヴァアレンジ、ライブバージョンなんかもあります💦
この録音ではピアノの伴奏だけで、メロディを丁寧に歌い上げています。
スキャットもくずしもなく、ストレートな歌。
エラの艶やかな声は素晴らしいなぁ。
気持ち良くてちょっと眠くなってくるけど。
Ella Fitzgerald “Songs In The Mellow Mood” 1954
Vocalist: Ella Fitzgerald, Piano: Ellis Larkins
⚫️ ナット・キング・コール
ナット・キング・コールのボーカル素晴らしいですね。
ソフトで丹念に歌い上げています。
ストリングのメロディも美しい。
深く柔らかい声…うっとりするなあ。
The Nat King “Cole Story” 1961
⚫️ サマラ・ジョイ
サマラのMVを初めて見ました。
彼女は本当に美しい声の持ち主だ。
カスタード・クリーム、大好き。
サマラは自由に伸びやかに歌っています。
彼女の声はエラを少し思い出させるね。
ちょっとギターがうるさい気がするけど素晴らしいチューン😀
Samara Joy's self-titled debut album 2020
Samara Joy - vocals 、Pasquale Grasso - guitar 、Ari Roland - acoustic bass 、Kenny Washington - drums
サブスクミュージックでジャズを聴こう
サブスクミュージックでジャズを聴きましょう。今回のスタンダードの名演、名曲はすべてサブスクで聴くことができます。しかも音質も素晴らしい。
Apple Musicではジャズ名盤のハイレゾ化が進んできています。素晴らしい音質で名曲を聴きましょう ♪( ´θ`)ノ
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おわりに
「オヤジがすごいのもってるんや。今日、家に寄らへんか。」
中学時代の友人Kはある日言いました。
僕とSはムフフな本などを期待しながら、もちろん彼の家に寄ったのです。
「このレコードすごいんや」
Kは目を輝かせてライオネル・ハンプトンのLPをプレイヤーに載せた。
それから中坊3人は畳に転がって、ライオネル・ハンプトンのプレイに聴き惚れたのです。
「すごい鉄琴や」
初めて聞くジャズに衝撃を受けて、僕らは薄ら笑いを浮かべながら痺れていた。
それが初めてジャズを聴いた体験です。
ろくな本屋も喫茶店もない田舎に暮らしていた。
あの頃はまだ女の子の手を握ったこともなかったなぁ。
そんな頃の感動を今でも覚えています。
ライオネルのライブ音源を聴くと甦ってくる。
今回の記事では6曲のYouTubeリンクを貼りました。
このスタンダードは1940年代から2020年代まで、途切れることなく演奏されています。
超定番曲はもちろん、新しいチューンも素晴らしかったな。
今夜は夜空を見上げて、ぜひ聴いてみてください。
ShinSha