時の化石

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2024年1月 『賛否両論』恵比寿本店ふたたび

どうもShinShaです。2024年1月、和食店『賛否両論』を再訪しました。巷では予約の取れないお店と言われていますが、またまたラッキーでした。毎月予約をトライしている訳ではないですよ。でも12月初めに久々に電話をしたらスムーズに予約が取れてしまったのです。

賛否両論の冬の料理は格別に美味しかったです。また、今回の訪問では前回のリベンジを果たしましたよ。そう、デザート6品全制覇! 帰り道、パンパンのお腹を抱えながら全品食べたことを後悔しました。しかし、いまブログを書きながら大いに良かったと思っています。

『賛否両論』とは

2004年に東京都渋谷区恵比寿に料理人笠原将弘さんがオープンした日本料理店『賛否両論』。巷では、とにかく予約が取れない和食店として有名です。笠原さんは腕の立つ料理人であり、また熱のある人物です。テレビに出演したり、本を書いたりとにかく忙しい方です。

賛否両論のメニューは「おまかせ」で、料金は12,500円と9,500円の2コースのみです。料理の品書きは存在せず、旬の食材を使用した「おまかせコース」の内容は、提供される直前までのお楽しみとなっています。隣の席の料理をちらちら見ながら、次に何が来るのかやたら気になるのでした。

賛否両論恵比寿本店1階

笠原将弘(かさはら まさひろ)さんのプロフィール

1972年 東京生まれ。
焼鳥店を営む両親の背中を見て育ち、幼少期からさまざまなセンス、技、味覚を鍛えられる。 
高校卒業後、「正月屋吉兆」で9年間修業後、実家の焼鳥店を継ぐ。

店の30周年を機に一旦店を閉め、2004年9月、恵比寿に自身の店【賛否両論】を開店。 
メニューは季節の素材を活かした「おまかせコース」のみ。 
独創的な感性で作り上げる笠原の料理が、訪れた者の心を掴み、たちまち予約の取れない人気店となる。
2013年、満を持して名古屋に【賛否両論名古屋】、2019年金沢に【賛否両論金沢】を開店。

私生活では、ビールをこよなく愛する3児の父。 
愛称は「マスター」。 
その昔、父親が焼鳥店の常連客にそう呼ばれていたものが現在の笠原にもそのまま受け継がれ、定着。 
店の客はもちろんのこと全従業員からもこの愛称で呼ばれている。

『腕・舌・遊び心』をモットーに、父親譲りのセンスと一流料亭で磨いた確かな技術で今日も腕を振るう。 
「日本で一番、日本人の役に立ち、喜ばれた和食屋だった」と、後世に名を残せることを目標に日々邁進中。


笠原さんの写真 https://www.sanpi-ryoron.com から転載

賛否両論 冬のご馳走 2024年1月😋

賛否両論 恵比寿本店へは今回で2回目の訪問です。ここでの食事は2時間半かかるから、今回は開店直後の18時の予約を取りました。家には愛犬も待っているし、最近、留守番させるとスネるんだよね。

今回は残念ながら2階席に通されました。前回訪問した時には超満腹で6品チョイスできるデザートのうち3品しか食べられなかった。その悔いが残っていました。隣のおば様たちが談笑しながら、デザート全品を楽しそうに食べるのをただ眺めていたんです。

今回はお任せ2コースのうち、お値打ちな方をチョイス。上のコースとは料理2品とお造りが一種少ないことを前回の訪問で調べていました。そして昼ごはんは肉まん1個でガマンという万全の体制で挑んだのでした。我ながら食い物への執着がコワイ。

最初に八寸が供されました。上から時計回りに、カキとうるいの煮びたし、鴨とゴボウの含め煮、きんとんニンジンの擬製豆腐、千枚漬け、あん肝としめじの煮付け、そして真ん中がキンカンと胡桃の白あえ。

どの料理も一つひとつ、素材を活かして作られていて素晴らしい味。今回は、牡蠣の旨み、濃厚なあん肝の味が強く記憶に残りました。冬の素材は美味しいな! これから出る料理の素晴らしさの予感がしたのです。

八寸

続いて海老芋と車海老の蕎麦がきの揚げ物。かぼすと塩が添えてあります。(ごめんなさい。写真を撮る前にかぼすを絞る際にパッシングしてしまった💦)見栄えはとても地味ですが、味はどうでしょうか?

海老芋は柔らかく、上品な出汁の味がします。これは煮物を揚げてあるのだな。蕎麦がきの揚げものは、ふわふわの蕎麦の中にほのかな海老の香り。車海老はすり身にして蕎麦と一緒に軽く練ってあります。スゴイな。こんな揚げ物、初めて食べるよ。
揚げ物 海老芋と車海老の蕎麦がき

次は椀もの、帆立と百合根のしんじょう。ふわふわのしんじょうに淡麗な出汁の組み合わせ。しんじょうの中には刻んだ帆立が入っています。そして椎茸とわかめも同じ腕の中。イメージどおりの美味しさです。海の幸と山の幸のハーモニーや〜。

I
椀もの 帆立と百合根のしんじょう

続いてお造りです。皿のこの金属的な釉は何だろうか?昔、釉薬について調べたことがあるのでとても興味を感じました。このお店は器を見るのが楽しいなぁ。

今回の造りは真鯛と寒ぶり。付け合わせは大根を薄くスライスしたものと岡ひじきかな?真鯛は塩昆布と合わせた粒マスタードを載せて食べました。しこしこした歯応えの白身に昆布マスタードは美味しいですね。そして、脂の乗った冬の寒ぶりの味はたまりません。

お造

焼き物は鰆。説明では紹興酒に漬けた鰆を焼いたもの。この細い短冊の付け合わせは何だろう?この歯応えは蓮根かな?ほんのり酒の香りが付けられた鰆はやわらくて口の中で溶けるよう。

焼き物 鰆の香り醤油焼き

次は茶碗蒸しです。今回は白子と白きくらげの茶碗蒸しでした。上にかかっている餡は酸味があります。これは何だろう?茶碗蒸しに白子を入れるのは反則だと思います。トロトロのクリーミーな白子に上品な出汁のフワフワの茶碗蒸し。美味しいに決まっている。酸味のある餡を混ぜて食べると白子の味が際立つ感じ。雑味を消しているのかな。ああ、美味しいなぁ、この椀の中に溶けてしまいたい。

蒸しもの 白子と白キクラゲの茶碗蒸し 餡かけ
席に着いてから約2時間。締めの鮭と焼きネギの土鍋ご飯が炊き上がりました。これはたまらん香りです。焼いた大きめの白ネギの炊き込みご飯の上に、焼きほぐした鮭、三つ葉のトッピング。

いやあ、素晴らしく美味しいなぁ。ネギがかなり沢山ご飯の中に入っています。一手間かけて焼いたネギを入れるなんて信じられないよ。油揚げがいっぱい入った少し甘めの味噌汁も素晴らしい。おかわりはいかがですか?ごめん、もう食べられないよ。残ったご飯は、丁寧におにぎりにしてお土産に持たせてくれました。

鮭と焼きネギの土鍋ご飯の炊き上がり

さて、いよいよデザートの時間です!ところが、胃袋にはぜんぜん余裕なんかなかった💦 十分な準備をしたはずだったのに。美味しそうな八寸を見た瞬間に瓶ビールをオーダーしたのがいけなかった。しかし、それでは今回のミッションは達成できないのである。

店員さんがリストを示して甘味は6種類をお好きなだけとオーダーを取りに来ました。迷わずデザート6品をオーダー。写真をご覧ください。これが賛否両論のデザートのすべてです! 左上から右下に向かって、きなこアイス、焼きもなか、杏仁豆腐、今月のデザート:栗きんとんアイス、黄柚シャーベット、とり将プリン。

甘味 6種

冷菓が半分。これを一気に食べるとお腹をこわすぞ。お茶を飲んだり、ほかを食べながら進めるか、しかし時間をかけると溶けてしまうな💦 などと考えつつ、全部食べられるか不安を感じていた。

ままよ。きなこアイスから食べ始めた。きなこはアイスクリームと混ぜてある。これめちゃうま。次は焼きもなか。これは、板場で焼いていたヤツだなぁ。暖かくて香ばしくて絶品。次は黄柚シャーベット。爽やかな柚味のふわふわのシャーベットだ。

次は杏仁豆腐、今回はリンゴのコンポートが載っています。前回書いたけど、ここの杏仁豆腐はこれまで食べた中のマイベスト。次は栗きんとんアイス。栗きんとんにアイスがあったら美味いに決まっているって味だな。そして最後はとり将プリン。実家の営んでいた焼き鳥屋の屋号を付けた入魂のデザートです。表面はカリカリのキャラメル。中は濃厚な味のプリン。これも最高の味です。

死ぬ前に一品だけデザートを食べて良い、と言われても僕には選べない。きっと閻魔様にすがりついて「お願いです。何でもしますから四品食べさせてください」と泣きつくだろう。この四品が何かはご想像にお任せします。

あとがき

ご覧になったように、賛否両論の料理は高級食材は使っていません。旬の食材を選んでいかに特別な味を作り出すかが腕の見せどころなのでしょう。料金も驚くほどリーズナブルです。

9月に来た時と同じ料理は一品もありませんでした。店員さんに訊くとメニューは月に2回変更になるそうです。どの料理も手が込んでいて、また想像を超える驚きがありました。『腕・舌・遊び心』。まさにキャッチフレーズどおりの名店です。

着席から2時間半。会計を済ませてお店を出ました。店員さんと若い調理人の二人が見送ってくれました。恵比寿駅に足早に帰りながら、お腹はパンパン。ああ、瓶ビールを止めるべきだった。少し後悔したけど、デザートもめちゃ美味しかったな。


店員さんと調理人さんがいつまでも見送ってくれた

一つひとつ旬の素材を選び、腕をふるった冬のご馳走、誠に美味しく頂きました。忘れられない冬の思い出になりました。個人的には今回の料理の方が好みでした。チャンスがあればまた来たいな。
ShinSha