どうもShinShaです。今回はPCオーディオの要、DAC(ダックまたはディーエーシー)について少し掘り下げた記事です。今回はおおまかなDACの原理、DACチップ、おすすめのDAC機器などについて書きました。
PCオーディオ、デジタル・ミュージックを楽しむための、ちょっとした勉強だと考えて頂ければ幸いです。おすすめのDAC製品はいずれも中国製品です。コストパフォーマンス、性能が素晴らしい製品を選びました。国産品に推しがないのが残念だなぁ。
DACについて
PCオーディオでは、デジタル音源をアナログに変換し、ヘッドフォン、イヤホン、またはスピーカーで音楽を楽しむことが一般的です。CDやサブスクなどデジタル音源からのデジタル信号をアナログ信号に変換する処理を行うのがDAC(Digital to analog Converter)です。ですからPCオーディオの音質は、DACの性能に依存することになります。
CDプレーヤーやSACDプレーヤー、PC等のデジタル機器内部でDA変換を行うと、その回路自体から発生したノイズが出力音声に乗りやすいこと、また音質に拘った回路を搭載するだけのスペースがない場合があるため、変換を別体のコンポーネントに担当させる場合がある。
この機器をその機能からDAC、外部DACと通称する。機器からDACへの信号の転送にはUSBやS/PDIFが多く用いられる。
高品位な再生を目指し、オーディオシステムの技術開発はサンプリングレートを高く、ビット数を高く、アナログ段を短くするように進められている。
2010年以降は1個当たりのコストが安く、消費電力が低く、マルチビット型よりも変換誤差が少ないため、普及価格帯 の製品に搭載されるDACはデルタシグマ型1bitDACがほぼ全てを占めている
引用:wikipedia
DACの原理
下の図はデーコーダ形式の3bitの抵抗分圧方式DAC回路の例です。3bitのデジタルデータがスイッチのオンオフで、抵抗値、電圧のアナログデータに変化するしくみになっています。僕は専門ではないですが、この原理はシンプルで面白いと感じました。DACについては、このほか種々の形式が考案されています。
現在のオーディオ用DACは、日本で考案されたデルタシグマ(ΔΣ)型1ビットDACが主流です。この仕組みを下に掲載しました(図はA-D変換)。最新のDACチップは、ダイナミックレンジが大きな32ビット製品となっています。これにより、音量の変化が激しいジャズやクラシックなどの音楽の表現力がさらに向上しました。また、DACチップでは音質の向上とともに、消費電力の抑制やノイズ・音の歪みの低減などの改良も行われています。
DACチップ
前の項に示したDACの仕組みのように、形が決まったデータの演算処理は、電子回路を使った方が効率的に行えます。そのため、DAC専用のLSIが開発されるようになりました。
webを調べても、なかなか歴史が分からないのですが、旭化成エレクトロニクスでは1989年からデルタシグマ型DACチップを製品化し、ラックスは1999年にSACDの再生機にDACを採用したとの記載がありました。本格的なオーディオ機器へのDACチップ搭載は20年ほど前ということですね。
現在の代表的なDACチップメーカを以下にリストアップしました。カッコの中の文字は、各社のDACチップの呼び名を示しています。
- 旭化成エレクトロニクス (AKM)
- ESS Technology Inc. (ESS)
- テキサスインスツルメンツ(バーブラウン Burr-Brown)
- ローム株式会社 (BD)
- シーラス・ロジック(CS)
オーディオの世界では、現在、AKMとESSが2大DACメーカーとして高い評価を得ています。また、最近では日本のローム社の音楽専用チップBDも注目を集めています。Webの情報を調べると、日本では米国製のESSが高い評価を受けており、逆に海外では旭化成のAKMが評価されている傾向が見られます。
下にDACチップの写真、旭化成エレクトロニクス 、ローム株式会社のPRムービーを掲載しました。
おすすめのDAC
さて、ここからはDACチップではなく、PCやスマートフォンに接続して使用するDAC機器に関する話題です。下にPCオーディオにおける接続方法の図を示します。DACはスマートフォンやPCと接続して、購入したデジタル音源やサブスクリプションのデジタル音源をアナログに変換する役割を果たします。
DAC機器には、DAC機能のみを持つ機器と、ヘッドホンアンプを組合せた機器があります。
最近のDAC製品は、コストパフォーマンスが高い中国製品が市場を席巻しています。中国のオーディオブランドであるFiio、Topping、S.M.S.Lなどの製品は、日本国内およびアメリカでも高い評価を受けています。僕もFiioのDACを1年近く使用していますが、何の問題もなく良い音質で音楽を楽しんでいます。
また、アンプに関しては、安価なデジタルアンプが価格100万円レベルのアナログアンプの性能を凌駕する時代になっています。デジタル技術の進歩により、かつてのオーディオの世界ではなくなっています。僕はヘッドホンアンプとDACが一体化した製品を使用していますが、これで十分に音楽を楽しむことができます。以下におすすめのDACを3つ紹介します。
○おすすめDAC製品Amazonリンク
🔷FiiO K7
FiiO K7は現在僕が使用しているDACです。価格.comでもずっとランキングNo.1になっている評価の高い製品です。DACチップは旭化成 AK4493SEQを2基搭載。この製品はヘッドホンアンプ一体製品です。約1年使用していますが、使いやすく音質も良いです。出力はシングル12000mW(32Ω)以上なのであらゆるヘッドホンを接続して楽しむことができます。アクティブスピーカへのライン出力も対応可能です。
DACチップ: AK4493SEQ ×2
デジタル入力:USB Type B ×1、RCA同軸 ×1、光 ×1
出力 ≥2000mW (バランス, 32Ω負荷時 / THD+N<1%)、≥1220mW (シングルエンド, 32Ω負荷時 / THD+N<1%)
出力インピーダンス:1Ω(32Ω負荷時)
🔷 TOPPING DX5 Lite
国内サイト、海外オーディオサイトでも評価が高いTOPPING(トッピング)の売れ筋DACです。Bluetooth入力にも対応し、海外でいくつも賞を取っています。DACチップはESS ES9038Q2Mを2基搭載。この製品はヘッドホンアンプ一体製品です。出力はシングル1800mW(32Ω)なのであらゆるヘッドホンを接続して楽しむことができます。スピーカへのライン出力も可能です。
DACチップ: ESS ES9068AS DACチップ×2
デジタル入力:USB Type B ×1、RCA同軸 ×1、光 ×1、Bluetooth(SONY LDACハイレゾオーディオ対応)
出力:1800mW @32Ω THD+N<1%、1000mW @64Ω THD+N<1%
出力インピーダンス: 0.1Ω以下
🔷 S.M.S.L D300
国内サイト、海外オーディオサイトでも評価が高いS.M.S.Lの売れ筋DACです。Bluetooth入力にも対応しています。DACチップはいま話題のロームのフラッグシップを搭載しています。本製品はDAC単体製品です。amazonのレビューでは音がナチャラルでやわらかいと高評価です。僕も聴いてみたいなぁ。
DACチップ: ROHM社フラッグシップDAC BD34301EKV
デジタル入力:USB Type B ×1、RCA同軸 ×1、光 ×1、Bluetooth(SONY LDACハイレゾオーディオ対応)
おわりに
最近、時々アメリカのオーディオレビューサイト (Audio Science Review)を覗くようになりました。中華製品のDAC、イヤホンは非常に高い評価を受けています。今回紹介したTopping、S.M.S.LのDAC製品はこのサイトで性能で競い合っています。日本のメーカは評価の対象にも入っていません。アメリカのオーディオ市場における日本製品は、SONYがひとり頑張っている感じです。
今回紹介したToppingやS.M.S.Lなどの製品を置いている店舗は国内にはほとんどありません。そのため、アマゾンなどのネット販売が主要な購入先となります。いろんな機種の音を楽しみたいなら、自分で購入して聴いてみるしかないのです。そういう時代になったのですね。
昨年からイヤホン、PCオーディオについての記事を書くようになりましたが、デジタル技術の進化のおかげで、とても良い時代になりました。今は10万円程度の予算で最高の音質で音楽を楽しむことができます。
オーディオの世界でも日本の凋落を感じます。日本の企業が高品質なDACチップを製造している一方で、活きの良いオーディオ製品メーカーはなくなってしまったなぁ😢 とても淋しいです。
ShinSha