時の化石

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PCオーディオライフのすすめ(6) アンプについて

どうもShinShaです。今回はオーディオアンプに関する記事です。デジタル技術の進化で、最近では高級アナログアンプと安価なデジタルアンプの性能に差はありません。PCオーディオユーザーにはコストパフォーマンスの高いデジタルアンプをおすすめします。

性能が一緒だったらコストパフォーマンスが重要になります。最近では、中国の新興ブランドのアンプ製品が世界的に注目されています。日本のメーカーも、レガシーに縛られることなく頑張ってもらいたいです。

アンプについて考えた

アンプの種類

アンプは Amplifier(増幅器)を意味します。プレーヤーで再生される音声信号、デジタル音源を変換した音声信号は通常、小さな音です。この音声信号を増幅して(音量を大きくして)、スピーカーやヘッドホンに送るのがアンプの主な機能です。アンプには様々な種類があります。以下に代表的なアンプとその機能を簡単に紹介します

(1)プリアンプ
プリアンプはコントロールアンプとも呼ばれます。レコードプレイヤー、CD、PCなどからの入力を切り替えたり、音質を調整したり、左右のスピーカーの音量バランスを調整したりする役割を果たします。

(2)パワーアンプ
パワーアンプは、プリアンプからの音声信号を増幅し、スピーカーやヘッドホンを接続して音を出します。パワーアンプには、ステレオパワーアンプ、デジタルパワーアンプ、4チャンネルパワーアンプ、ハイインピーダンスパワーアンプなど、様々な種類があります。

(3)プリメインアンプ
プリメインアンプは、プリアンプとパワーアンプが一体化したアンプです。プリメインアンプを使用することで、スピーカーやヘッドホンを通じて音楽を楽しむことができます。特にPCオーディオでは、プリメインアンプが最も重要な役割を果たします。

(4)AVアンプ
AVアンプはプリメインアンプに映像出力機能を加えたアンプです。主にホームシアター用に利用されます。

(5)ヘッドホンアンプ
ヘッドホンアンプは、ヘッドホンやイヤホンを鳴らすために最適化されたアンプのことです。据置タイプとポータブルタイプがあります。高品質なパーツや回路を備えたヘッドホンアンプを通じて、ヘッドホンの性能を引き出し、音質を向上させることができます。ヘッドホンアンプは、DAP(デジタルオーディオプレーヤー)、DACスマートフォン、PCなどに接続して使用されます。

"A pair of BBC AM8/12 Professional Power Amplifier manufactured by H-H Electronics with Crimson Elektrik 510 preamplifier" by Chi Bellami is licensed under CC BY 2.0.

アンプは、アナログアンプとデジタルアンプの2つに分類されます。アナログアンプには、真空管アンプトランジスタアンプの2種類があります。一般的に、アナログアンプと呼ばれるのはトランジスタアンプのことを指します。

デジタルアンプは音声信号の増幅機能にデジタル処理を行うアンプです。一方、アナログアンプは熱によるエネルギーロスが大きな欠点を持っています。デジタルアンプは効率が高く、省電力化や小型化が可能であるというメリットがあります。

かつてはデジタル処理特有の歪みの問題があり、デジタルアンプはアナログアンプよりも音質が劣ると言われていました。しかし、それはずいぶん昔の話です。

音楽之友社STEREO誌 2004年3月号で、価格9,800円から3,300,000円までの8種類のアナログアンプとデジタルアンプのブラインドテストが行われました。このテストはオーディオマニア4人中4人が 9,800円のデジタルアンプの音が良いと回答するという衝撃的な結果となりました。テストにより、アンプの価格と性能には相関がないことが明らかになりました。

現在、デジタルアンプの性能は、かつての高級アナログアンプの性能をはるかに凌駕しています。そもそもアンプの機能からして、音質に差が生じないものなのです(^^;;

デジタルアンプの音の増幅のしくみ https://www.toa.co.jp/otokukan/otolabo/ から転載

このほか、アンプにはA級、B級、D級などの分類があります。これは主にアンプの動作原理に関する分類であり、特に詳しく知る必要はありません。A級が優れていてD級が劣るという分類ではないです。興味がある方は下記の記事をご参照下さい。

A級、AB級、D級……オーディオアンプの「方式」の違いとは? - PHILE WEB

A級、B級、C級、D級アンプの違い 【Analogista】


"Vintage Grommes Little Jewel Mono Amplifier, Model LJ6, 5 Vacuum Tubes, Made In USA, Circa 1955" by France1978 is licensed under CC BY-SA 2.0.

アンプのスペック

アンプの性能は下記の4つで評価をします。

  1. 周波数特性
  2. 歪み THD、THD+N
  3. ノイズ S/N比
  4. ダンピングファクター DF


低域から高域までフラットで、ノイズや歪みがない音を再生できるのが理想のアンプです。ハイレゾ音源を再生するためには、周波数特性は40kHzまで必要です。また、歪みとノイズに関しては、人間の耳で判断できるのはSN比が80dB程度、歪みが1%程度。さらに、ダンピングファクターは接続するスピーカーのインピーダンスとの比を20以上にしないと、再生音が変化する可能性があります。

しかし、最近のデジタルアンプでは、すべての項目について性能が大幅に向上しており、これらのスペックを検討する必要性はありません。例えば、高く評価されている中華ブランド TOPPING PA5(価格4.9万円)のアンプは、歪みがTHD <0.0015%(4Ω5W)という驚くべき低さです。つまり、人間の耳で判断できるようなノイズや歪みはほとんどありません。

最近、時々覗いているアメリカのAudio Science Reviewのアンプの評価データを下に紹介します。画像をクリックして画像を拡大するとグラフの下に、ブランド、製品名が書いてありす。中華ブランドTOPPING、S.M.S.Lなどのコストパフォーマンスが良い、デジタルアンプルが高い評価を得ています。日本製品 DENONKENWOODなんかは性能面で遅れをとっていますね。

Audio Science Reviewアンプの評価データ:https://www.audiosciencereview.com/forum/から転載

どんなアンプを買えば良いのか? いろいろ情報を調べましたが、結論はどこにもありません。個人的な考えでは、アンプはスピーカーの出力に合った、コストパフォーマンスの高い中華ブランドなどのデジタルアンプを購入すれば良いと思います。

20年前のブラインドテストが示したように高価なアナログアンプとデジタルアンプの性能の差はありません。良い音質で音楽を聴くためには、スピーカー、ヘッドホンをお金を掛けたほうがよほど合理的です。最終的には、自身の好みや予算に合ったアンプを選ぶことが重要ですね。

"connect audio" by www.ilmicrofono.it is licensed under CC BY 2.0.

おすすめのアンプ

国内のネット情報、Audio Science Reviewで評価の高いアンプ、ヘッドホンを紹介します。いずれも評価が高くコストパフォーマンスに優れた海外製品です。
パワーアンプとして評価の高い製品です。完全バランス型、140W×2高出力。家庭用ではこれ以上のパワーは必要ないですね。


バランス出力も備え、あらゆるヘッドホンをドライブできるヘッドホンアンプです。Audio Science Review、アマゾンのレビューでも高評価。


プリアンプ機能付きのヘッドホンアンプ。PCオーディオではこれ1台あれば、ヘッドホン、スピーカも最高の音質で鳴らせます。Audio Science Review、アマゾンのレビューでも高評価。


S.M.S.Lのプリアンプ機能付きのヘッドホンアンプ。低ノイズ、低歪みの評価の高い製品です。ヘッドフォンアンプとして使用できるだけでなく、ハイエンドプリアンプとしても使用できます。


Audio Science Review ヘッドホンアンプの評価データ:https://www.audiosciencereview.com/forum/から転載

アンプに音はあるのか?

アンプは単に音声信号を増幅する装置です。音は音源、DAC、再生するスピーカーやヘッドホン・イヤホンによって決まるはずです。残念ながらアンプに音はありません。

音に関しては、それぞれ好みがあります。例えば、70-80年代のステレオの音が素晴らしいとか、真空管の柔らかく艶がある音が最高だという意見もよく耳にします。オーディオマニアの中には、アンプには特別な音があると考える人も多くいます。

こうした音を科学的に分析したデータを見ると、低域や高域の音圧が不足した周波数特性、歪みの混在などの特徴が現れます。これは、性能が不十分だった頃のアンプを通した音に対する郷愁だと考えられます。僕自身も、しばしば60-80年代の洋楽を聴くこともあり、そのような気持ちは理解できます。

いま僕がオーディオに求める音は、小さなホールで聴いた沖仁のフラメンコギターの音や、ジャズ・クラブで聴くピアノやベースの響きなど生の楽器の音です。また、伊勢正三山下達郎小田和正のライブ会場で聴いた臨場感ある音です。僕はオーディオファンというより音楽のファンなのです。やはり周波数特性がフラットで歪みのない新しいアンプで音を聴きたいと思います。

"S.M.S.L. High-Resolution Power Amplifier “DA-8S”." by MIKI Yoshihito. (#mikiyoshihito) is licensed under CC BY 2.0.

おわりに

オーディオの世界には、アナログ時代から続く数々の迷信があります。オーディオを追求する人の熱意を感じます。「アンプは重いほど音が良い」「真空管アンプは振動で音が艶やかになる」「電力会社、発電所からの距離で音質が変わる」(^◇^;) 最後のは多分、冗談だと思うけど、なんだかとても楽しくなってきた(笑)

僕は根っからのエンジニアなので、科学的根拠のないことに振り回されて無駄な時間やお金を費やしたくないと考えます。オーディオは音楽を聴くための道具。もっとシンプルに音楽を楽しもうよ。 ShinSha