どうもShinShaです。今回は本のご紹介です。先日、書店の店頭で見かけた新書の帯のコピーに驚きました。本の著者には経済アナリスト森永卓郎さんも入っています。これは読まねばならない、そう思いました。
日本の食料自給率の低さについては知っていました。「日本で最初に飢えるのは東京都と大阪」。これはただならぬ話です。国際紛争が相次いで起きている今、この話は絵空事とは思えません。
筆者の紹介
この本の著者のプロフィールをご紹介します。現役の東大教授と信頼できる経済アナリストの共著。鈴木さんは元農水省官僚で、現在は東大教授。森永さんは獨協大学の教授でもあります。二人とも僕と同世代の人です。
⚫️ 鈴木 宣弘(すずき・のぶひろ)
1958年三重県生まれ。82年東京大学農学部卒業。農林水産省、九州大学大学院教授を経て2006年より現職。FTA 産官学共同研究会委員、食料・農業・農村政策審議会委員、財務省関税・外国為替等審議会委員、経済産業省産業構造審議会委員、コーネル大学客員教授などを歴任。
おもな著書に『農業消滅』(平凡社新書)、『食の戦争』(文春新書)、『悪夢の食卓』(KADOKAWA)、『農業経済学 第5版』(共著、岩波書店)などがある。
引用:https://president.jp/list/author/
⚫️ 森永卓郎(もりながたくろう)
東京大学経済学部経済学科卒業後、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局等を経て、現在、獨協大学経済学部教授を務め、経済アナリストとしても各種メディアで活躍している。専門は労働経済学と計量経済学。
そのほかに、金融、恋愛、オタク系グッズなど、多くの分野で論評を展開している。日本人のラテン化が年来の主張。
引用:https://www.speakers.jp/speaker/
食料自給率の大問題
日本の食料自給率は、先進国では極端に低い水準です。米国、カナダ、フランスなどは100%を超えている。EU諸国は補助金を出して就農者の所得を守り、自給率を高めてきています。
公表されている日本の食料自給率は37%ですが、そこには化学肥料、種の輸入が含まれていません。鈴木さんの試算によると真のカロリーベース自給率はなんと9.2%!日本の食糧自給率が低いのは知っていました。しかしここまで低いとは。
財務省は食料を国内で作るのはコストが掛かると考えているそうです。だから食料自給率が低くても農水省はいまだに減反政策を続けている。
下のグラフによると、穀物の輸入量が大きいですね。グラフを読めば、コメをもっと食べて、肉食を止めて野菜食に変われば、少し自給率は上がりそうです。
ちなみにアメリカでは遺伝子組み換え穀物が大量に栽培され、輸出されていますが、これを世界で一番多く食べているのは日本人です。さすがに食料品に使われているものは少ないけど、畜産飼料はほとんど米国産穀物だ。有名な分子生物学者 福岡伸一さんはこの状況について「大いなる実験」と警鐘のコメントを出しています。
台湾有事、核戦争が起こったら
この本に掲載されていたアメリカの研究チームが行った核戦争による犠牲者の試算です。一番右の欄が日本人の餓死者の予測です。どんな戦争状態を想定しているのか分かりませんが、核兵器が100発使われたら日本人の餓死者は7,200万人💦💦
そして有事に真っ先に餓死するのが、食料を自給できない東京と大阪の住人。北海道、秋田、山形などの人は生き延びられるのかな。
ウクライナ戦争、イスラエル・ガザ戦争に加えて、ますますキナ臭い中東情勢。これは絵空事だと笑えません。台湾有事が起きた場合にも日本のシーレーンは封鎖されて同じことが起きると、鈴木さんは書いています。
最近、日本の政府はアメリカの言いなりになって、ろくな国会審議もせず防衛費を倍増。大量の兵器を米国から買い集めています。百歩譲ってその政策が正しいとしても、有事の食料確保対策がぜんぜん解決されていない。バカじゃなかろか。戦う前に餓死確定💦第二次世界大戦の二の舞だ。戦前から国民を大切に考えない伝統は官僚に受け継がれています。
政府は有事になったら、お花畑で国民がイモを作ればよいとマジメに考えているみたいだ。面積を集計して収率とカロリーを計算して決めた机上の空論。農家の皆さんはバカじゃないかと憤慨している。大体、食糧備蓄が1.5ヶ月しかないから、イモができる前に皆んな餓死しちゃうよ。
東京大学を出た優秀な官僚が多くいるはずなのに、どうしてこうもバカな政策をやっているのか。僕には不思議でならないのです。本書によると日本の農業政策は財務省と経済産業省、日米の「お友達企業」に牛耳られているという。ズブズブの利害関係の中で農業政策が決められ、農水省は従うしかない構造になっている。
米国にしてみれば、日本は食料から武器まで何でも売りつける、言いなりの都合の良い属国ということか。森永さんは、すべては「ザイム真理教」のせいだと語っています。
記事で採り上げた本のamazonリンク
おわりに
と、まっ暗闇の状況の中で記事を終えますが、続きは本書をお読みください。今何をすべきか、地方で芽生え始めている希望について書かれています。この本を読んで、僕もトカイナカに移住したくなりました。
森永さんは、コロナが流行して仕事が激減した時に、埼玉県内に農地を借りて農業を始めました。5年続けた農業の実験で、30坪のマイクロ農業で日本の食料問題は解決できると確信したそうです。
森永卓郎さんは昨年12月にステージ4のすい臓がんであることを公表されました。現在闘病中ですが、毎週ラジオに出演して話をされています。厳しい状況でも体力の続く限り働き、政府の圧力を受けながらも「言ってはいけない」真実を伝える真摯な生き方に感動します。がん治療が成功し、健康を回復されることをお祈りいたします。
ShinSha