どうもShinShaです。ジャズ・スタンダードをご紹介する記事です。今回のテーマは「虹の彼方に」。1939年ミュージカル映画『オズの魔法使い』の劇中歌として作られ、いまも世界中で親しまれているスタンダード・ナンバーです。
今回もオススメのインストゥルメンタル、ボーカル曲6曲を選びました。世界中で愛されている曲だからこそ、演奏にはミュージシャンの実力が問われます。選曲した中では、バド・パウエル、アート・ペッパーの演奏が僕のお気に入りです。
虹の彼方に “Over The Rainbow”
楽曲について
「虹の彼方に」(Over the Rainbow)は、1939年のミュージカル映画『オズの魔法使い』で主演に抜擢されたジュディ・ガーランドが歌った劇中曲。 エドガー・イップ・ハーバーグ(Yip Harburg)作詞、ハロルド・アーレン(Harold Arlen)作曲。1939年のアカデミー歌曲賞を受賞しました。
曲の歌詞
歌詞はファンタジーの世界を描き、聴く人を勇気づける素晴らしい内容です。清らかで希望のある世界を歌っています。メロディの美しさとともに、歌詞の素晴らしさもこの曲が愛される理由だと思います。
”Over the Rainbow”
Somewhere over the rainbow
Way up high
There’s a land that I heard of
Once in a lullaby.
Somewhere over the rainbow
Skies are blue,
And the dreams that you dare to dream
Really do come true.
虹の彼方の何処か
空高くに
昔 子守唄に聞いた国がある
虹の彼方の何処か
空は蒼く
そして心から願った夢が叶う
Someday I’ll wish upon a star
And wake up where the clouds are far
Behind me.
Where troubles melt like lemon drops
Away above the chimney tops
That’s where you’ll find me.
ある日 僕は星に願う
目覚めたら 雲は僕のはるか遠く後ろに
悩みはレモンドロップみたいに溶けて
煙突より高くへ消える
そこであなたは僕を見つける
Somewhere over the rainbow
Bluebirds fly.
Birds fly over the rainbow.
Why then, oh why can’t I?
虹の彼方の何処かへ
青い鳥は飛ぶ
鳥たちは虹を超えていく
それなのに なぜ僕にできないの?
訳:ShinSha
「虹の彼方に」の名演奏
ジャズ・スタンダードを聴く楽しみは、いろんなアーティストの演奏を聴き比べ。この曲にはどんな名演があるのでしょうか?今回も新旧織り交ぜて素晴らしい演奏をご紹介いたします。
[インストゥルメンタル]
今回は下の3曲を採り上げました。ミュージシャンに愛される名曲です。このほかにもエロール・ガーナー、チェット・ベイカー、キース・ジャレットなど良い演奏がたくさんあります。
⚫️バド・パウエル
バド・パウエルらしいシンプルでスケールの大きいピアノ演奏です。久しぶりに聴きましたが、やっぱりパウエルは素晴らしいな。時折みせるパウエル節がたまりません。
“The Amazing Bud Powell, Volume Two” 1951
Bass – George Duvivier, Drums – Arthur Taylor, Piano – Bud Powell
⚫️ モダン・ジャズ・カルテット
ミルト・ジャクソンのヴィブラフォンをメインにしたアレンジです。このヴィブラフォンは叙情的なのですがスウィングもする、何と素晴らしい演奏だろう。ヴィブラフォンの音はエモーショナルで曲想にすごく合っていますね。
The Modern Jazz Quartet “Fontessa” 1956
Bass – Percy Heath, Drums – Connie Kay, Piano – John Lewis, Vibraphone [Vibraharp] – Milt Jackson
⚫️ マーティ・ぺイチ・クァルテット(フィーチャリング アート・ペッパー)
ピアニスト、マーティ・ペイチのリーダー作です。しかし、この作品は実質的にアート・ペッパーが主役といっても良いでしょう。
1956年全盛期のペッパーの演奏です。ペッパーの歌心あふれるソロ演奏を聴くことができます。こんなにも素敵な演奏なのに、聴き終わると哀しみを感じるのです。それがペッパーの大きな魅力なんです。
The Marty Paich Quartet “The Marty Paich Quartet Featuring Art Pepper” 1956
Alto Saxophone – Art Pepper, Bass – Buddy Clark,Drums – Frank Capp, Piano – Marty Paich
[ボーカル曲]
⚫️ ジュディ・ガーランド
ジャズではないですが、ジュディ・ガーランドのオリジナル楽曲は素晴らしいです。録音した当時のジュディは16歳。びっくりするほど大人びていてしっかりした歌唱力です。この曲は、後に全米レコード協会、全米芸術基金などによって二十世紀を代表する最高の米国の歌、第1位に選ばれました。
Judy Garland “The Best Of Judy Garland” 1937
⚫️ サラ・ヴォーン
サラのスケールの大きなボーカル、張りのある声は楽曲によくマッチしています。最初はジャズっぽさを抑えて曲に入っていきます。今さらですがサラの歌は本当に素晴らしいなぁ。後半のブラスを巧みに使ったジャズ本来のアレンジも素敵です。
Sarah Vaughan “In The Land Of Hi-Fi” 1955
Alto Saxophone – Julian "Cannonball" Adderley, Bass – Joe Benjamin, Drums – Roy Haynes, Guitar – Turk Van Lake, Piano – Jimmy Jones, Trumpet – Ernie Royal, Vocals – Sarah Vaughan
⚫️ メロディ・ガルドー
2009年の録音です。ガルドーの少しハスキーで、ビィブラートがある淋しげな声が素晴らしいなぁ。モダンでオシャレなボサノヴァ風アレンジが気持ちよいです。歌詞の内容は意外とこういう軽やかなアレンジに合うと思うのです。
Melody Gardot "My One And Only Thrill" 2009
サブスクミュージックでジャズを聴こう
サブスクミュージックでジャズを聴きましょう。今回のスタンダードの名演、名曲はすべてサブスクで聴くことができます。しかも音質も素晴らしい。
Apple Musicではジャズ名盤のハイレゾ化が進んできています。素晴らしい音質で名曲を聴きましょう ♪( ´θ`)ノ
記事で採り上げたアルバムのamazonリンク
おわりに
今回の記事のテーマは大好きなスタンダード”Over the Rainbow”でした。シンプルで誰もが知っている曲だからこそ、どんなアレンジをするか、どんな演奏をするのか、ミュージシャンの腕の見せどころとなります。
サラ・ヴォーン、MJQの曲は、この記事を書くにあたって初めて聴きましたが、素晴らしかったです。バド・パウエルも久しぶりに聴いたけど良かったなぁ。マーティ・ペイチとアート・ペッパーの演奏は繰り返し聴いている大好きな演奏です。
少し前の記事にも書きましたが、村上春樹氏はアート・ペッパーについて、次のように書いています。
僕らはアート・ペッパーの演奏を愛する。しかし彼の残した手放しに幸福な演奏を、僕らはひとつとして(おそらく)思い出すことができない。彼は一人の誠実な堕天使として、自らの身を削って音楽を創り出していたのだ。
ペッパーのファン人はそこに魅かれるのかな。僕の中で最近ますますペッパー愛が増してきています。
ShinSha