どうもShinShaです。不定期にお届けするジャズ・スタンダードをご紹介する記事です。今回のテーマは、「マイ・フーリッシュ・ハート」。
恋する女性の揺れ動く心を歌ったちょっと大人の歌詞。初めて歌詞をじっくり読みましたが、なかなかスバラシイ。「誘惑に負けたらダメ。でもキスしちゃったら...」。今回は女性ボーカルをじっくり聴きましょう。
この曲には、あのビル・エバンスの名演があります。そして、グラミー賞を受賞した晩年のチック・コリアのライブ録音も紹介します。今回も素晴らしい演奏、歌がいっぱいです。
- 「マイ・フーリッシュ・ハート」 “My Foolish Heart “
- 「マイ・フーリッシュ・ハート」の名演奏
- サブスクミュージックでジャズを聴こう
- 記事で採り上げたアルバムのamazonリンク
- おわりに
「マイ・フーリッシュ・ハート」 “My Foolish Heart “
楽曲について
原曲は1949年のアメリカ映画『愚かなり我が心』(原題:My Foolish Heart)の主題歌です。作曲 ヴィクター・ヤング(Victor Young)、作詞 ニューリー・ワシントン(Newly Washington)。映画ではマーシャ・ミアーズ(Martha Mears)がこの曲を歌いました。
1950年に何人ものアーティストがこの曲を歌いましたが、ビリー・エクスタインMGM盤が一番のヒットとなりました。作曲家ヴィクター・ヤングは350本の映画音楽を作曲した才能豊かな音楽家です。ほかにも「ゴースト・オブ・ア・チャンス」、「ラブ・レター」、「星影のステラ」などの名曲を書きました。
曲の歌詞
恋する女性の揺れ動く心を歌ったちょっと艶っぽい歌詞。今回初めて歌詞をじっくり読みましたが、なかなか素晴らしい。「愛ならいいけど誘惑に負けたらダメ。でもキスしちゃたったら...」。この曲はぜひ女性ボーカルで聴きたいですね。
“My Foolish Heart”
The night is like a lovely tune
Beware, my foolish heart
How white, the ever constant moon
Take care, my foolish heart
There’s a line between love and fascination
That’s hard to see, on an evening such as this
For they both give the very same sensation
When you’re lost in the magic of a kiss
夜は美しい調べのよう
しっかりして わたしの愚かなハート
月はいつも白くて変わらないわ
気をつけて わたしの愚かなハート
愛と誘惑の間には線があるわ
こんな夜には見えにくい
どちらも同じ感じなの
キスの魔法に迷い込んでしまうと
His lips, are much too close to mine
Take care, my foolish heart
But should our eager lips combine
Then let the fire start
For this time, it isn’t fascination
Or a dream that will fade and fall apart
It’s love this time, it’s love my foolish heart
My foolish heart
ああ 彼の唇がとても近い
落ち着いて わたしの愚かなハート
でも二人の唇が重なりたくて どうしようもないなら
燃えはじめましょう
今度はただの誘惑ではないから
落っこちて こわれてしまう夢ではないから
今度は愛
これは愛なの わたしの愚かなハート
訳:ShinSha
「マイ・フーリッシュ・ハート」の名演奏
ジャズ・スタンダードを聴く楽しみは、いろんなアーティストの演奏の聴き比べ。この曲にはどんな名演があるのでしょうか?今回も新旧織り交ぜて素晴らしい演奏を紹介します。
[インストゥルメンタル]
この曲の名演は美しさの表現にかかっています。ビル・エバンス トリオの1961年ライブ盤“Waltz For Debby”は不朽の超名盤といえます。晩年のチック・コリアトリオの演奏もとても素晴らしいです。
⚫️ ビル・エバンス トリオ
1961年、ニューヨークの老舗ジャズクラブ ”Village Vanguard”でのライブ録音。ジャズの超名盤、まさに美の極地ともいうべき演奏です。ビル・エバンスが奏でる思索的で甘美なピアノ、リズムを支え歌うスコット・ラファロのベース。ああ、なんて美しいプレイなのだろう。
Bill Evans Trio “Waltz For Debby” 1961
Bass – Scott LaFaro, Drums – Paul Motian, Piano – Bill Evans
⚫️ エディ・ヒギンズ & スコット・ハミルトン
ヒギンズのリリカルなピアノに、深く響くハミルトンのテナー・サックス。よく歌うテナーが心地よい。このバラードの美しさを感じる演奏です。じっくり聴いていると、まだ昼なのにバーボンを飲みたくなってきます。
Eddie Higgins & Scott Hamilton “My Foolish Heart” 2012
Bass – Steve Gilmore, Drums – Bill Goodwin, Piano – Eddie Higgins, Tenor Saxophone – Scott Hamilton
⚫️ チック・コリア トリオ
チック・コリアが、クリスチャン・マクブライドと、ライアン・ブレイドという最強コンビと組んだ現代最高峰のピアノ・トリオのライヴ曲です。この曲はスペインでのライブ録音。スペインのミュージシャン、ニーニョ・ホセレのフラメンコ・ギター、ホルヘ・パルドのフルートの演奏をフィーチャーした美しい演奏です。幅広いアーティストと交流をもっていたチックらしい作品です。
Chick Corea Trio “Trilogy” 2013
Acoustic Guitar – Niño Josele, Bass – Christian McBride, Drums – Brian Blade, Flute – Jorge Pardo , Piano – Chick Corea
[ボーカル曲]
ビリー・エクスタイン、トニ・ベネットのチューンもありますが、個人的にはこの曲は女性ボーカルしかないと思うのです。女性ボーカルを3曲選びました。カーメン・マクレア、ホリー・コール、カレン・ソウサ。僕はホリーのシンプルでエモーショナルな歌、ちょっと色っぽいカレンのBossaが好きです。
⚫️ カーメン・マクレエ
大御所カーメンの歌うチューン。僕はカーメンが少し苦手なのですが、この曲はとても良い。60年以上も前の曲なのに古さを感じないアレンジが素晴らしい。ハープ、ストリングス、ピアノの甘い演奏に溶けてしまいそうです。
Carmen McRea “Blue Moon” 1956
⚫️ ホリー・コール
ホリー・コールといえば大ヒット”Calling You”を思い出してしまいますが、この曲のボーカルもなかなか良いです。ビアノ、ベースのシンプルな演奏をバックにシンプルで美しいバラードを聴かせてくれます。
Holly Cole “the Best of Holly Cole” 1965
www.youtube.com
⚫️ カレン・ソウサ
妖艶な魅力が漂うアルゼンチン出身のジャズ・シンガー、カレン・ソウサ。緩いBossaのリズムに乗せた少しハスキーなボイス。モダンで色っぽくて大人の魅力に溢れています。今回初めて彼女の歌を聴いたけどハマりそう。
Karen Souza “Hotel Souza” 2010
www.youtube.com
サブスクミュージックでジャズを聴こう
サブスクミュージックでジャズを聴きましょう。今回のスタンダードの名演、名曲はすべてサブスクで聴くことができます。しかも音質も素晴らしい。
Apple Musicではジャズ名盤のハイレゾ化が進んできています。素晴らしい音質で名曲を聴きましょう ♪( ´θ`)ノ
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おわりに
今回は甘くて美しいスタンダードのご紹介でした。夜、お酒を飲みながら聴いてほしいです。ちょっとオシャレで色っぽい音楽を聴けるのもジャズの楽しみです。昔は「女性ボーカルは白人の美人の曲しか聴かない」と、公言して憚(はばか)らないジャズ評論家までいました。
このところ、忙しくて、おまけに韓流ドラマにハマって、なかなかブログを書く時間が取れません。3年前に開発した製品がようやく売れることになって、嬉しい春がやってきそうです。しかし、結果的には2年半もシンプルなヒントに辿り着けなかったことになるなぁ。
My Foolish Brain(涙)
ShinSha