どうもShinShaです。ジャズ・スタンダードをご紹介する記事です。今回のテーマは、「イン・ア・センチメンタル・ムード」。このスタンダードは、デューク・エリントンの数ある名作の中でも屈指のバラード曲です。
この曲の演奏では、作曲者エリントンとジョン・コルトレーンの共演は外せません。このほか、今回はトミー・フラナガン トリオ、山下洋輔の素晴らしいピアノ演奏を選曲しました。このスタンダードには、ほかにもソニー・ロリンズ、ジム・ホールなど良い演奏がたくさんあります。
歌ものは、何といってもサラ・ヴォーンのチューンが有名ですね。初めて聴いたキャロル・スローンの歌も素晴らしかった。今回も新旧織り交ぜて素晴らしいチューンを選曲しました。
- 「イン・ア・センチメンタル・ムード」 “In a Sentimental Mood”
- 「イン・ア・センチメンタル・ムード」の名演奏
- サブスクミュージックでジャズを聴こう
- 記事で採り上げたアルバムのamazonリンク
- おわりに
「イン・ア・センチメンタル・ムード」 “In a Sentimental Mood”
楽曲について
「イン・ア・センチメンタル・ムード」は、デューク・エリントンが作曲したジャズの楽曲です。1935年、母の死による悲しみの中で書かれた曲だといわれています。この曲はデュークエリントンの数ある名作の中でも屈指のバラード。後にマニー・カーツによって、歌詞がつけられました。
1935年4月30日、デューク・エリントン・オーケストラはブランズウィック・レコードにおいて、オットー・ハードウィック(英語版)のアルト・サックスをフィーチャーした初録音を行いました。
歌詞
ブルースはフラれた男の歌詞が多いのですが、ジャズの歌詞って意外と恋する女性の心を歌った曲が多いのですね。最近書いたスタンダード曲の記事は、皆なこのパターンでした。
「センチメンタルな心の私でもあなたは愛してくれる」。マニー・カーツの書いた歌詞は素晴らしいですね。
“In a sentimental mood”
In a sentimental mood
I can see the stars come through my room
While your loving attitude
Is like a flame that lights the gloom
センチメンタルな気持ちでいると
星の光が部屋の中に差してくる
あなたの愛にあふれた振る舞いは
まるで暗闇を照らす炎のようです
On the wings of every kiss
Drifts a melody so strange and sweet
In this sentimental bliss
You make my paradise complete
すべてのキスが
不思議な甘いメロディーを運んでくるの
このセンチメンタルな喜びの中
あなたは私のパラダイスを完璧なものする
Rose petals seem to fall
It's all I could dream to call you mine
My heart's a lighter thing
Since you made this night a thing divine
バラの花びらが落ちる
あなたが私のものだなんて夢みたいだわ
私のハートに火が灯る
あなたがこの夜を輝かしいものにしてくれる
In a sentimental mood
I'm within a world so heavenly
For I never dreamt that you'd
Be loving sentimental me
センチメンタルな気分で
私は天国のような世界にいる
センチメンタルな私を
あなたが愛してくれるなんて
夢にも思わなかったの
訳:ShinSha
「イン・ア・センチメンタル・ムード」の名演奏
ジャズ・スタンダードを聴く楽しみは、いろんなアーティストの演奏の聴き比べ。この曲にはどんな名演があるのでしょうか?どんな素敵なボーカルが聴けるのでしょう?今回も新旧織り交ぜて素晴らしい演奏を紹介します。
[インストゥルメンタル]
⚫️ デューク・エリントン&ジョン・コルトレーン
この曲の代表的な演奏といえば、やっぱり作曲者エリントンとコルトレーンの共演です。コルトレーンのソプラノサックスが良いなぁ。サックスと響き合うエリントンのピアノも美しい。コルトレーンが吹いているからだろうか?安らぎ、カタルシスさえ感じます。
“Duke Ellington and John Coltrane” 1962
Bass – Aaron Bell, Drums – Elvin Jones, Piano – Duke Ellington, Soprano Saxophone, Tenor Saxophone – John Coltrane
⚫️ トミー・フラナガン トリオ
イントロが美しい。ブルージーでスイングを感じる演奏です。これは本当に素晴らしい演奏ですね。ソロパートのテクニックが光っている。ピアノ・トリオの楽しさを感じます。
Tommy Flanagan “The Tony Flanagan Trio“ 1960
Bass – Tommy Potter, Drums – Roy Haynes, Piano – Tommy Flanagan
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⚫️ 山下 洋輔
山下さんのピアノはやっぱり良いなぁ。シンプルな演奏からメロデイが少しずつ展開し、次々と美しいフレーズが繰り出される。それでいて、しっかりジャズだ。胸に染みる美しい演奏です。昔、彼のエッセイをよく読んでいたことを思い出しました。
山下 洋輔 ”クワイエット・メモリーズ” 2020
[ボーカル曲]
⚫️ サラ・ヴォーン
このスタンダードの代表的なボカールはサラ・ヴォーンでしょう。しっとりしたギターとピアノの演奏をバックに歌う、彼女のボーカルは流石です。豊かな表現力で歌詞の世界をしっかり歌い上げています。
Sarah Vaughan “After Hours” 1961
Bass – George Duvivier, Guitar – Mundell Lowe, Vocals – Sarah Vaughan
⚫️ キャロル・スローン
1977年に彼女が来日した時に録音したアルバムなんですね。成熟した大人の女性の歌うジャズって良いなぁ。うっとりするほど美しいチューンだ。ピアノが素晴らしいと思ったらローランドハナだった。
Carol Sloane “Sophisticated Lady” 1978
Bass – George Mraz, Drums – Richie Pratt, Piano – Roland Hanna, Vocals – Carol Sloane
⚫️ ヘイリー・ロレン
続いて日本でも人気の高いヘイリー・ロレンのチューンです。15歳からプロ・シンガーとなった、彼女のボーカルは素晴らしいです。恋する女性の情感たっぷり。特に声が裏返るところが色っぽくて良い。
Halie Loren “After Dark” 2010
Baritone Saxophone – Bryan Cumming, Bass – Mark Schneider, Cello – Dale Bradley, Piano – Matt Treder, Vocals – Halie Loren
サブスクミュージックでジャズを聴こう
サブスクミュージックでジャズを聴きましょう。今回のスタンダードの名演、名曲はすべてサブスクで聴くことができます。しかも音質も素晴らしい。
Apple Musicではジャズ名盤のハイレゾ化が進んできています。
素晴らしい音質で名曲を聴きましょう ♪( ´θ`)ノ
記事で採り上げたアルバムのamazonリンク
おわりに
個人的に作ったフォーマットで、毎回インスト、ボーカル曲を3曲ずつ選んでいるのですが、最後の1曲がすごく迷います。そこに時間がかかって大変なのですが、そのために色々な曲を聴き、新しい発見があるのです。予定調和で記事書いてもつまらないですからね。今回は山下洋輔、キャロール・スローンの素敵なチューンに出会うことができました。
上にも書きましたが、最近、恋する女性の曲ばかりを選曲している気がします。ジャズって何故、このパターンの歌詞が多いんだろう? 男がそれを求めていからなのか?次回は違う方向の曲を選びます。ふられてボロボロの男のスタンダードってあったっけ (^^;;
ShinSha