ShinShaです。今回は国産オーディオブランド Maestraudio (マエストロオーディオ)のイヤーモニター MAPro1000 のレビューです。このイヤーモニターは当ブログではお馴染みのオーツェイド(株)の新しい製品です。
購入から数週間、この製品でいろんな音楽を聴きました。出張旅行に持ち歩き、長距離移動の列車の中でも聴いてみました。この製品は軽量で装着も快適なので、ついつい持ち歩きたくなってしまいます。
肝心の音質については、セラミックツィーターRSTが再生する高音の響きが美しく、低域から高域まで音のバランスも良好です。また解像度が高く音場もそこそこ広い。しかも価格もお値打ちなジャパニーズ・イヤーモニターです。これこそ買うべき一本です。
Maetraudio MAPro1000
本製品に関するweb情報を下に引用します。軽量で耳に快適にフィットし、さらに本格的な音質のイヤーモニターの開発を目指したということですね。
『MAPro1000』(エムエープロ・セン)は、Maestraudio製IEMならではの広いサウンドステージ表現を維持したまま、より快適に耳にフィットする筐体設計を目指して開発した、モニターイヤホン形状の新IEMシリーズ「MAPro」の第1弾製品です。
数多くのイヤホン開発から得た知見を活かし、イヤーピースだけで本体を支えず筐体形状で耳に対し固定することで、耳道の負担を軽減しつつ、より快適なフィッティングと遮音性向上を同時に実現する小型モニターイヤホン形状を設計開発し採用しました。動いてもズレにくい上、長時間の使用でも耳道への負担が少なく疲れにくいのが特徴です。
ドライバー部には、深い低域再生を実現する10mm径グラフェンコートダイナミックドライバーに加え、独自技術のパッシブ型セラミックコートツイーターで、MAProシリーズ用に新たに開発した5.8mm径RST(Reactive Sympathetic Tweeter)を初搭載したハイブリッド構成を採用しています。
MAPro1000は、モニターイヤホン形状を採用して、これまでよりも更に小型化した筐体の為、音の空間表現が極めて難しくなりましたが、新開発5.8mm RST搭載によって小型筐体ながらも音に包まれるような広いサウンドステージを実現しています。
引用:https://www.aiuto-jp.co.jp/information/entry_2094.php
筐体の構造も新しく研究され、従来のモデルからノズルの取り付け角度が変わりました。初めて見た時はちょっと驚きました。これにより筐体が小さくなり、耳へのフィッティング性も改善されました。
イヤーピースを斜め上方に押し込む感じで装着するのですね。装着感はとても良いです。ヘッドが小さくて軽いので長時間装着していてもストレスを感じません。いろんな角度から製品がブラッシュアップされていることが分かります。
MAPro1000はオーツェイド(株)のお家芸、セラミックツィータとダイナミックドライバーとのハイブリッド構造となっています。また、webには記されていませんが、構造図をみると音の反響を整えるHDSSも搭載されているようですね。本製品はMAPROシリーズの第一弾ということです。今後どんな製品が出てくるか楽しみです。
製品仕様
Maetraaudio MAPro1000
形式:ハイブリッド型
10mm径グラフェンコートダイナミックドライバー×1
5.8mm径RST(Reactive Sympathetic Tweeter)×1
再生周波数帯域:20 HZ - 48KHZ
インピーダンス:22 Ω、感度:111 dB/mW
筐体素材 : 樹脂
接続プラグ :3.5mm3極 L字プラグ
付属品:MAPro1000 Cable、iSep02イヤーピース(S/MS/M/L)、iFep01(S/M/L)、キャリングポーチ
購入イヤホンの写真
僕の購入した製品はBoost Redです。初めて赤いイヤホン買いました。箱を開けるといっぱい入ってました。ポーチ、イヤーピースはフォームタイプとシリコンタイプの2種類。これは嬉しいですね。
フォームタイプのイヤーピスが予め取り付けてあります。ということは、デフォルトはこのイヤーピースかな? と一瞬考えてしまった。僕はこれまで、真面目にフォームタイプイヤーピースで音楽を聴いたことがないので、この機会にじっくり聴いてみたいと思います。ぜひ電車の中でも聴いてみよう。
イヤホンヘッドのズーム写真です。スケルトンデザインは良いですなぁ。
製品レビュー
総合評価
Maetraudio MAPro1000
総合 :☆☆☆☆☆
デザイン・質感:☆☆☆☆
装着感 :☆☆☆☆☆
サウンド :☆☆☆☆☆
定位・空間表現:☆☆☆☆
<音質バランス>
[コメント]
音質は低域〜高域までフラットです。maestraudioの製品はセラミックツィータRSTの再生する高域・超広域の音が素晴らしいのですが、低域の音についても10mmのダイナミックドライバーがしっかり供給してくれる。バランスのとれた音質だから、音楽のジャンルを選びません。
イヤーモニターとしての性能ですが、音の解像度が高く、楽曲を構成するさまざまな楽器の音を聴き取ることができます。音の定位が正確で音場も広い特徴をもっています。音楽制作の現場でも役立つことは間違ありません。
また、この製品はセラミックツィーターを搭載しているため、ピアノ、サキソフォン、生ギターなど様々な楽器の音がリアルに聴こえます。このため、リスニング用としても大きな魅力をもっています。ジャズやクラシックを聴くと、この製品の音の響きの美しさが良く分かります。
前回の記事ではSENNHEIZER IE100Proについてレポートをしました。IE100Proは恐ろしいまでに解像度が高く、定位が正確なイヤーモニターでしたが、リスニング向けとしては面白味のない製品だと感じました。音を解析的に聴くために、SENNHEIZERはチューニングされているのだと思います。この製品とIE100PROは価格帯が同一の競合品ですが、僕は迷わずMAPro1000を選びます。
サウンド・インプレッション
いつのものように、ポップスの楽曲から聴いてみます。イヤホン、ヘッドホンの音を確認する時、僕が基準としている楽曲です。中島美嘉 “ORION with ensemble”、宇多田ヒカル ”First Love”の2曲です。これらの曲をどれだけ美しく再生できるか興味があります。
女性ボーカルが艶かしく息遣いもリアルに感じます。ボーカルに含まれる倍音を見事に再生してくれるからこう感じるのですね。バックのストリングスが深く響き、アコースティックギターの金属弦がクリアに鳴る。ベースが低く深く沈み、柔らかな音の世界に包み込まれる感じ。いろんな音を聞き分けることができ、サウンドを解析的にモニターするためには、良いイヤーモニターだと思います。
続いてビートルズのアルバム”Abbey Road”を聴きました。”Come Together” ではキックドラムとベースの輪郭がはっきり聴こえる。アタック感があるサウンドが気持ち良いです。
”Here Come The Sun”はアコースティックギターの響きが美しく、そしてビートもしっかり伝わってくる。そして続くジョンの名曲”Because”はものすごく美しいと感じました。
このほか、次の項に記載したジャズ、クラシックの楽曲を聴いてみました。このイヤーモニターはジャズもクラシックも楽しむことができます。リアルな楽器の音を再生してくれからなのです。
クラシックは最近繰り返し聴いている坂本教授の最後のアルバム”Opus”から聴いてみました。“Lack of Love”を数秒聞けばMAPro1000の素晴らしさが分かります。このピアノの音が本物の音なんだよな。
ピアノは大きな木製の反響箱が付いた弦楽器で、実際聴いてみると驚くほど豊かな響きがあります。グレン・グールドがピアノを弾くバッハの協奏曲では、広い音場と弦楽器・ピアノの解像度の良い音が聴こえます。うっとりするほど美しいなぁ。
次にジャズも聞いてみました。まず最初にピアノトリオ。エバンスのピアノの響き、ラファロの歌うベース。二人のインタープレイが美しく聴けます。さらに大好きなパット・メセニー&チャーリー・ヘイデンの”Moon Song”も素晴らしいサウンドでした。
試聴曲
[Pops]
中島美嘉 ”ORION with ensemble”、宇多田ヒカル ”First Love”、小田和正:early summer 2022 ”風を待って” “坂を上って”、ビートルズ: Abbey Road “Come Together” “Here Come The Sun” “Because”
[Jazz]
ビル・エバンス : Portrait in Jazz “Autumn Leaves”、パット・メセニー&チャーリー・ヘイデン:Beyond Missouri Sky “Moon Song” “Cinema Paradiso (Love Theme)”
[Classic]
坂本龍一 Opus: “Lack of Love” “Solitude”、グレン・グールド:Sound of Glenn Gould 、 “Keyboard Concerto No.5 in F Minor BMV 1056Ⅰ Largo”
[試聴環境]:
音源:Apple Music (ロスレス、ハイレゾロスレス)、DAC: S.M.S.L DO400
デザイン・製品の質感
プラスティック、樹脂素材で構成される製品ですがチープさは感じません。樹脂製筐体、ケーブルとも機能的なデザインです。以前のモデルは筐体の形がハートで、どうにも好きになれなかったが、今度のデザインは良いです。スケルトンとなっているデザインもメカニックが見えて好みです。
装着感
筐体が小さく軽量で装着感は良好です。付属のシリコン、フォーム型イヤーピースも良くできていて、耳にぴったり装着できます。
音場・定位感
音の解像度が非常に高く定位感も良いと思います。セラミックツィータを搭載しているため音場も広く感じます。
記事で採り上げた商品のリンク
おわりに
前回レビューしたイヤーモニターSENNHEIZER IE100PROの技術の素晴らしさに感動したものの、どうしても音が好きになれなかった。そこでIE100PROを下取りに出し、このMAPro1000を買ったという訳です。頭では素晴らしいと理解しても、心が受け入れないというヤツでしょうか。
売れに売れていて皆んな高評価している、天下のSENNHEIZERのイヤモニにケチをつけて大丈夫か(汗)ということなのですが、このブログはあくまで本音を書くというポリシーなのでお許しくださいね。
MAPro1000はとにかく軽くて装着しやすく音が良い。IE100PROに負けない魅力がある良い製品だと思います。ミュージシャンやエンジニアがステージで使うモニターとして最適ではないだろうか。
この製品は最近のお気に入りイヤホンなので、モバイルDACと一緒にあちこち持って歩きたいと考えています。先週はフォームイヤーピースを着けて特急スーパー日立の移動中で聴いたから、今度は地下鉄で聴いてみよう。
今年の福島の仕事が終わり、平常の生活に戻りつつあります。足腰にまだフィールドワークの疲れが残っていますが、2日休んだら集中力が戻ってきました。来年はさらに忙しくなる予感があるけど大丈夫だろうか。最近は年齢を感じることが多くなりました。今はとにかくブログを書かなければ。最近アクセスも収益も落ちている(涙)
ShinSha