時の化石

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西洋美術館 ロンドン・ナショナル・ギャラリー展にいってきた(その2)。「ひまわり」だけが名画じゃない! 本家、ロンドン・ナショナル・ギャラリーは来週、展示再開!

ShinShaです。 昨日に引き続いて、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展、レポートその2をお送りします。
絵の印象をまとめて書くのは、とても時間がかかるので、何時にUPできるのかなぁ。
必死に書いてるので、小ネタを書く余裕がない(笑)。

最近、ブログを書くために、ちょくちょくご本家The National Gallery のwebsiteを訪問していたのですが、昨日メールが来て、来週8日から展示再開とのニュースでした。
イギリスのコロナの状況は、最近、かなり減衰してきてます。
良いニュースですね。

事前予約制、当面は無料で公開するようです。
しかし、このURLカッコいいですねぇ。

www.nationalgallery.org.uk

さて、今日はイタリア・ルネッサンス時代の絵から1枚、フランス絵画から1枚、そして、ご本家のイギリス絵画から1枚の絵を紹介したいと思います。
今回選んだのは、どれも明るく希望に満ちた絵です。

ご参考までに、この美術展に関する私のブログのリンクを紹介します。
上のリンクは昨日の(その1)の記事です。
下の記事には、ゴッホを有名にした女性の物語が書かれています。
まだ、日本ではあまり知られていない情報ですよ。
よろしかったら見てください。

www.fossiloftime.com

www.fossiloftime.com

イタリア・ルネッサンス絵画

今回の美術展では。イタリア・ルネッサンス絵画が8枚出展されているます。
中にはボッティチェリの作品もありましたが、私が一番気に入ったのはこの絵です。

[絵画5]カルロ・クリヴェッリ「聖エミディウスを伴う受胎告知」1486年、卵テンペラ・油彩/カンバス 207 x 166.7 cm

ルネサンス時代の絵画は、古くからイギリス画家の手本とされており、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの中核をなすコレクションとなっているそうです。
ロンドン・ナショナル・ギャラリー のwebsiteを調べると、クリヴェッリの絵は25枚の作品が所蔵されています。
古くからイギリスで人気がある画家なんですね。
この作品は結構大きい絵で、画面いっぱい、いろいろなものが書き込まれています。
図録の説明を引用します。

白い百合を持った天使ガブリエルが街路にひざまずき、室内のマリアに神の子キリストを身ごもったことを知らせています。聖霊の光だけが、壁面の穴を通して彼女に届いています。ガブリエルの隣にいるのは、この作品が描かれた町、アスコリ・ビチェーノの守護聖人エミディウス。彼はこの街の模型を手にしています。

天空の雲から金色の一筋のビームがマリアに向けて発せられています。
受胎告知の美しい演出となっています。
websiteで他の絵を観ましたが、この作者は、女性をとても美しく描く画家ですね。
この絵には、奥行きのある空間と上部の空に至るまで、細かく街の様子が描き込まれています。
建築壁面のレリーフ、鳥、植物、街の人々に至るまで、様々なものが色彩豊かに、緻密に描写されています。
ずっと眺めていても飽きないすばらしい絵でした。

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[絵画5]カルロ・クリヴェッリ「聖エミディウスを伴う受胎告知」

イギリスにおけるフランス近代絵画受容

フランス絵画のエリアには、巨匠の絵が一杯展示されています。
ゴッホルノアール、モネ、ゴーギャンセザンヌなどなど。
この記事では、この中からモネの絵を紹介することにします。
モネの睡蓮は、これまで何作も観てきているのですが、この絵は、なかでも良い絵ですね。
ちなみに、ロンドン・ナショナル・ギャラリーには24枚のモネの絵が所蔵されています。

[絵画6]クロード・モネ「睡蓮の池」1899年、油彩/カンバス 88.3 x 93.1 cm

まず、図録の説明を引用しますね。

印象派の巨匠モネは、その後半生にパリ郊外の自宅に日本風の庭園を築き、刻々と移ろいゆく日の光をとらえるべき、その景色を繰り返し描きました。睡蓮を植えた池にかかる太鼓橋を真横からとらえた構造は、とりわけ1899年前後に集中して描かれています。本作は、夏の昼下がりの陽光が鬱蒼としげる柳や睡蓮の葉に光を落としています。モネは緑色や藤色の細かな斑点を用いて、夏の光のきらめきを表現しました。

この絵は、説明のとおり、細かい筆のタッチを積み重ねて描かれた睡蓮の池の風景画です。
実物を観ると、筆のタッチがありありと盛り上げって見えます。
使われている色は、濃さの違う緑色、青色、薄紅色、わずかな種類の色です。
それで、盛夏の草が生茂る池、浮かぶ睡蓮と花の描写を生き生き表現しています。
ところどころ、水面が光っているようにも見えます。
思わず、ため息が出ます。
素晴らしい絵でした。

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[絵画6]クロード・モネ「睡蓮の池」

風景画とピクチャレスク

最後は、将来への祈りを込めてターナーの希望の絵を紹介します。
このエリアの風景画の中で、圧倒的に目を引くのは、ターナーの絵です。
イギリスの風景画は、気候を反映してか、暗い色調の絵が多いんですね。
その中で、この日の出を描いた風景画は、ひときわ目立ちます。
この絵はロンドン・ナショナル・ギャラリーを代表する名画の一つです。

[絵画7]ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー「ポリュフェモスを嘲るオデユッセウス」1829年、油彩/カンバス 132.5 x 203 cm

絵の題材は、古代ギリシャホメロス叙事詩オデュッセイア」を主題としています。
理系の私には、ギリシャ叙事詩は分りません(汗) 。
という訳で、図録の説明を引用します。

これは、古代ギリシア叙事詩オデュッセイア」の一場面です。出航する船上に立つ主人公オデュッセイアは、左上の岩山の上で悶える巨人ポリュフェモスに向けて紅の旗をなびかせて、自分を捉え損ねたことを嘲笑しています。船首当たりの水面には妖精ネレイスが白く輝き、画面右奥の水平線上にはアポロの馬車に引かれて太陽が顔を出し、眩しい朝日を放っています。イギリス風景画を代表するターナーは、雄大な光の効果中に、神話の場面を描き出すことを得意としました。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーのwebsiteに行って、この絵を拡大して見ても、説明に書いてあるもの全部は見つかりませんでした(笑)
すべてが逆光の朝日の中に溶け込んでしまっています。
朝日の中ドラマチックに物語が描かれています。

船には、赤い旗を振るオデュッセイアとともに、鈴なりの歓喜する人々が描かれています。
多くの人々が手を上げ、何かを叫んでいるようにもみえます。
人々は、意気揚々とオールを伸ばし、船出をしようとしています。
この絵は、希望の絵です。
素晴らしい作品でした。

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[絵画7]ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー「ポリュフェモスを嘲るオデユッセウス」


山田五郎さんの2冊の美術本、オススメです。ターナー、モネの絵、時代背景、画家の生涯などを楽しく解説してくれます。こんな楽しい美術の本に出会ってことはありません。 どちらもオールカラーです。ぜひ。

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  • 発売日: 2011/07/13
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まとめ

この2日に分けて、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展の記事をご紹介しました。
コロナ禍の後、この展示会に参加して、幸せな時間を過ごすことができました。
絵を観られる時間というのは、何ものにも変え難いものですね。 皆さん、たまには絵を観にいきましょう。
「時の化石」では、機会を見つけて、今後も美術展のレポートをして行こうと思います。

お土産に、ミニ図録と、ポストカード何枚か買ってきました。
図録はamazonでも販売しているそうですよ。

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ミニ図録とポストカード

今日もお付き合いありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。

ShinSha