どーも、ShinShaです。
久しぶりにアートの記事です。
世界的な新型コロナウィルス感染拡大で、カラヴァッジョ、モネ展が飛んでしまったからね。
今回は大好きなゴッホの作品を観てきました。
ゴッホの作品は画像で見ても、本来の美しさの半分も理解できない。
実際の作品を鑑賞してそう感じました。
今回のゴッホ展では初期の作品にも驚くべき美しさがあることを知りました。
素晴らしい体験となりました。
オススメのアート展です。
皆様もぜひ!
クレラー=ミュラーコレクションについて
今回のゴッホ展は、クレラー=ミュラー美術館の所蔵作品がメインの美術展です。
最初にクレラー=ミュラーについてご紹介します。
画家は描くことに、コレクターはその絵を伝えることに、人生を掛けた
世界中で絶大な人気を誇るフィンセント・ファン・ゴッホ。
本展では、その世界最大の個人収集家のヘレーネ・クレラー=ミュラーが初代館長を務めたクレラー=ミュラー美術館のコレクションから、選りすぐりのファン・ゴッホの油彩画25点と素描・版画20点を展示し、ファン・ゴッホの初期から晩年までの画業をたどります。
また、ミレー、ルノワール、スーラ、ルドン、モンドリアンらの作品20点もあわせて展示し、ファンゴッホ 作品を軸に近代絵画の展開をたどるべく築かれた、ヘレーネの類なれなコレクションをご紹介します。
さらにファン・ゴッホ美術館から『黄色い家(通り)』を含む4点を展示し、20世紀初頭からファン・ゴッホの人気と評価が飛躍的に高まっていく背景にも注目します。
東京都美術館『ゴッホ展』パンフレットより転載
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当然この美術館は知っていましたが、クレラー=ミュラーが女性だとは知りませんでした💦
資料によると、彼女はゴッホの死後18年後から、作品の収集を始め20年かけて世界最大の収集家になったとあります。
クレラー=ミュラーは、ゴッホの弟テオの奥さん、ヨー・ボンゲルから作品を買い取ったのですね。
女性同士、気があったのかもしれません。
ヨー・ボンゲルに関するストーリーは下記の記事に書いています。
こういった収集家が作品を大事に維持してくれたから、僕らはゴッホの作品を見ることができるのです。
クレラー=ミュラーさんの審美眼は素晴らしいですね。
今回のアート展では、ニューネン時代の作品の美しさを教えていただきました。
ゴッホの生涯
皆さんもご存知と思いますが、ここでゴッホの人生を簡単にふり返りたいと思います。
じつは僕の記憶の確認作業なんですが(^^;
ずいぶん忘れてますね💦
1853年 3月30日、オランダ南部ズンデルトで誕生。
1869年〜1876年 商社で働くも解雇される
1877年〜1880年 教師、書店員として働いた後、聖職者を目指すようになる。受験勉強に挫折し、キリスト教の伝道師となる
やがて伝道師としての活動も失敗。絵を描くことを決意する1881年〜1883年 故郷、ハーグにて、本格的に絵の修行を始める
- 1883年〜1885年 ニューネンに移った実家に戻り、織工や農民の絵を描く
この当時の代表作「馬鈴薯を食べる人々」 - 1885年〜1886年 ベルギーのアントウェルペンへ移り、絵の勉強を続ける
- 1886年〜1888年 弟テオを頼って、パリに向かう
絵の修行をしながら、印象派の画家たちと交流して影響を受ける
日本画を好み模写した油絵を描く
ゴーギャンとの交流が始まる
- 1888年〜1889年5月 フランス南部アルルに移り本格的な創作活動に入る
「アルルの跳ね橋」「ひまわり」「夜のカフェ」などが代表作
1888年10月からはゴーギャンとの共同生活を始める
しかし、性格の不一致、絵の技法の違いなどから関係が悪化
12月には、ゴッホは精神に異常をきたし、自らの左耳を切る事件を起こす
- 1889年5月〜1890年5月 アルルからサン=レミの修道院にある療養所に入所
療養しながらも、創作を続ける。
「アイリス」「星月夜」「二本の糸杉」などがこの時期の代表作
- 1890年5月〜1890年7月 オーヴェル=シュル=オワーズに移る
ポール・ガシェ医師のもと療養を続ける
「医師ガシェの肖像」「オーヴェルの教会」「カラスのいる麦畑」などがこの時期の代表作
- 1890年7月自死
オーヴェルの麦畑付近で拳銃を用いて自殺を図ったとするのが定説となっている
ゴッホが亡くなったのは37歳のこと。
あと10年生きていてくれたら、違う世界が見られたはずです。
本当にそれを思うと残念でならないです。
東京都美術館『ゴッホ展』の感想
僕がゴッホ展を観たのは平日の12時30分から。
前日にネット予約を取って行ったのですがスゴイ人でした。
ウィークディなのに、ゴッホは人気があるんだと実感しました。
仕事を2時間休んで、行ってよかったです。
やはりゴッホの作品は素晴らしいですね。
彼の作品はやはり実物を観ないと真の素晴らしさが分からないね。
激しいタッチや絵の具の盛り上がりを凝視する。
少し経つと絵の世界に取り込まれ、奥行きや広がりが見えてくる。
それは素晴らしいアート体験になります。
主要作品のご紹介
正直にいうと、このところ仕事が忙しいし、今回はあまり有名な作品が来ていないから、行くのをどうしようかと迷ってました。
しかし、地下鉄の駅で糸杉を描いた大きなポスターを見たらもうダメでしたね(笑)
ポスターを見た3日後には、時間を作って出かけていました💦
今回の美術展で驚いたのは、あまりに暗いので、これまで真剣に観なかったニューネン時代の作品に美しさを発見したことです。
僕は彼の才能の開花は1886年のパリ時代からだと考えており、初期の作品をじっくり鑑賞したことがありませんでした。
反省しきりですね。
作品を収集したヘレーネの審美眼に感服しました。
「祈り」
最初に紹介するのはニューネン時代の素描画です。
精神性を感じさせる、素晴らしいデッサンです。
彼女は何を懸命に祈っているのか。
観ていると、絵から悲しみが立ち上ってくるような気がします。
「リンゴとカボチャのある静物」
続いてニューネン時代の暗〜い油彩画💦
今回、とても驚いた作品のひとつです。
この絵の素晴らしさは、実物を観ないと100%理解できません。
静物画は英語では"STILL LIFE"。
ダークな空間の中で、鈍く光るカボチャとリンゴ。
硬く重さを感じる存在感があります。
全盛期のゴッホの作品とは異なる、独特の世界観を持つ素晴らしい作品です。
「緑のブドウ園」
アルル時代のブドウ園の風景を描いた作品はじつに素晴らしかった。
手前のブドウの木は、ペイントを驚くほど重ねて描いてあります。
画面はもう本当に凸凹。
ゴッホは明らかに三次元的な効果を意識して、この風景を描いています。
その効果で、しばらくこの絵を観ていると、水平線の広がりとブドウの木から遠くの木々までの奥行きが脳にインプットされてきます。
まるでこの風景に入りこんでしまったような錯覚を覚えるのです。
ブルーを塗り込めた空も素晴らしいなぁ。
「夜のプロヴァンスの田舎道」
次は今回の美術展の目玉の作品。
糸杉が描かれた「夜のプロヴァンスの田舎道」。
糸杉はサン=レミ時代にゴッホが好んで描いたモチーフです。
ゴッホは「糸杉のフォルムは、エジプトの塔のように美しい」と語っていました。
炎のように幾重にも重なる糸杉は、ゴッホ独自の素晴らしい表現ですね。
糸杉を描いた作品は何作もあり、一番有名なのはメトロポリタン美術館の作品かな?
この作品も素晴らしい作品ですね。
空には星も月も描かれていてロマンチックな夜の道です。
作品の前に立って、糸杉の粗い筆遣いと重ねられたペイントの盛り上がりを観ていると、この絵の世界に取り込まれていくのです。
これも実物を観ないと理解できない感覚です。
「サン=レミ療養院の庭」
最後は、サン=レミ療養院の庭の絵。
転院のすぐ後、「アイリス」を描いていた時期の作品です。
わずか三畳の鉄格子のある部屋に暮らし、もう絵を描くことしか残されていなかった。
この絵の前に数分間立ち尽くし、美しさに感嘆していました。
どん底の日々を過ごした療養院の庭に、彼がこんな美しさを見ていたなんて涙が出てくるよ。
今回の画像は、すべて本家クレラー=ミュラー美術館websiteから転載しました。
都美術館websiteにはこんな大きな画像は掲載されていません。
世界はインターネット、SNSを通じてアートを共有し楽しむ時代に変わってきています。
この流れを日本の美術関係者にも認識してもらいたいなぁ。
今回掲載した作品の画像は以前記事に書いたゴッホ作品のデータベース "Van Gogh Worldwide"で、筆跡まで鮮明に拡大して見ることができます。 "Van Gogh Worldwide"については下記の記事にアクセスしてみてください。
オススメの本ご紹介
山田五郎さんの下記の2冊オススメです。
どの本も入門書とあなどってはいけませんよ。
基本をしっかりおさえた上で、五郎さんらしい解説がなされています。
他のアート本には書いていない様々な知識を知ることができます。
楽しくアートを学ぶことができる最高の本です。
原田マハ著『ゴッホ のあしあと」は、美術書では知ることができない、ゴッホについての数々の情報を教えてくれました。
筆者は、ていねいにゴッホ の足跡をたどって、ゴッホが暮らした場所、絵を描いた場所について、女性らしい視点から紹介してくれています。
苦情をいくつか
ここから、苦情をいくつか書きます。
予約を取りながら、当日券でガンガン人を入れるって何なの?
いくつかの空間は換気量が足らないほど人が入っています。
特にショップの密集はひどかった。
緊急事態宣言が開けたとはいえ、やりすぎでしょ。
入り口から入ってすぐのところでビデオを流すので、入場していきなり密な空間ができている。
人が滞留してスムーズな入場ができない。
レイアウトを考えていないですね。
相変わらずの写真規制で、入り口の写真すら撮らせてくれない。
SNSで写真を流してもらえれば、大きなPRになると思うのだけど。
都美術館の運営は、世界のアートの流れから大分遅れているなという印象。
こいうことは誰かが言わないと変わっていかないからね。
あとがき
まだ、作品を観た感動の余韻が残っています。
この1年間、ゴッホについて何冊か本を読み、いくつかブログを書きました。
僕自身も歳を経て、ゴッホ作品の見方が変化してきたように思います。
なぜ僕らは、これほどまでゴッホの作品に惹かれ続けるのか。
答えの一つを原田マハさんが書いています。
これは良い文章だなぁ。
世間に嘲笑われようと、狂人だと怖がられようと、彼は誇り高き画家だった。
表現者である。
そのどうしようもなさをカンバスにぶつけた。
その穢れない孤高の魂が、彼がこの世を去って130年経った今なお、私たちの魂に共鳴せよと呼びかけるのだ。
引用:原田マハ『ゴッホのあしあと』
今日も最後までブログを読んでいただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。
ShinSha
ブログ村、ライフスタイル部門にエントリーしました。
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